(中編のおさらいです)
副業解禁により、会社と社員の関係がいよいよ変わります。
従来の人事制度はなし崩し的に崩壊します。(中略)今後の人事制度のフレーム(枠組み)
ですが、私はこのようにその概要を想像(創造)します。(以下抜粋です)
・全社員が(正社員、契約、業務委託、パート関係なく)どの専門性を本籍とするかを決めます
・この専門性をJob familyといいます)
・それぞれのJob familyの中で、現在の力量を毎年ランキングします
・ランキングは実績に基づき、それぞれのJob familyの“親方”のような人たちが決めます
・ランキングにより報酬が決まります
・評価制度はありません(ランキングがすべてです)
・原則として全員有期雇用です(1年から5年)
・タスク管理、コスト管理、ピープルマネジメント等はJob familyが「マネジメント」
の人が担います
・秘書業務、庶務総務業務は「サポート」の人が担います
・個々のスキルや専門性を高めるためのナレッジシェア、トレーニングプログラム
が用意されています
・チーム力を高めるためのイベント、プログラムが定期的に行われています
(ここから後編です)
現在の仕組みとの大きな違いは各人が「プロとしての実力を毎年問われる」ことです。
厳しいようですが、報酬をもらう以上、プロとして働くのは当たり前です。そこには
年齢や経験は関係ありません。ちなみに、日本の人口動態からも「定年制」は見直した方が
いいと思っています。貢献できる専門性がある限り、年齢が高くても活躍の場があって
然るべきだと思います。
この制度の下では育児、介護、子供の受験、勉強などなど個人的な事情で時間的な制約が
生じても問題ありません。自ら承知の上でその期間ランキングを落とせばいいのです。
一定期間低位であっても、時間的な制約がなくなったときに、本人の実力が確かであれば、
元のランキングに戻れます。
それぞれのJob familyの“親方”たちは自分のJob familyに籍を置く人たちの専門性の
維持向上が使命です。それだけではありません。familyである以上、仲間の結束、
相互支援、相互育成に責任を持ちます。それこそ、上記のような個人的な事情を抱える
メンバーの相談に乗ります。
この“親方”ですが、Job familyの中の互選で決めます。専門性の高さよりも、
それぞれの専門性を解する人格者が選ばれるでしょう。親方の任期は最長6年です。
経営陣は「マネジメント」familyの中から輩出します。「マネジメント」の親方たちが
社長やCEOではありません。他のfamilyの親方と同じく次世代リーダーの発掘、
育成が仕事です。
このような仕組みが導入されたときに留意すべきは「会社全体の和」の形成と「
ロイヤリティ」の醸成です。
個の専門性をいくら高めたところで、この全体感がありませんと全体としての力が
発揮されません。関係者間で利害相反するような案件への取り組みができません。
「全体の和」「ロイヤリティ」。これらは社長や部門長というマネジメント職が
いくら力んだとしても、全員がお互いを大切に思うような意識が底辺にありませんと
結実しません。このための働きかけ、環境整備は必須です。これを意識したオフィス、
社員食堂、はたまた社員イベントの企画。こうした目に見えないものへの投資を
おろそかにしてはいけません。
90年代後半から日本に紹介されたアメリカ型のマネジメントは「見えないもの」
への投資を極小化し、短期的な目に見えやすい結果を追求するものでした。
アメリカ企業を知るものからすると、本家本元よりも曲解されて導入された嫌いが
あります。結果として、会社組織を氷山に例えるならば、氷山の海中部分がやせ細り、
その存在を維持するのもやっという状態になりました。これは間違いだったと思います。
日本の人事制度はなし崩し的に崩壊する。3回にわたってお届けしました。
本稿がみなさまの次の制度設計の参考となれば幸いです。
おまけー1:とある地方の駅前の居酒屋。夜8時。店の前の看板に「焼き魚定食」
「お刺身定食」とあり、ガラガラを扉を開けたところ、お客はゼロ。ん、店変えようか
と思った時に店員が泣きそうな顔をして登場。仕方ないので着席。メニューを見ると
定食メニューがありません。
“あの、外に出てた焼き魚定食を・・・”
“あ、あれランチだけ”
“え、でも看板が”
“あー、しまい忘れだー(と泣きそうな顔)(この顔、”手“かも。)
おまけー2:海苔とシラスのサラダとほっけ、ごはんとみそ汁を注文。
しばらくして、生ビールが。
“あれ、ビール頼んでないけど・・”
“あー、癖で出しちゃった(と泣きそうな顔)(確信した。この顔、”手“だ)
おまけー3:明日で56歳になります。まだまだや。