1013号「足し算のマネジメントと掛け算のマネジメント」(メールマガジン「人事の目」)

今日のテーマは「足し算」と「掛け算」のチームマネジメントです。
「足し算」のマネジメントとは10の力を持つメンバーが5人いたら、チームとして50の力を発揮させるものです。

人の集団は、遠慮、お手並み拝見、”あいつ嫌い“などの感情により、相互にマイナスの作用をしがちです。このため実力の総和が50であってもせいぜい30や40程度の発揮レベルに留まってしまうものです。ここを頑張って、50に到達させよう(「足し算」マネジメントを成功させよう)とするよりも、総和を50ではなく、100や200にする「掛け算」のマネジメントを目指した方がよいです。そもそも「足し算」を成功させるのは難しいのです。

「足し算」の成功のためには、メンバー個々の実力レベルが高く、自立している(相互に依存していない)こと、相互に信頼があること、個々の役割がMECE(洩れなくダブりなく)になっていること、これらが必要条件となります。となると、そういうメンバー構成にできるかどうかが最大の鍵となりますが、一般的にマネージャーにチームの編成権はありませんよね。加えて、メンバー全員の足並みを揃えるためのコミュニケーションが必須なのですが、相互依存がない中ではメンバー間のコミュニケーションが最低限に留まりがちです。かように「足し算」のマネジメントを成功させるのは難易度が高いのです。

先週、オンラインによる2日版のOT(体験型ケーススタディ)をやりました。OTでは1チーム5人がケース上の企業の経営陣になり切り、そこで発生する様々な問題、想定外の課題に取り組みます。その中で結果的に「足し算」型になったチームと「掛け算」型になったチームがありました。

「足し算」型になったチームは個々の実力レベルが高く、相互に暗黙の信頼があり、お互いのやり方に干渉しないというやり方でケースに臨みました。もう一つのチームは絶えずコミュニケーションをとり、ちょっとしたミスやその対応どうなの?ということはありましたが、相互に助け合い、結果的に「足し算」チームよりも良いパフォーマンスです。そこにチームのダイナミクスを高める「掛け算」が発生していたのです。



 

 

 

チームとしての力を最大化させていたものは何か?メンバーを「掛け算」にしていたものは何か?

それはリーダー的存在による「Recognition and connection(認知と共有)」です。ケースの中で、メンバーを称賛したり、慰労したり、励ます動きをする人がいました。さらに、同時多発的に発生する事象を全員に共有する人がいました。これらのことにより、「共通のビジョンとゴール」が明らかになり、「個々に何をやるべきかの自覚と助け合いの精神」と「相互の信頼関係」が醸成されていきました。

メンバー個々に対して叱咤激励するよりも、チーム全体への声掛けを意識する。その上で、実力的に劣る人、経験不足の人がいた場合には相互にサポートする環境をつくる。これが「掛け算」を生む秘訣です。

「掛け算」を意識せずにマネジメントしていると、難易度が高く、かつ達成したとしても成果が小さい「足し算」になります。マネージャーのみなさん、ぜひ「掛け算」を意識してみてください。

おまけー1:OTを含んだFuture Leaders共創塾を11/28-29に開催します。対象は将来、リーダーを目指していただく“若手/中堅(30歳前後が目安)向け”です。プレイヤーからリーダーになる際はスキルや考え方の“リープ”が必要になります。リーダーを目指すのに早すぎるということはありません。
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