「仕事はあるが、人手不足で受けきれない」
人手不足に対する企業の動向調査(帝国データバンク2024年10月現在)によると、正社員が不足していると感じている企業の割合は51.7%に昇ります。ちなみに、その割合が60%を超えている特に「人手が不足している」業種は「情報サービス(70.2%)、メンテナンス・警備・検査(69.7%)、建設(69.6%)、金融(67.1%)、運輸・倉庫(65.8%)、旅館・ホテル(62.9%)となっています。この報告には含まれていませんが、行政についても同じことが言えるでしょう。公務員離れが顕著となり、より深刻かもしれません。
「103万円の壁」問題が議論されています。非正規の働き手が費やせる労働時間が増えることが期待されていますが、マクロ的には焼石に水とも言える状況ではないでしょうか。2025年は「団塊の世代」のほとんどが75歳以上の後期高齢者に到達し、「団塊ジュニア」の多くが50歳以上になります。若い世代の人口が減少の一途であることはご存じのとおりです。もはや、「仕事そのもの」、「仕事のやり方」を見直さないと無理です。採用強化でなんとかなる状況ではありません。
「仕事そのもの」見直しの最大のテーマは発想の転換です。まず、顧客向けに“頑張って”「付加価値を高める」という発想を止めましょう。これは持続可能ではありません。これからは「人手を減らして付加価値を高める工夫をする」という発想にしましょう。しかも、従来の半分の人数でやる、くらいの前提で考えましょう。
これだと従来のやり方を前提とすることはできません。“ぶっとんだ発想”が必要です。(この“ぶっとんだ発想”を現実化するには、当然ながらAIをどう活用するか?これが現実的な方策となります。)
次に現在、顧客向けに提供していることであっても、自分たちがやることなのかを考えましょう。その機能は顧客側で担えることかもしれません。スーパー、コンビニのセルフレジはこの発想の転換の産物です。行政が担っている公的サービスも必ずしも官が提供する必要はないと思います。
こうした変化に対する不満の声は社内外から必ず出てきます。人間は変化を嫌う生き物ですから。ただ、批判されることを怖れてやるべきことをやらない、という選択肢はありません。
これらのドラスティックな改革への着手と同時に地道な努力も欠かせません。組織の中で同じような機能を担う人が散在している場合には統合して総投入人員を減らす。アナログ対応しているものをデジタル化する、過度な社内プロセスを省力化する、コミュニケーションロスを減らすための工夫をする、会議体の整理をする等々。
忘れてはいけないのは個々の生産を高めることです。基本ですが、これは効きます。インプットからアウトプットまでのスピードを速くする。そのためのポータブルスキルのトレーニングをしましょう。
注力すべきは、「聞く:相手が意図することを理解する」
「整える:情報を整理し考えをまとめる」
「伝える:自分の意図をわかってもらう」、この3つです。
管理職であればファシリテーション力を高める。これも効きます。
(前号でもご案内しましたが、「1日でマスターするファシリテーション講座」を2月17日(月)にやります。あと数席空きがあります。)
https://indigoblue.co.jp/facilitation-course/?y=ml
(12月中に申し込んでいただけた場合には15%割引します!)
いまのままでは“無理”。この“無理”に正面から向き合い、“無理ではない”状態にする。
2025年の経営の重要テーマの一つです。
無理話ー1:先日乗車したタクシーに猛烈な獣臭が。耐え切れず窓を開けたところ、
「車内の温度はいかがですか?」
「ちょっと暑いかな・・・」
「わかりました。窓閉めて冷房いれますねー。」(無理!)
無理話―2:午前9時ころの某珈琲店でのこと。後ろのテーブルでアラフォー女子の管理職と思しき人が60代くらいのおじさんへ猛烈指導。(怒気入りの押し殺した怖い声で)
「なんでお願いしたことを期限通りにやってくれないんですか!」
「議事録出すのになんでそんなに時間かかってるんですか!」
「お客さんへのメール、なんであんな内容なんですか!!」・・・
(集中して作業しようと思ったのに無理!)
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