総理コメントに見る、トップメッセージの重要性
東京都に。またしても緊急事態宣言が発令。それでもオリンピック、パラリンピックはやるようですね。
「人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを東京から発信したい」。7月8日の菅総理のコメントです。ただ、この「英知」が示されていないので、ずっこけました。
例えばこんな風に話してもらえたら理解できます。
- 【トップとしての想い(どうしたいのか)】
- コロナの感染から国民の命を守りたい
- オリンピックに向けて5年間頑張ってきたアスリートたちの願いにも応えたい
- 頑張ってきたアスリートたちの姿は世界中に勇気と希望を与えるはず
- 【で、どうする】
- 人の流れを最小化させるために、東京都に緊急事態宣言を発令する
- ただし、オリンピック、パラリンピックは予定どおり開催する
- この難局を乗り越えるためにオリンピック、パラリンピック開催にあたってはこれまでにないやり方にする
- 【具体的には】
- 人の流れを最小化する、この基本方針を厳守して開催する
- 選手と医師などの関係者のみ入国を許可するそれ以外の各国のIOC関係者やプレスについては入国を認めない(もう入国している人は帰っていただく)
- プレスについては日本が共同配信センターを設置し、各国へ配信する
- 撮影にあたっては無人カメラ技術を活用する
- 選手の国内移動についてはバブル方式とする。6月19日のウガンダ選手団の取り扱いのようなことはしない。(陽性反応があった選手を移動させるようなことはしない。)
- コロナ感染対策に反する行動をとる選手は失格・帰国とする
- 開会式、閉会式はオンラインで行う
- 選手のインタビューについてもオンラインで実施する
- 開催期間中は全国民について400キロを超える移動は特別な事情がない限り認めない 等
こうした施策の中には日本政府の決断ではできないものもあるでしょう。それを調整するのが政治家の仕事です。調整に時間を要する場合には、日本政府としてはこう考える、と強く打ち出すので良いと思います。
この状況を政局にしようとする野党は信頼を失います。小異を乗り越えて協力する姿勢があってこそ、与党になりうる実力と人格性を持つ野党だと思います。
トップメッセージが、異なる組織を1つにする第一歩
この話はオリンピック問題に閉じた話ではありません。企業においても当てはまる話です。
別の組織の責任範疇だから、“領空侵犯”しないように気を配る、というのは違うと思います。共通の目的のために、お互いの領域に対して口を出し、異なる組織どうしが力を合わせる。そういう動きをすべきだと思うのです。そのためにはトップが「想い(どうしたいのか)」を明確に伝える。これが第一歩です。
(総理にスピーチライターついてないのかなー。)
おまけ
おまけー1:1週間ほど前に神谷町の某所でフレッシュ・バナナジュースを頼みました。担当したのは“明らかに最近入った”バイトくん。ふと見ると、バナナを皮ごとミキサーにいれています。“お、おいっ!”と声を発しそうになりましたが、すかさず調べてみました。「バナナ、ジュース、皮ごと」・・・あるじゃないですか。
おまけー2:3日前に同じ店でフレッシュ・バナナジュースを頼みました。今回は「店長」という名札がついているベテランです。・・・バナナの皮をむいてミキサーにかけています。
「あの、バナナ、皮ごとミキサーにかけるんじゃないの?」と私。
すると店長は満面の笑みで「そういうのもありますけどね。」
おまけー3:日経産業のコラムです。「古い部長像を見直せ」
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO73463240R00C21A7XY0000/
執筆
Indigo Blue 代表取締役会長
柴田 励司(Reiji Shibata)
上智大学卒業後、京王プラザホテル入社。在籍中に、在オランダ大使館出向。その後、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。2000年には、38歳で日本法人代表取締役社長に就任する。以降、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COOなどを歴任。2010年7月より株式会社Indigo Blueを本格稼働。
関連するIndigo Blueのサービス
記事はメルマガ「人事の目」で配信されています。