1037号「プロ人材育成の要諦」(メールマガジン「人事の目」)

前回のメルマガで「リーダー育成の要諦」について書きました。今日のテーマは「プロ人材育成の要諦」です。

次世代リーダーの育成は社長、執行役員などマネジメントポジションに就く人材が対象となっています。リーダーたちが優秀であれば、会社の方向付けを誤らず、かつメンバーのポテンシャルを最大化させることができます。これは会社を守るために重要です。ただし、会社を飛躍的に成長させようとしたらポテンシャルそのものが高い集団にならないといけません。

そのためには優れたマネージャーの育成とは別の施策が必要です。自社のビジネスの主たる専門領域で高いパフォーマンスを発揮する「プロ人材」を意図的に育成すべきだと思います。これを現場任せにしたり、自然発生に委ねていると「プロ人材」が輩出するかどうかは“神のみぞ知る”になります。

かつてはマネージャーの力量でポテンシャルを高めようとする底上げ施策が主流でしたが、これはマイナスをゼロにするようなもので、プラス効果は期待できません。一般的な階層別研修がこれにあたります。組織のポテンシャルを高める上で最も効果的なのは、突出したパフォーマンスを発揮している「プロ人材」の影響力です。

“あの人みたいになりたい”
“あいつには負けたくない”
“かっこいい”

こうした感情をかき立てる「プロ人材」を意図的に育成しましょう。

「プロ人材」が育成される環境、成長機会を「プロ人材」候補に提供する。これに取り組むことが人事の戦略課題です。

環境変化が著しい現在、自社の未来のための課題をいかに見出すか、これが重要テーマですよね。専門領域の目利きができませんと課題発見に至りません。優秀なマネージャーは、それが難しいテーマであっても問題解決できますが、これからの課題そのものを特定しないと、見えている問題の解決に終始することになってしまいます。未来志向の課題発見が必要です。その水先案内人になるのは「プロ人材」です。

「プロ人材」が育つ環境づくりのその1は既存のプロ人材を「因数分解」したものを整理することです。


「プロ人材」がどのようなスキルセットを有し、どのような経験をしてきたのか。そもそも、どういう個性の持ち主か。こうした情報をプロ人材候補に開示します。この情報を整理したものを「キャリアマップ」といいます。

その2は「キャリアマップ」を手にしたプロ人材候補の人に自分の成長プランを考えることが有効であることを伝えることです。大谷翔平さんが高校時代にマンダラチャートをつくって自身の成長の指針としたのは有名な話です。このやり方は効果的です。ただし、その内容は本人に委ねます。

その3はプロ人材候補が憧れる「プロ人材」との場をつくることです。ここでいう「プロ人材」は他の領域の「プロ人材」であっても構いません。憧れる「プロ人材」の直接対話はプロ人材候補の心に火を灯します。

「プロ人材」育成の要諦は“育てる”のではなく、情報提供、手法のアドバイス、場の提供をだけを行い、あとはプロ人材候補本人に委ねる、です。これらのことを全くしていないと、「プロ人材」が輩出されるかどうかは運任せ、事業の成長も運任せになります。ここは戦略的に取り組みましょう。

おまけ:「プロ人材」の育成について、3月14日(金)の12時からランチタイム・ショートセミナー(45分)をやります。ご参加希望の方は以下よりご参加ください。(無料です。)
https://forms.office.com/r/yPhuqXfm1Q




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