“5月10日、アメリカが一部の中国製品の関税を25%に引き上げましたよね。
Newsweek日本版5月28日号に面白い記事がありました。トランブ大統領が中国側の
“合意破り”にキレた、と報道されていますが、魏尚進コロンビア大学教授は
こう語っています。
“アメリカにしてみれば“合意破り”だが、中国にしたら“何も合意していなかった”
“アメリカ人は多くの場合、チェックリスト方式で交渉を行う。9項目について合意を
形成したいなら、1項目ずつ話し合って相違点をつぶしていく。これとは対照的に
中国人は9項目を全体として1つの合意とみなす傾向がある。「全てが合意に至るまでは、
何一つ決まっていない」とうアプローチだ。”
文化的背景が異なることをお互いに理解していなかった。これがこじれた根幹にある。
魏教授の主張は腹落ちします。米中双方が自国の目線だけで議論していたのでしょう。
国際交渉に長けた人が双方の陣営にいたら違う展開になっていたかもしれません。
似たような問題は至るところにあります。国をまたがなくてもあります。
自分にとっての「合理」は相手にとっては「不合理」ということはよくあります。
立ち位置が違うと全く異なる「理」が成立するからです。行政と住民、上司と部下、
発注元と発注先、売り手と顧客、・・・。自分の目線からの常識を押しつけがちです。
(こう話したら、こう言ってくるだろう)ところが全く違う言葉が返ってくるので、
憤慨したり、怒ったり・・・。自分が考えるように相手は考えない、このことを忘れ
がちです。どちらが絶対的に正しいということはありません。お互いの立場からすると
常に自分が「正義」なのです。これを力で抑え込むと「恨み」を買います。
TBSの日曜ドラマ「集団左遷」。福山雅治さん演じる銀行の熱血支店長が本店の考える
リストラ計画に反発。業績を劇的に改善させることで支店統合を免れようという
ストーリーです。この時間帯のドラマにありがちな展開、過剰なキャラ設定なのですが、
なかなか面白いです。
ここでは、銀行全体の視点からスリムダウンを考える常務と1店舗の視点から考える
支店長との対立がクローズアップされています。ドラマ的には三上博史さん演ずる常務が
いかにも悪で、福山雅治さんが演ずる支店長がいかにも正義のように演出されていますが、
本来はこれらを対立させてはいけないのです。
合併後の銀行としては、同一地域に重複する視点は統合すべきです。AIの導入を見込み
新たな銀行像を考えているのも正しい。一方でサラリーマンの視点からすると会社の
理屈で自分たちの仕事を取り上げられるのはたまりません。だらか、何と言われようとも
業績をあげて生き残りを図る。これも正しい。
本来であれば、「未来を見据えた銀行のスリムダウン化」と「業績を上げている人たちの雇用」
の双方を叶える共通目標を見出し、その実現に向けてそれぞれの立場で力を尽くす、
この方向づけが必要なのです。それをディレクションするリーダーが必要です。
ドラマの中では市村正親さんが頭取役なので、そろそろ(大声で)出てきてもらいたいものです。
先のアメリカと中国の対立ですが、これは世界中の消費者を痛めることになります。
政治はともかく、経済、文化の受益者は地球規模になっていますから。
おまけー1:「集団左遷!」
(構成が浅く、トピックスが二番煎じなのが惜しいですが、軽く見るには、まあ面白いです。)
https://www.tbs.co.jp/shudan-sasen/
おまけー2:ちなみに最もこうした対立が顕在化しやすいのが「男と女」だと思います。
だから、黒川伊保子さんのご著書がベストセラーになるのでしょう。
おまけー3:京都のイベントスペース「NARU」。見学大歓迎です!が、常駐者がおりません。
ご希望の方はNARUホームページのお問い合わせからお知らせください。
(お手数をおかけしてすみません。)
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