946号「量をこなす」(メールマガジン「人事の目」)

自分の仕事の質を高めたいと思ったら、まずは量をこなす。これに尽きると思います。特に、社会人になったばかりのときや、新しい仕事に就いたときはそう。「仕事始め」には量をこなすべし。これが一番だと思います。そうやって仕事を覚えると忘れません。経験からの学びが身体知になります。

ケーススタディや理論を勉強したり、マニュアルを覚えたりするだけで学んだつもりになっていてはいけません。自分で手を動かす。脳に汗をかくことが必要だと思います。

最近の傾向として心配なことがあります。“量をこなせ”的な働かせ方をすると、表面的なことだけを見てブラック企業だとクレームする人、騒ぐ人が出ることです。会社側もそう言われることを怖れて、新人に対してホワイト過ぎる環境を提供してしまう。仕事始めだからこその高い弾力性を活用しないでどうする?と思います。この弾力を使わないでいると脂肪化し、新人の仕事の質を劣化させます。

”量をこなす“ことが早く仕事ができるようになる秘訣である。新人にはこのことを理解してもらった上で、自分の判断として”量をこなしてもらう“のが良いと思います。ただ、オーバーワークにならないように見ておくことは必要です。ロッテの佐々木朗希投手のように十分な機会を与えつつも大事に育てましょう。

量をこなそうとすると、その仕事の中身は玉石混交になります。“糞つまらない”仕事もあると思います。が、それでいいんです。それが現実です。すべての仕事が“キラキラ”しているわけがありません。むしろ玉石両方をこなすからこそ感じるものがあります。

このとき何かを得ようと思ってやらない方がいいですね。何かを欲してやると自分のアンテナがそっち方向だけに向き、視野が狭くなります。無心でやる。無心は自分を開かせます。天から降ってきたように何かのアイディアが浮かぶのは無心のときです。

ある方が“夢中は努力に勝る”と仰ってました。その通りだと思います。無心といっても適当にやっていては意味がありません。全力でやるのです。全力で量をこなすことから、無心は夢中となり、そこからの学びが身体知となるのです。身体知は人間ならではのものです。AI時代に最も大事なことは“知識を習得すること”ではなく、“経験から全感覚を通して学ぶこと”だと思います。記憶するのではなく、自分の中に取り込むこと。それがAIをしのぐ“勘”を研ぎ澄することになります。そのための量です。

「仕事始め」で有効と書きましたが、どんなときでも量をこなす、は有効だと思っています。私自身もそうです。ここ2年ほど、意識的に仕事の幅を広げ、量を劇的に増やしてきましたが、結果として自分の処理能力が過去最高に上がっているように思います。(年齢も関係ないということです。)量をこなしましょう。


おまけー1:先週ご紹介した「半径3mの人間関係~若手の孤立を防止する」(6月2日18時から)法務省矯正局から少年院、刑務所で勤務され、2022年からは北海道大学学生相談総合センターで講師を務める鈴木育美さんのオンライン講義です。ご参加お待ちしています。
https://coubic.com/narukyoto/610113

おまけー2:新幹線乗車中に緊急地震速報が発生。新幹線が止まり、停電。新幹線がゆらゆら。(一番怖かったのは車内のスマホから一斉にアラート音が出たこと)

おまけー3:さすがに週3回も北陸新幹線に乗ると、東京駅の駅弁屋のおばさんと馴染に。「(長距離通勤、たいへんよねー)」という眼で見てきます。次はゆで卵がつくと思います。



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