次世代リーダーの役割と定義・人材像|「求心力リーダー」に必要なスキル

企業が持続的に発展していくためには、組織を牽引するリーダーが輩出され続ける仕組みが必須です。多くの企業が、「次世代リーダーの育成」を重要な経営課題として捉えていることでしょう。

企業の変革を支援するIndigo Blueは、これまで「会社を変えたい」「次代を継ぐリーダーを育てたい」という経営者の方に多数お会いしてきました。

多くの企業が次世代リーダー育成の重要性を認識しているにもかかわらず、実際に育成に着手できていない、理想の半分も実現できていない、と語ります。

しかし、今や次世代リーダー育成は企業にとって「待ったなし」の最重要課題です。なぜ今次世代リーダー育成が重要なのか、実際にどのような育成プログラムが必要なのか、Indigo Blueの知見をもとに全5回に分けて解説します。

▼Indigo Blueの次世代リーダー育成コラム

【第1回】次世代リーダー育成こそ企業の最重要課題|意図的な育成が必要な3つの背景
【第2回】次世代リーダーを育成する5つのステップ|社内育成と外部資源の活用
【第3回】次世代リーダーの定義と役割・人材像|「求心力リーダー」に必要なスキル
【第4回】次世代リーダー育成のポイント|インプット・スループット・アウトプット
【第5回】次世代リーダー育成を阻む課題とは|学習モデルの四象限と理想的な学び

第3回は、次世代リーダーの定義と役割、人材像について解説します。

組織の在り方は「遠心力型」へ

組織の在り方は遠心力型へ

次世代リーダーの定義をひも解く前に、組織の在り方の変化について確認しましょう。

旧来、組織の在り方はトップが意思決定し、現場が指示に従って行動する「求心力型マネジメント」が主流でした。

求心力型マネジメント

上意下達の求心力型マネジメント組織では、PDCAサイクルは以下の順に巡ります。

  • 計画:リーダー
  • 実行:現場スタッフ
  • 評価:リーダー
  • 改善:現場スタッフ

同じ製品をより早く大量に生産することが求められる産業の場合、統率力の高い求心力マネジメントが有効です。現場で経験を積んだ優秀なスタッフがリーダーとなり、これまでの知見をベースに意思決定をします。

経験に基づく熟練の判断ができる一方で、現場の自由度が制限される、スピード感のある決定・実行ができないといったデメリットがありました。これは、ビジネス環境の変化が激しい現在の企業にとっては、大きなマイナスといえます。

そこで、近年ではより顧客に近い現場社員が自ら意思決定し、ビジネスを加速させていく「遠心力型マネジメント」が求められています

遠心力型マネジメント

遠心力型のマネジメントスタイルでは、ビジネスの前線で活躍する社員が自ら PDCAサイクルを回します。こうすることで、多様化する顧客ニーズにいち早く対応し、社員の創造性を生かした事業展開が可能になるのです。

また、新型コロナウイルス感染症の流行以降リモートワークが一般化し、人々の働き方も激変しました。フリーランスなどの業務委託者と仕事をする機会も増えています。このような多様な働き方に対しても、遠心力型マネジメントが有効です。

求心力型マネジメント

遠心力型マネジメント

組織の在り方

上位職の指示に下位職が従う

個々の社員が自らの判断軸により動く

メリット

統率が取れやすい

柔軟かつスピーディ

デメリット

自由度・発展度が弱い

ときに非効率

働き方

全員が同じ場所で働くスタイルに合う

社員が離れた場所で働くスタイルにも対応できる

このように組織が求心力型マネジメントから遠心力型マネジメントに変わった今、次世代リーダーに求められる役割も大きく変化しています。

次世代リーダーの定義と役割

次世代リーダーの定義と役割

旧来の求心力マネジメント型リーダーの役割は、周囲に指示命令を出し、ときに賞罰を与えて現場を動かしていくことでした。しかし、現場が自ら意思決定をしていく遠心力型マネジメントにおいて、リーダーの定義は大きく変わりました。

リーダーとは「周囲に良い影響を与えて、組織を動かす人」に変わったのです。

  • いかに魅力的なパーパスで組織をひとつにできるか
  • 現場が働きやすい環境を整えられるか
  • 全員が自発的に行動する雰囲気を作れるか

次世代リーダーは、個人の力で組織を牽引するのではなく、全員の力を最大限に発揮して組織で成果を上げる力が必要といえます。

同時に、ビジネス環境の変化が激しい現代において、リーダーはこれまでの経験からは太刀打ちできない不足の事態に直面することが多いでしょう。これらの状況から、リーダーには以下3つの資質が重要といえます。

