PRESIDENT Onlineに興味深い記事を見つけました。日本の閣僚はOECE諸国の中で最高齢なのだそうです。35か国の平均は53.1歳。日本は62.4歳。このデータは2018年現在とのことですが、岸田内閣の平均年齢が61.8歳なので、現時点でも最高年齢でしょう。記事の中で、閣僚が高年齢であると国の施策にどのような影響が及ぼされるかについて言及しています。国の施策を決定するパラメーターは様々で一概には言えないと思いますが、切り口としてはおもしろい内容だと思います。
一方で、東京商工リサーチにこんな記事がありました。“社長の年齢別に直近の企業業績をみると、「増収」は30代以下で54.2%と最も大きく、年齢と反比例する形で70代以上は39.2%と4割を下回る。70代以上は、「赤字」や「連続赤字」の割合が全年代で最も高く、社長の高齢化と業績不振には関連性がうかがわれる。”(東京商工リサーチ、2021年8月4日配信より。)ちなみに2020年現在の日本の社長の平均年齢は62.49歳(過去最高)だそうです。
トップの年齢が高いことについて、私は問題視していません。問題は役員の年齢構成だと思っています。多くの企業の役員はトップの年齢の前後の方ばかりです。いわば同じ世代です。ここが問題だと思うのです。先の東京商工リサーチによる“社長の高齢化と業績不振には関連性がうかがわれる”は、役員層の高齢化と業績不振と置き換えられるだろうと見ています。
世の中はとてつもないスピードで変化しています。中期経営計画をきっちり立てるよりも、変化に適応できる耐性を持つこと。これが企業の今の命題だと思います。そのためには多様なアンテナを組織内にたてておく必要があります。女性の登用ももちろんですが、それだけでは足りません。異なる世代の目が必要だと思うのです。世代が違うと、モノの見方、リスクテイクの度合い、変化の捉え方、意思決定のあり方が変わります。
わかるけどいきなり役員のガラガラポンはできないという企業が多いでしょう。その場合には各世代の代表を集めた(仮称)経営協議会を設けましょう。その上で、現職の意思決定者たちが経営協議会の意見に耳を傾ける。まずはここからでしょう。
この試みを活かせるかどうかは聞く側の態度にかかっています。いかに真剣に耳を傾けることができるか。その声を取り上げることができるか。とりあえず聞きました、という形式的な態度では意味がありません。3か月に一度の頻度でいいと思います。半日ぐらいかけて各世代の代表者たちとひざ詰めで議論する機会を設けてみてください。各世代の代表は自薦・他薦による選挙で2名(男性、女性1名づつ)決めましょう。その任期は1年。各世代の代表は同世代間の対話を継続し、経営協議会に臨みます。
この仕組みを廻していくことで、次世代経営者候補にとっては思考トレーニングの場になります。また、役員への早期登用を進めるきっかけにもなります。副次的な効果としては、若い層が会社の経営運営に対して当事者意識を持つようになり、結果として上意下達の求心力型組織が遠心力型に変わっていくと思います。
まずは意思決定に資する眼の多様化をしましょう。これにより、現場で起きている変化の兆しを捉え、柔軟に対応する力が生まれます。
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おまけー3:桃太郎のお話を文節ごとにつなげていくエクササイズで、「むかし、むかし」、「あるところに」、「お爺さんと」と言われて、「お兄さんが」とつなげた人あり。そうなると誰も川に洗濯にいかないので、ついに桃太郎の発見はできませんでした。
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