969号「”頑張れ”と言う代わりに」」(メールマガジン「人事の目」)

”頑張れ“に代わる、いい言葉ありませんかね。

話の最後や別れ際にこの“頑張れ”という言葉をよく使いますよね。その人へのエールとして、活躍することを期待しているよ、という意味で“頑張れ”と言うわけですが、どうにも違和感があります。“頑張ってください”という言葉をかけられることも多々ありますが、その都度、“いや。頑張るっていう感じじゃないんだけどなー”と思う自分がいます。

”頑張る“の意味を調べてみると、「忍耐して、努力しとおす」とあります。この”忍耐して“というところが気になるのです。仕事でも勉強でもスポーツでも何でもそうですが、耐えてやるものではないと思うのです。辛いと思いながらだと成果も上がらないだろうし、何より続きません。楽しくて没頭してやる方がいいに決まっています。

先日、兵庫県の某高等学校で全校生徒向けにお話する機会がありました。講演終了後のQ&Aの中で3年生の男子生徒から「これからの大学4年間で何をやっておくべきだと思いますか?」という質問があり、こう答えました。

「楽しくて没頭できることをやってください。なんでもいい。勉強でもサークルでもバイトでも。没頭する感覚を得ること。これが大事です。」

仕事がデキる人とそうでない人との違いは紙一重だと思っています。この違いを決めていることが“楽しくてやっているかどうか”だと思っています。誰かから強制されてやっているのではなく、「没頭」している瞬間が良い成果を生んでいると思います。

この「没頭」をミハイ・チクセントミハイさんという著名な心理学者はフロー体験と命名しています。ゾーンに入るとも言いますよね。何かに夢中になって他のことを忘れる状態のことです。

この方によると、フローとは以下の状態のことです。
・他のことが気にならない
・自分のことも気にならない
・思ったことが即座に実行できる
・自分でコントロールしている感覚を持つ。自分の行動に対して結果が自分の思い通りになる
・時間を忘れる
・活動に本質的な価値を感じる。(活動自体が非常に好きであり面白い)

このフローになった感覚をひとたび得ると、それを脳が記憶しているでしょうから、その後もその状態になりやすいんじゃないかと私は思っています。だから没頭する何かを、と質問してくれた生徒さんに伝えました。

とはいうものの、“頑張れ”の代わりに“フローになれ”というのもピンときません。“没頭して”というと、没頭するよう頑張れ(それだと永遠に没頭しない)というメッセージになってしまいます。なかなか難しいですよね。

映画「Star wars」の中で交わされる“May the Force be with you”はいいですね。ただ、これ日本でやりますと(何回かやったことはありますが)ふざけた感じになってしまいます。

“Enjoy!”がフィットする感じです。ただ、これも親しい間柄でかつメールやSNSならいいですが、口頭だと変な感じです。そもそも、日本人の気質的に耐え忍ぶのが美徳だというのが浸透してしまっているのかもしれません。労働基準法の中の労働観もそうです。(時間管理を国全体で厳密にやってしまうと、高い次元での生産性が落ちると思っています。)

うーん、とうなったところで、TVで横浜ベイスターズの牧選手の顔を見て思い出しました。WBCで試合前の円陣で選手たちが、毎回、“さあ、行こう!”と声掛けしていました。これいいですね。

みなさん、“頑張れ!”と言うところで、“さあ、行こう!”と言うようにしませんか。


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