人間は学習したことにより、その後の行動を変えるものです。
痛い想いをするとそれを回避するように、成功体験については再現させようとします。こうした個々人の学びを組織知にすること。これがナレッジマネジメントです。成功事例、失敗事例をケーススタディ化したり、先輩社員の経験談を聞かせてもらったり、誰が何の第一人者であるかを社内で周知するなど、いろいろな施策が会社の中で展開されていると思います。
もし自社でナレッジマネジメントに全く手がついていない場合には、至急始めましょう。日々、社員がいろいろな経験を重ねています。もったいないです。ナレッジマネジメントの運用面ではいろいろな工夫が必要ですが、着手しないことには始まりません。
ただし、本日わたしが提案したいのはこの事ではありません。人生のナレッジマネジメントです。役員だろうが、一般社員だろうが、それぞれに人生があり、悩み、苦しみ、年齢を重ねています。その経験、特に“痛い想い”からの学びを伝える機会があったらいいな、と思ったからです。
多くの企業の次世代を担うと目される人達と対話をする中で、ここ数年共通した悩みを聞きます。全力で仕事に臨みたい/もっと成長したいと思っている。一方、家庭でやるべきこともある。家庭の目が気になって思うように仕事に打ち込めない。家庭がある意味で足かせになっている、というものです。
このテーマで悩んでいるアラフォー男性は少なくないと思います。私自身もその頃に同じようなことを感じていましたので、よくわかります。ただし、今となってはそういう悩み(不満)を抱いていたこと自体間違っていたと思います。そう思うのは、それなりに失敗し痛い想いをしたからです。
人生において誰もが壁にぶつかります。先人たちがどのようにその壁を乗り越えたか、つまづいたか。悩んでいるときに、こうした経験談を聞くことで開眼するまでの時間が短くなるのではないかと思うのです。人によっては悩みに押しつぶされてしまうこともあるでしょう。先人たちの学びが救いになるかもしれません。こういう場づくりが人生のナレッジマネジメントです。
転職、お金、子育て、健康問題など人生におけるテーマはたくさんあります。世の中が変わっても、悩みのポイントは変わりません。悩みをなくすという意図ではありません。悩み考えることは自身の成長のために、むしろ有効です。ただし、その悩みをプラスに転じさせる。しかも早く。その一助となる人生のナレッジマネジメントを始めてはどうかと思うのです。それが結果として組織のパフォーマンス向上につながるのではないかと。
この場をリードするのはベテラン社員です。ベテラン社員たちは自分の痛み・弱みを開示することになるので、日々顔を合わせている間柄ではやりにくいかもしれません。この設営には工夫が必要ですが、企業内でもやれると思います。中小企業の場合には複数の企業で合同開催するのが良いと思います。この分野の書籍もありますが、このテーマは対話があった方がいいです。先人の感情の揺らぎを身近に感じることで、自分自身にも学びが深く刺さるはずです。ベテラン社員の新たな活躍の場が始まります。
おまけー1:PHAZEリカレント第3期、10月13日開講です。週明けまでギリ間に合います。今回も多様なバックグラウンドの方々が集まっています。学び直しに関心のあるアラフィフ以上の方をお待ちしています。以下に受講生の声をまとめてみました。
https://phaze.jp/news_20210930/
おまけー2:台風の日。タクシーで某所へ。「***へお願いします。」と私。
「高田馬場ですね?」 「いや、***へお願いします。」「わかりました。」
(このやりとりの15分後)「高田馬場ですよね?」
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