「停滞」のためにレジリエンスを発揮していませんか?
“不自由さに対して組織的にレジリエンスがあるんです。”
※レジリエンスとは、「脆弱性(vulnerability)」の反対の概念です。「自発的治癒力」を意味する他、「精神的回復力」「復元力」「耐久力」「立ち直る力」などの意味で使われます。
うまいこと言うなーと思いました。もちろん自嘲的な表現です。某組織の選抜人材との対話で「そんな状態だったらDXどころではないですよね」という私の投げかけへの返答でした。
コロナ禍でいろいろ不自由が生まれました。テレワークしかり、オンライン会議しかり。昭和世代を中心に“不自由さ”を受け入れてしまうマインドセットがあるように思います。
“・・・だからしょうがない。今は我慢だ”。われわれの多くが“我慢は美徳”と教えられてきました。自分の今の境遇を超えることは望むべきではない。そこで不満を抱いたところで何も変わらない。ありのままを受け入れよ・・・ということだったと思います。
このマインドセットがどこから生まれたのかについては諸説あります。それこそ、聖徳太子の「和を以て貴しとなす」を“自分の主張ばかりしていてはいけない”という表層的な解釈が一般化したというものや、第二次世界大戦下の“欲しがりません、勝つまでは。”の影響だと言うもいます。
私は「大人(施政者から教員、親まで)の都合の押しつけ」の影響ではないかと思っています。いつの時代でも大人たちが自分たちの思うようにしたいために“我慢しなさい”と言ってきたこと、それが底辺にあるのではないかと。
不自由さを受け入れてしまうと進歩がありません。我慢するのではなくどうすれば快適になるか?、そのために知恵を働かせ、努力する、それこそが美徳だろうと思います。
レジリエンスは「発展・進化」のために発揮しよう
基本的に仕事は誰かの困りごとを解決するものです。困りごとを解決するので価値があり、対価が生まれます。不自由な状態に対して文句を言うだけ、受け入れてしまう、いずれも仕事をしていないことになります。
周囲を見渡してみてください。受け入れてしまった不自由さ、常に不満を抱いていることがありますよね。もちろん、全てに手をつけることは現実的には難しいと思いますので、何か一つでもいいので改善させるべく動いてみませんか。その際に自分の主張を声高にして、力で変えようとするのはお薦めできません。そのやり方だと力でねじ伏せられた側に新たな“不自由さ”を生むことになります。知恵を使いましょう。
我慢を強要するやり方に“禁止”があります。最近ではさすがにあまり聞かなくなりましたが、一時“Zoom禁止”という会社がありましたよね。在宅勤務であっても社内外の打ち合わせはあります。ただ、自社は会社はZoomは禁止と言われている。社外の人はZoomを強く希望している。そうなると「打ち合わせをしない」という選択肢がないので、個人的にZoomが使える環境を用意して打ち合わせをすることになります。闇Zoomの横行です。ニーズを無視した禁止、我慢は無理なのです。
自社のサービスについても要注意です。クライアント側の不自由さへの耐性をいいことにいつまでも改善しないでいると行動力のあるクライアントから選ばれなくなります。(メガバンクのいくつかは本当にそう。)社内についても同じです。いつまでも不自由さを強いていると行動力のある社員は外に出ていきます。ただし、“こんなに我慢しているのだから何とかしろ!”と社長に詰め寄るのはダメ。自分でなんとかしましょう。それが仕事です。
おまけ
おまけー1:“Zoomにブチ切れるSkypeのCEO”というYoutube動画があります。面白いです。リンクを貼るとメルマガが届かなくなる人がいるので貼りませんが、検索してみてください。
おまけー2:アラフィフ以上の学び直し「PHAZEリカレント」。第二期募集しています。企業派遣をお考えの方はお早目に。(企業派遣の場合、アラフィフ候補もOKです。)
おまけー3:Alexaをお持ちの方へ。“アレクサ、ドラえもんの声やって”と言ってみてください。笑えます。
執筆
Indigo Blue 代表取締役会長
柴田 励司(Reiji Shibata)
上智大学卒業後、京王プラザホテル入社。在籍中に、在オランダ大使館出向。その後、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。2000年には、38歳で日本法人代表取締役社長に就任する。以降、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COOなどを歴任。2010年7月より株式会社Indigo Blueを本格稼働。