938号「マイナンバーカード制度にモノ申す」(メールマガジン「人事の目」)

マイナンバーカード制度について“モノ申したい”ことがあります。

申請中に市区町村を越えて転居すると申請そのものがキャンセルされます。これが腑に落ちません。

私がその一人です。本日現在、東京都港区に住んでいるのですが、諸般の事情から千代田区に転居することになりました。転居届を港区の区役所に提出にいったところ、“マイナンバーカードがまだ届いていないとなると、申請やり直しですね。”と言われました。

申請状況を確認(自分でできます)したところ、不備なく申請は受理されています。交付・送付準備中というステイタスです。つまり、私のデータはあるわけです。それが取り消しとなり、再申請になるということがどうにも腑に落ちません。

再申請となると(たいした作業ではありませんが)国民側の工数が増えます。さらに、取り扱いをする行政側でも工数が増えます。マイナンバー制度は国民生活および行政手続きの効率化を図るもののはずです。工数を増やす仕組みになっていることがおかしいと思うのです。

「なんでそんなことになっているのか?」と港区の窓口で尋ねたところ、区には情報がないとして「マイナンバー総合フリーダイヤル」に問い合わせるように言われました。早速フリーダイヤルにかけたところ、番号誘導の音声ガイドで「再申請となる」という説明がありました。私が知りたいのは「なぜ、そういう仕組みになっているのか?」です。

担当者につながるのを待つこと数分。最初に出てきた女性は「おっしゃる通りだと思います。再申請なんておかしいですよね。」という国民感情を理解した反応。ただ、その後、「一応、上に確認しますので、お待ちください。」とのこと。待つこと数分。「ごめんなさい。間違っていました。再申請となります。」とのこと。改めて、なぜそんなことになっているのかと尋ねたところ「わかりません」とのこと。そこで上の方と話したいとお願いしたところ、待つこと数分。上という人が出てきました。

ただ、判を押したように「再申請となります」という手続きの説明を繰り返すだけ。私が聞きたいのは「なぜ、そうなっているのか?」です。これに対して、ここではわからないので制度について関連する部署につなぎます、とのこと。待つこと、十数分。別の部署の人が出てきましたが、「そうなっている」の一点張り。そこで上の人と話したいと伝えたところ、待つこと十数分。上と言われた人が登場。そこで同じやり取りがあり、さらに上の人につなぐと言われ、待つこと十数分。これぞ「たらいまわし」です。

最後に出てきた上の上の人とのやりとりです。
「そういうご意見があったことを記録しておきます。」
「記録されたものはどういう扱いになるのですか?」
「わかりません。」

最近かなり改善されたものの、かつての瞬間湯沸かし器が復活しそうになりました。

「デジタル庁のどちらの部署の方ですか?」
「民間の委託業者です。」

万事休す。

この人に制度設計の思想的なことを聞いても無理です。問い合わせを止めました。これは業者に対するデジタル庁の説明不足と業者側の問題意識の不足です。現場に“なぜ?”に対する回答がない。これでは現場の仕事の質が高まるわけがありません。何も考えずに言われたことをやるだけです。マイナンバーカードに限った話ではないですね。ここを変えないと、どんなに良い施策を講じたところで、その価値が国民の身近なところで棄損します。(これは企業でも同じです。)


おまけ―1:ということで絶賛引っ越し中です。今回お願いした引っ越し業者がベンチャー的でなかなかいい感じです。大手引っ越し業者を辞めた数名で起業。大手では対応できない点をすべて改善するという意識でやってくれています。

おまけー2:都内のタクシーに“流し”はほぼいない、と思った方がいいですね。GOの普及がすごいです。

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