遅々として進まない、日本の社会課題解決
入管法の改正案に反対する声が大きくなっています。4月21日には都内で約100名による反対デモがあり、4月22日には反対する弁護士や人権団体による抗議集会が国会内で開催されました。朝日新聞は、
国連の人権専門家や難民高等弁務官事務所が法案の段階で、「国際的な人権水準に達していない」と日本政府に懸念を伝える異例の事態になっている。
と社説で訴えています。
本案については私も「反対」です。体裁は整えるが難民の流入を可能な限り抑えたいという姿勢が透けて見えるからです。先進国としては“いかに受け入れるか”という視点から検討すべきと私は考えます。更に名古屋入管でスリランカ人女性が死亡した経緯を知るに実に痛ましいです。日本人として恥ずかしいです。
日本の不法残留者は2021年1月時点で8万2868人。2019年に難民申請した約1万人のうち、認定されたのはわずか44人、2020年はコロナの影響で申請者数が4000人弱に減ったそうですが、認定されたのは47名。ここ数年をみても同様の認定者数です。国際水準からすると著しく低い認定率です。
3年前に難民を支援しているWelgeeというNPO法人を知りました。20代の若者たちの集団です。政治的な主張するのではなく、命ある難民たちが日本で困っている。だから可能な限り手を差し伸べる。その姿勢に感銘を受けました。かつてメルマガにもWelgeeのことを書いたと思います。
難民問題だけではありません。社会問題は山積です。
厚生労働省の調査によれば、日本の子どもの貧困率(2018年)は13.5%。7人に一人の子供は貧困と言われています。
海洋プラスチック問題もあります。海に流出するプラスチックごみのうち、2〜6万トンが日本から発生したもので、1人当たりの容器包装プラスチックごみの発生量については、アメリカに次いで世界第2位だそうです。
先日、菅総理が2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。温室効果ガス問題も大きな課題です。専門家によると、①各家庭、事務所、店舗等のエネルギー源をオール電化又は水素利用とし、②自動車をすべてゼロエミッション車に転換し、さらに、③発電を再エネ・原子力・CCS付火力で100%非化石化しても達成できない水準が目標になっているそうです。
誰もが日々いろいろな課題を抱えていると思います。 “都会では自殺する若者が増えている。だけども問題は今日の雨、傘がない。”井上陽水さんの「傘がない」の歌詞です。社会問題は認識しているけれど、それよりも、上司の指示、業績目標、家庭など自分の問題の方が優先。それが普通だと思います。
課題解決のために、まずは自分が動くこと
政治家たちや関係団体があーだ、こーだと話しているうちに事態はどんどん深刻化します。優秀な人達が最適解を求めて議論している間に、一人一人が自分ができることをやっていく。全人口の20%の人がちょっとだけでも行動を起こしていたら、世の中だいぶ変わるだろうと思います。
IndigoBlueで世の中に先駆けてワーケーションを始めたYさんが三島で100日ゴミ拾いをしています。彼がなぜゴミ拾いをしているのかは聞いていませんが、昨日現在で31日やっています。雨の日もやっていたようです。素晴らしいなあと思っています。
おまけ
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執筆
Indigo Blue 代表取締役会長
柴田 励司(Reiji Shibata)
上智大学卒業後、京王プラザホテル入社。在籍中に、在オランダ大使館出向。その後、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。2000年には、38歳で日本法人代表取締役社長に就任する。以降、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COOなどを歴任。2010年7月より株式会社Indigo Blueを本格稼働。