企業の持続的な成長には、組織を牽引するリーダーが継続的に輩出される環境作りが大切です。これからのリーダーは、AI技術の進歩や働き方の多様化など、社会の変化を先読みし、グローバル化したビジネスの世界をリードしていく必要があります。
しかし実際には、「次世代を任せられる人材が少ない」「戦略的に育成していく方法がわからない」とお困りの企業も多いでしょう。
リーダーシップは、座学や一時的なケーススタディ研修のみで培うことはできません。リーダーシップを養う最も効果的な方法の一つは、ビジネスにおける「修羅場」を体験してもらうことです。
この記事では、リーダーの成長にとって重要な「修羅場体験」とは何か、リーダーに求められるスキル、リーダー育成のポイントやおすすめの育成研修をご紹介します。
企業の人材育成・組織開発を長年支援してきたIndigo Blueのノウハウから、リーダー育成のポイントをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
リーダーの成長ポイントは「修羅場体験」にある
多くの経営者やリーダーが、自身の成長のターニングポイントとして「修羅場体験」をあげています。
新規事業の立ち上げや海外での事業推進、不採算事業の再生や撤退など、個人の力だけでは対応できない緊急かつ重大な出来事が、リーダーとしての器量を大きくするきっかけになっているのです。
(出典:リクルートマネジメントソリューションズ「修羅場がリーダーを育てる」)
一方で、企業は「修羅場」が発生しないようガバナンスを強化し続けています。これは企業経営として当然のことです。ただし、ビジネスにおける「修羅場」は発生しにくくなり、結果としてリーダーが飛躍的に成長する機会が少なくなっているともいえます。
企業が戦略的にリーダーを育成していくためには、対象者に修羅場の体験機会を提供し、実践の中から学びを深めていくサポートをすることが効果的です。
修羅場研修で身に着くリーダーの4つのスキル
企業/組織を牽引していくリーダー(もしくは、リーダー候補)にとって、「修羅場」はピンチである一方、自身の成長の機会でもあります。リーダーは修羅場体験を通じてリーダーにとって特に重要なスキルを実感し、学ぶことができるのです。
以下では、修羅場体験で学ぶことができる、「リーダーが身に着けるべき4つのスキル」の解説します。
大局観
リーダーには、同時多発的に発生する事態を俯瞰的に捉え、将来起こりうるリスクを見据えて物事を推進する「大局観」が必要です。
具体的には、以下のような力が求められます。
- 短い時間で現状と全体像を把握する「把握・要点整理力」
- 物事の本質を見抜く「洞察力」
- 複数の事象から将来を見通す「先見力」
事態を打開するカギは何か、おさえるべきキーパーソンは誰か、少ない情報の中から推察し、短時間で決断する力が必要です。
変化対応力
ビジネスの世界では、物事が刻一刻と変化し続けています。特に緊急対応を迫られる事態では、短期間に状況が一変することも珍しくありません。リーダーは変化に柔軟に対応する力が求められます。
- 前例/通例に捉われず最適解を導く「開拓力」
- 決定的な損失を回避できる「危機対応力」
- 困難な状況に直面してもあきらめず、復元できる「レジリエンス」
変わり続ける状況を適切に捉え、粘り強く最適解を導き出す力が必要です。
チームダイナミクスを生む力
リーダーとプレイヤーの決定的な違いは、チームで成果をあげることへの意識の差です。リーダーは組織としての成果をあげるべく、メンバー1人1人が力を最大限に発揮し、相乗効果を生み出せるよう働きかけます。
- 共通の目的を示す「ビジョン力」
- メンバーの自律的な言動を促す「エンパワーメント」
- メンバー全員の意見を引き出す「ファシリテーション力」
単に明るく振舞えるだけでなく、メンバー全員の能力を引き出す力が大切です。
周囲を巻き込む・味方にする力
チームメンバーだけでなく、社内外のステークホルダーを巻き込む力も大切です。具体的には、以下のような力を身に着ける必要があります。
- 相手の立場を理解する「傾聴力」
- 相手の期待を超えた提案ができる「ホスピタリティ」
- 相手にとってのメリットを示せる「提案力」
ビジネスの規模が大きくなるほど、関係者の数も属性も増えていきます。リーダーには自分たちの主張を通すだけでなく、ステークホルダーがwin-winになる関係作りが求められます。
修羅場研修を実践力につなげる3つのポイント
リーダー育成プログラムの構築にあたっては、「ACSモデル」を意識した設計が重要です。
ACSモデルとは、リーダーシップ開発を手掛けるアメリカの非営利団体Center for Creative Leadership(CCL)が提唱するリーダーシップ育成モデルです。
リーダー育成には、以下3つの要素が必要とされています。
- アセスメント
- チャレンジ
- サポート
(出典:Center for Creative Leadership「The Center for Creative Leadership’s ACS Model」)
リーダー育成に必要な3つの要素とポイントについて、それぞれ解説します。
アセスメント
アセスメントは、上司や同僚・顧客・人材育成の専門家などの評価から、自分の実力の現在値を知ることです。自他の認識の差、目標と現状の差を知り、伸ばすべき力を認識します。
第三者からの客観的な評価とフィードバックが、リーダーの成長を促進させます。
プログラムの実施前後を含め、定期的にリーダーが自身の強みや弱み、能力レベルを客観視できる機会を作りましょう。
チャレンジ
リーダーの実力値を把握したうえで、1人では対処できないタフな経験(=修羅場体験)を積ませます。