  1. 仕事面で目標にしたい人物であること
  2. 人間面でわかってくれる人物であること
  3. ”想定外”に対処できること

それぞれご紹介します。

1.仕事面で目標にしたい人物であること

遠心力型マネジメントの組織において、リーダーは「周囲に良い影響を与えて、組織を動かす人」です。そんな次世代リーダーは、「あの人と一緒に働きたい」と思える実力を兼ね備えた人物である必要があるでしょう。つまり、「仕事面で目標にしたい」と思われる実力が伴っていることが第一条件です。

優れたリーダーたちの行動を分析すると、以下のような評価を受けている人が多いことがわかります。

  • 材料が揃わない状況でも決断できる
  • 状況に応じて軌道修正する力がある
  • 全体最適の視点がある
  • 常に周囲を明るくする言動ができる
  • 「個」を生かすマネジメント力がある
  • 処理能力が高い

これらは、次世代リーダーに求められる”仕事軸の要件”の条件と考えることができます。

2.人間面でわかってくれる人物であること

「あの人と一緒に働きたい」と思われるリーダーは、「自分のことをわかってくれている」という人間軸の評価が高い人物でもあります。

  • 「I care about you」の精神で他者への気配りがうまい
  • 平常心があって落ち着いている
  • 不断の成長意欲がある
  • 苦難を乗り越えるレジリエンスがある

単に仕事ができるだけの人物に、メンバーはついていきません。聞き上手で相手に寄り添うことができる人間性、誠実でやり抜くマインドが、リーダーに欠かせない要素といえます。

3.”想定外”に対処できること

AI技術の発展や未曽有のパンデミックなど、私たちを取り巻く環境はかつてない速さで変化し、予想外の事態に見舞われ続けています。今後何が起こるか予測の立てにくい現在において、次世代リーダーにはこれまで以上に「有事対応力」が求められます

  • 想定外の事象が起きても思考停止せずに立ち向かう
  • 利害関係者を特定してそれぞれに配慮した対策を考えられる
  • 全体感をもって物事に優先順位をつけられる
  • 迅速に判断・行動できる

有事対応力を身に着けるには、「修羅場」を潜り抜ける経験が最も有効です。次世代リーダーとしての活躍が期待される人材には、修羅場の経験/体験をさせて、いざというときに立ち向かえるスキルとマインドを身に着けてもうら必要があるでしょう。

「あの人と働きたい」と思われる次世代リーダーに

「あの人と働きたい」と思われる次世代リーダーに

今回は、遠心力型マネジメント組織における次世代リーダーの定義と、求められる役割についてご紹介しました。

仕事軸と人間軸を鍛え、有事対応力を身に着けることで、「あの人といっしょに働きたい」と思えるリーダーになること。これが、今後の次世代リーダーの目指すべき姿といえるでしょう。

株式会社Indigo Blueでは、数多くのクライアント企業に次世代リーダー育成プログラムをご提供しています。変化の激しい時代、不測の事態に挫折せず、チーム力を発揮して成長し続ける次世代リーダーの育成に、ぜひご用命ください。

次回のIndigo Blueの次世代リーダーコラム第4回では、次世代リーダー育成のポイントについて解説します。

▼Indigo Blueの「次世代リーダー育成ソリューション」については、コチラをご参照ください。
▼有事対応力を鍛える修羅場体験プログラム「Organization Theater®」については、コチラをご参照ください。

記事監修

瀧谷 知之(Indigo Blue 取締役)

トーマツ コンサルティング(現デロイト トーマツ コンサルティング)に入社し、通信ハイテク業界の戦略立案/変革支援に従事。 その後ジュピターTVを経て、ツタヤオンライン、TSUTAYA、カルチュア・コンビニエンス・クラブで経営企画/経営戦略室長として、ネット事業領域を中心に戦略立案や事業改善、新規事業企画、赤字事業の再建/撤退、M&A等を手掛ける。 2010年に株式会社コラビーを設立し代表取締役CEOに就任のほか、パス株式会社の代表取締役COOおよび各グループ会社の代取/取締役を経て現在に至る。今までに上場企業含め9社の代取/取締役を経験している。


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