1043号「人手不足対策」(メールマガジン「人事の目」)

先週、2日版のOT(体験型ケーススタディ)のために船橋の研修施設に出向いた時の話です。船橋駅から研修会場に行く道すがら、こんな張り紙を見つけました。

「4/16(木)は、人手不足によりにっちもさっちもいかない為、臨時休業させていただきます」

2024年は人手不足による倒産が2年連続で過去最高と帝国データバンクが発表していますが、じわりじわりとそれが身近になってきていると実感しました。

労働集約型のビジネスにおいて「人手不足」はまさに死活問題です。世の中でとられている対策をまとめてみました。大きく分けると「働き手対策」「作業の見直し」「従来の業務・サービスの見直し」となります。このうち「働き手対策」が活発に採られていますね。



ただ、その「働き手対策」が思うようにいかず、「従来の業務・サービスの見直し=休業」を選ばざるを得ないというのが冒頭のお店のケースでしょう。この延長戦上に「人手不足倒産」があります。

従来の業務やサービスを従来のやり方で行うさことを前提にしていると、変数が「働き手」だけになります。これだと苦しくなります。「作業の見直し」についても制約なく考えて行動を起こしましょう。

「作業の見直し」となると、ロボティクス技術やAIの活用というテクノロジーでの代替議論が出てきます。これはありです。ただ、お金がかかりますし、すぐにできるわけではありません。人手不足に悩むサービス業や学校の現場の“今”を救うことはできません。

私が可能性を感じるのは「顧客との協業」です。例えば、カジュアルなレストランでは「席への案内」「オーダー」「料理の提供」「下げもの」「支払い」という業務を顧客がやるようにしてはどうか、と思っています。そのレストランを大事に思っている顧客であれば、“喜んで”厨房に料理をとりにいき、下げものをすると思うのです。

レストラン側は顧客との関係性づくりと料理とその準備、皿洗いなどに注力します。小料理屋や居酒屋はこのスタイルでやっていると思います。うちのレストランは接客が売りだから、としていると抵抗があるかもしれませんが、関係性づくりとのところで、“接客を通じて実現していたこと”をやればよいと思うのです。

学校の現場でも、企業の幹部を退任された方々や副業者の活用など、従来の“学校ボランティア”の枠を超える仕組みを考えてみてはいかがでしょうか。(これらはほんの思いつきですが。)

リスク要因を全て潰さないと前に進めないというスタンスは止めましょう。可能性の探索ができません。大事なことは「人手不足」で困っている事業者、現場があって、そこをなんとかしたいというGood Willの持ち主がいたら一緒に知恵を出し合い、協力して困りごとを解消すべくアクションを起こすことです。議論ばかりしていても事態は改善しません。

“なにかあったらどうする”“何か言われたらどうする” と言っていると、この「人手不足」問題は解決できません。


おまけー1:ホワイトカラーの場合は「人手不足」ではなく、「アイディア不足」「行動力不足」「集中力不足」ですね。

おまけー2:自民党の佐藤正久参院議員が4月10日の参院外交防衛委員会で日航機墜落をめぐる件で発言されたことを受け、改めて「日航123便墜落事件 隠された遺体」(青山透子著)を読み始めました。






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