Vol.712「外国人社員たちのコミュニティをつくってみた」(メールマガジン「人事の目」より) 

The Third Way Forumという会をキックオフしました。 The Third Way Forumとは
日本企業に勤める外国人のコミュニティです。「The Third Way」というところに
メッセージがあります。外国人社員に対して日本企業になじめ!というのではなく、
日本企業に外国人に合わせろ!というのでもなく、第三の道を共に模索しようという
願いが込められています。

参加者約50名、国籍20か国、役職としては執行役員クラスから新卒まで。多様な
メンバーが集まり、事前に行ったサーベイの結果共有、パネルディスカッション、
ネットワーキング等、大変盛り上がりました。

グローバル化推進を意図して、日本企業で採用される外国人社員が増えています。
これは良い傾向です。ところが、その多くの人たちが十分に活用されていません。
不満分子となるか、早晩辞めていく傾向にあります。たいへん残念、かつ、
もったいないことだと思います。

この傾向は過去から変わりません。2005年ころにアジア各国の日本企業の子会社を
対象に「A&R(Attraction & Retention)サーベイ」をやったのですが、
その時にあちこちでこんなコメントを聞きました。

“Japanese company is not a great place to work” (働く先として日本企業はダメ)

この問題を放置しておくと、日本企業に優秀な海外人材が集まらなくなります。
人が集まらないところに成長はなく、経済も発展しません。
日本および日本企業の未来のために、この問題を解決したいと思っています。

なぜ、いつまでも日本企業は組織をグローバル化できないのか。根本的な理由は
グローバル化のための“レディネス”がない事だと思います。“レディネス”とは
心理学用語の一つで、何かを習得・学習する際、それに必要な条件や環境が学習者側に
整っている状態のことです。私が思うに、日本全体に異質なものを受け入れる
“レディネス”がないのです。

これは日常的に「異」との共存の経験がないことに起因していると思います。
幼少時から「異」と遊んだり、学んだりした経験値の絶対時間の蓄積が少ないのです。
DNA的にもその経験が薄いのだと思います。

留学、海外勤務経験は「異」への抵抗感を払拭させるので有効ですが、それだけでは
不十分です。留学、海外勤務中は自らが「マイノリティ」になるため、“郷に従っている”
だけです。帰国し、元の同質集団の中に戻ると、元に戻ってしまうことも少なくありません。

なんとかしたい。この話はもう20年くらいやっています。
この想いがThe Third Way Forum発足の原点です。

例えば、政策的に多国籍化した集団を形成し、この疑似的な多国籍環境をなんらかの形で
日本人に提供してみてはどうか。それが日本人の「異」を受け入れるレディネス醸成の
一助にはならないか、など。具体的にどう進めていくか、についてはThe Third Way
Forumのメンバーたちと議論していきたいと思っています。

短期的には日本企業に勤める外国人たちの不満を解消したい。社内ではマイノリティの
ため意見が採択されにくい(面倒くさいと思われている)外国人社員たちの声に耳を傾け、
企業努力で改善できること、日本全体で考えるべくことを整理し、具体的な提言して
まいりたいと思っています。

私は幸運なことにマーサー時代にグローバルな環境で仕事をする機会を得ました。
そこからの気づき、学びは自分の糧となっています。これと同じことを多くの人に
体験してもらいたいと思っています。

The Third Way Forumの活動を応援するボランティアを募集します。
関心がある方はThe Third Way ForumのWEBからご連絡ください。 

https://indigoblue.co.jp/thirdway/

おまけ:宿屋大学のWEBでブラック上司についてコメントしました。
「ブラック上司度チェックリスト」があります。使えます。

http://www.yadoyadaigaku.com/info/data1/180913-081851.html

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