事業の経営者を選ぶとき、捨てるべき自身の「こだわり」(「人事の目」819号)

後継者選びの最大の課題

悩み後継者をどう育成するか。

最大の課題は自らの割り切りだと思います。

優秀な人であればあるほど後継者の育成が難しい。自分なりのこだわりが育成のハードルを高くしているからです。

優秀な人を優秀せしめているものは“こだわり”だと思います。アウトプットの質、仕事のスピード、何か起きたときの対応・・・、自分にしてみると当たり前のことがなされていないと不満でなりません。つい口を出したり、手を出したりしてしまいます。“こだわり”と意識していなくても、結果として“こだわり”と同じことになっています。

“こだわり”には良い“こだわり”と悪い“こだわり”があります。“悪い”こだわりは“顧客”にとっては大した意味がないことです。“顧客”とは自分の仕事の受益者であり、依頼者です。どんな仕事であっても必ず“顧客”はいます。その“顧客”にとって意味がないことにこだわるのはエゴだと思うのです。

Indigo Blueで提供しているOrganization theater(通称OT)はビジネス上の有事・修羅場の疑似体験プログラムです。このプログラムは私が開発しました。現在提供しているOTのケースの大半も私が創作したものです。

誰もやったことがないことをやっていましたので、しばらくは私が営業し、私が中心になってデリバリー(運営・提供)していました。現在は違います。私が係わるのは新作、特に難しいケース、柴田指名があったときに限られます。今ではIndigo Blueの仲間たちが問題なく質の高いデリバリーをしてくれています。コロナの影響で上半期の実行数が減少しましたが、10月・11月にはそのリスケ分の対応でほぼ毎日何かやっている状態になりました。私が係わったのは2件だけです。

かつて他の人にOTのデリバリーをお願いしたときには、心配で見に行っていました。そうすると、ちょっとしたことが気になって仕方がありません。ついつい、やっている最中に助言と称して意見してしまうことも多々ありました。

ある日、“柴田さんみたいにはできない”と言われ、目が覚めました。自分と同じことをやってもらうのであれば、自分の模倣品にしかなりません。そうであれば自分がやった方がいいに決まっています。自分のやり方を微に入り細に入り他の人に強要することは、自ら会社としての提供クオリティを下げる行為になることを悟りました。

しかも、自分が気になって仕方がないことが顧客(受講者、依頼企業)からすると全く問題がないことがわかりました。私がこだわっていたことは創作者のエゴだったのです。

その後、依頼されない限り観に行かないことにしました。この姿勢をとるようになって4年ほど経ちますが、全く問題ありません。むしろ、同じ日に複数のOTのデリバリーができるようになりましたので営業的には大成功です。

自分がやっているレベルの仕事を遂行するために必要なスキル、経験値、人格、人間性はあると思います。それを満たしている人が現れたら、まずは一定範囲をやらせてみましょう。少なくとも1年はやらせてみた方がいいです。その間の様子を見て、本当に後継者になりうるかどうかを判断すればよいでしょう。その人が“眼鏡違い”ということもありますので、自分が引退する2年前から行動を起こした方がいいですね。

見極めの基準は“自分よりも良い仕事ができそうか”です。


おまけ

おまけー1:Star Warsエピソード1のダースモールと二人のジェダイ(クワイ・ガンとオビワン・ケノービ)の戦いを覚えていますか?鬼滅の刃(無限列車)の上弦の参と煉獄杏寿郎と竈門炭治郎の戦いから思い出しました。

おまけー2:転倒破損した自転車を廃車にし、新しい自転車を購入しましたが、まだまだ“へなちょこ”乗りです。この際“へなちょこ”路線で行きます。

執筆

Indigo Blue 代表取締役会長
柴田 励司(Reiji Shibata)
上智大学卒業後、京王プラザホテル入社。在籍中に、在オランダ大使館出向。その後、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。2000年には、38歳で日本法人代表取締役社長に就任する。以降、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COOなどを歴任。2010年7月より株式会社Indigo Blueを本格稼働。

 

 

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