932号「成長は自己責任であることを新人に伝えてほしい」(メールマガジン「人事の目」)

だいぶ暖かくなってきました。人事系の方にしてみると、新入社員の受け入れ準備がそろそろ佳境に入ってくる頃ですね。今年はリアル入社式・研修を復活させる企業が多そうです。とある調査によると7割強の企業(企業規模は不明)がリアルで開催とのこと。御社はどうされますか。

そもそも“集団入社式”は新卒一括採用に紐づく日本独自の慣行です。大学のあり様がその所以だと思っています。欧米の大学は卒業が厳しい「出口管理」です。結果として卒業するときに各人が自分の職能を認識し、ある程度の実力を備えています。日本の大学は入試が厳しい「(勉強結果による)入口管理」です。卒業するときに、社会人として働くスキルが身についているかというとそうでもありません(一部の例外を除き)。「社会人としてのマナー」みたいな内容すら新入社員研修で定番になっているのはこのせいです。(これについての問題意識は別の機会に書きます。)

入社したときの印象づけは重要です。会社が教育してくれる、育成してくれる、という印象を与えないようにしましょう。会社は新人の成長スピードを加速させることが、組織全体の質的向上および成長に役立つから、成長機会の提供、成長支援策を講じているのです。

成長は「自己責任」です。社会人として活躍したいのであれば、自らの可能性を拡大していく成長意欲があることが前提となることを伝えましょう。成長すればするほど様々な仕事の機会が訪れ、さらに成長が誘引される、いわば成長の好循環が訪れること。それが充実した社会人人生を送ることにつながることを教えてください。

配属される仕事のためのスキルや知識を習得してもらうことはもちろんですが、以下の基本的なポータブルスキルを鍛え、心のもちようを意識させることは配属前にやっておくことをお薦めします。




「聞く」は相手が意図することを理解するためのスキルです。あらゆるシーンで上司、同僚、顧客などいろいろな相手の話を聞いて動くことになります。相手が発する情報を最大限インプットするためのスキルを鍛えましょう。聞くときのリアクション、パラフレーズ(相手が話した内容をまとめて確認する)、効果的な質問の発し方を学びます。

「整える」は情報を整理し考えをまとめるためのスキルです。「空・雨・傘」や「意思決定者が求める5つの流れ」にストーリーを組み替える練習、ロジックツリーに整理する練習などを行います。

「伝える」は自分の意図をわかってもらうためのスキルです。1分スピーチなどを通じたわかりやすく話す練習、構成、文章の長さ、流れを意識したわかりやすい文章を書く練習(「文章1000本ノック」)をします。

心のもちようについては先人たちの生きた経験談を聞くことから、その大切さを気づいてもらいます。経験に勝る学びはありません。そこに感情の揺らぎがあるからです。感情の揺らぎがあると忘れません。経験談を聞くことでもそれなりの効果はあります。

これらのことは社会人になる前に習得しておいた方が絶対にいいと思っています。20歳までに習得してもらえるような学習機会を今年1年かけて用意していきたいと思っています。

おまけー1:願いは叶うものです。小田和正さんのコンサートに行きたい!と願っておりましたら、ファンクラブに入っている知人がご自分の当然チケットを譲ってくれることに!(ありがたやー)

おまけー2:稲荷町にある某とんかつ屋さんで、お待たせしました!と届いたものを食べていたところ、カウンター越しに眺めていたご主人から、“すみません、出来がいまいちなので作り直します。ちょっと待っててください。”と下げられました。改めて出てきたとんかつは極旨でした。映画「みんなのいえ」の中の真田広之さん演ずるバーテンダーのことを思い出しました。

おまけー3:「聞く」「整える」「話す」のポータブルスキルのトレーニングをやってほしいという方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください。

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