慣れ親しんだ経験領域から意図的に引き離し、逃れられない状況を経験することで、リーダーとしての自覚や成長への飢餓感を生み出します。
後述するリーダー育成プログラムに参加したり、チャレンジングなポジションに就かせたりして、現状から大きく成長するターニングポイントを提供してください。
サポート
未経験な挑戦に臨むリーダーたちへのサポート体制も重要です。
プログラム参加前の動機付けや、実施後の伴走的なサポートによって、プログラムの定着率や成長速度を高めていきます。
失敗を許容する風土づくりはもちろんのこと、定期的なコーチングなどによって、リーダーが進むべき道を邁進できる環境を整えてください。
経営力を身に着ける修羅場研修3選
最後に、実践的なリーダー育成に効果的な研修プログラムを3つご紹介します。
いずれも単なる座学ではなく、「修羅場体験」をベースにした実践的な育成プログラムです。各プログラムの特徴と自社のリーダー育成における課題を照らし合わせて、最適なプログラムを選択してください。
プログラム1|修羅場の体験型ケーススタディ「Organization Theater」
(出典:株式会社Indigo Blue「Organization Theater®」)
株式会社Indigo Blueが提供する体験型ケーススタディ「Organization Theater」は、受講生が企業の経営幹部となり、実在の事例を含む、企業で発生する事件・事故をモチーフにしたケースを疑似体験するシミュレーションプログラムです。
受講生は、死傷事故やコンテンツ盗用問題など企業の存続にかかわる緊急事態に対し、ステークホルダーを巻き込んだ問題解決に迫られます。
特徴 |
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効果 |
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大手金融機関・メーカー・IT企業などの育成プログラムとして導入され、年間約400名のリーダーがOrganization Theaterを体験しています。
実施前の動機づけ、経営経験者等によるアセスメント、実施後の伴走プログラムも追加でき、企業の課題に合わせたオーダーメイドのリーダー育成プログラムを実現可能です。
プログラムの詳細は、下記動画からご確認ください。
(出典:株式会社Indigo Blue「Organization Theater®」)
プログラム2|海外修羅場研修「海外研修ミッション: グローバル」
(出典:株式会社スパイスアップ・ジャパン「グローバル人材育成海外研修 海外研修ミッション: グローバル」)
「世界における日本のプレゼンスを高めたい!」のミッションのもと、海外研修や留学のコーディネートサービスを提供する株式会社スパイスアップ・ジャパン。
東南アジアや中国、インドなどの新興国に1週間赴き、現地のスタッフを巻き込みながら課題解決を図る体験型プログラムを提供しています。
特徴 |
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効果 |
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これまでに約100社から1,500名以上が「海外研修ミッション: グローバル」に参加しています。
複数社で参加する「オープンコース」と、1社ごとにカスタマイズして実施する「インハウスコース」が用意されており、ニーズに合わせて選択可能です。
(出典:株式会社スパイスアップ・ジャパン「グローバル人材育成海外研修 海外研修ミッション: グローバル」)
プログラム3|5日間在宅海外研修「リモート・プラクティカルトレーニング」
企業向け人材開発プログラムなどを提供する株式会社ウィル・シードは、オンラインの海外修羅場研修である「リモート・プラクティカルトレーニング」を実施しています。
タイやベトナムの現地バディーとペアを組み、5日間で課題解決に取り組みます。
特徴 |
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効果 |
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子育てや介護などの事情で海外渡航が難しい方でも参加できる、グローバル育成研修です。
変革期の今こそリーダー育成に修羅場研修を
組織を牽引するリーダーの育成には、成長のターニングポイントとなる「修羅場」の体験が重要です。
自身の現時点の実力を正しく認識し、有事の環境下でチャレンジングな経験を積むことで、学びを得ると共にリーダーとしての強烈な当事者意識や成長意欲を促進できるでしょう。
実践力を伴うリーダーシップは、座学研修だけでは身に着きません。人材育成のプロフェッショナルが提供する実践型の修羅場プログラムを導入し、リーダー育成を加速させることをおすすめします。
記事内でご紹介した修羅場の体験型ケーススタディ「Organization Theater」については、以下よりお気軽にお問い合せください。
記事監修
瀧谷 知之(Indigo Blue 取締役)
トーマツ コンサルティング(現デロイト トーマツ コンサルティング)に入社し、通信ハイテク業界の戦略立案/変革支援に従事。 その後ジュピターTVを経て、ツタヤオンライン、TSUTAYA、カルチュア・コンビニエンス・クラブで経営企画/経営戦略室長として、ネット事業領域を中心に戦略立案や事業改善、新規事業企画、赤字事業の再建/撤退、M&A等を手掛ける。 2010年に株式会社コラビーを設立し代表取締役CEOに就任のほか、パス株式会社の代表取締役COOおよび各グループ会社の代取/取締役を経て現在に至る。今までに上場企業含め9社の代取/取締役を経験している。