会社の後継者選抜問題【前編】(「人事の目」820号)

VUCA時代の後継者問題

世代交代某社トップの悩みです。

社員数5000人強の企業(会社の属性情報は敢えてこの程度にします。)の社長(65歳)が後任選びで頭を悩ませています。

トップは長くやるものではない。6年で仕事をコンプリートさせるべき。1年目、2年目は前任者の良い点、悪い点を俯瞰して判断していきましょう。3年目、4年目は自分の型をつくりましょう。5年目、6年目は自分がいなくなった後により良い体制になることを意識して進めましょう。

私のこの助言を実行してくれていました。今年が6年目。来年の株主総会での交代をイメージしておりました。

ところが、ここにきてシナリオが崩れました。コロナのせいです。この5年、業績は安定していました。いくつか新規事業も立ち上がり、かつM&Aも実施。むしろ右肩上がりと評価できると思います。ところがコロナの影響で既存事業が一気に痛みました。売上で対前年度灯20%以上のダウン。2021年の展望も不透明です。買収した事業も業績が悪化。今期の決算で買収時ののれんの一括償却が求められそうな気配です。

候補として考えてきた常務Kさん(54歳)はコロナ禍に際し弱みを露呈しました。経験したことがない状況下になり全く動けませんでした。既存事業は仕組みで回っています。その仕組みが機能しなくなったときに手を打てなかったのです。Kさんは既存事業で育ったエース。明るい人柄で敵をつくりません。社内では依然としてKさんが次の社長候補筆頭と思われていることはわかりますが、VUCA時代のトップにするには不安が残ります。

一方で海外事業の責任者を務めている執行役員のMさんのことが気になっています。Mさんは45歳。執行役員にも今期なったばかりです。しかしながら、その開拓力、さまざまな利害関係者の巻き込み力には社長ですら舌を巻きます。VUCA時代ということであれば思い切ってMさんを後任に推挙するということも考えられます。ただし、間違いなく現在の役員間のパワーバランスは崩れます。Kさんを筆頭にMさんの先輩たちの処遇が難しくなります。加えてMさんの経営者としての力量は未知数です。

社外役員のO氏にも相談してみました。O氏からは退任せずに継続してはどうかとアドバイスをもらいました。それも選択肢の一つだと思うのですが、ここ数年、奥様の体調が安定せず、今期限りで引退することを約束しているので、簡単に任期延長の決断もできません。

知り合いのヘッドハンターに相談したところ、外部から招聘するのはどうか、と薦められました。ただ、外部からのトップ招聘はリスクが高すぎるとみています。

さて、困ったという状況です。

みなさんがこの社長だったら、どうしますか?

A案)当初予定どおり、K常務を推挙する。
B案)敢えてM執行役員を登用する
C案)自身の任期を延長する
D案)その他の案

以下のURLにアンケートがあります。みなさんのご意見をお聞かせください。
https://jp.surveymonkey.com/r/5SSHL8M
(次週のメルマガで結果をお知らせします。朝学の会のみなさんは、月曜日にこのテーマで議論します。)


おまけ

おまけー1:タクシーCMの中で「そこのあなた!いま、顧問って流行ってますよね。」というやつと「おなかの脂肪をぱっくんぱっくん」というやつを見るたびにイラっとするのはなぜでしょう。

おまけー2:某コンビニのレジの前で耳にした話。
「そのマスクじゃだめだ。菌が入る。」と説教するニッカポッカのおじさん。
眉毛の細い若者が「じゃ、どんなマスクがいいんすか?」と。
「俺の秘密を教えてやる。サランラップだ。これだとまず菌ははいらん。しかもあったかい。」とおじさん。
「息できないじゃないすか。」と細眉毛の若者。
「大丈夫、空気穴あけてる。」
「お、それならいけますね。」(チーン)


執筆

Indigo Blue 代表取締役会長
柴田 励司(Reiji Shibata)
上智大学卒業後、京王プラザホテル入社。在籍中に、在オランダ大使館出向。その後、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。2000年には、38歳で日本法人代表取締役社長に就任する。以降、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COOなどを歴任。2010年7月より株式会社Indigo Blueを本格稼働。

 

 

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