Vol.786「テレワークと優しい自分」(メールマガジン「人事の目」より)

在宅勤務が一般的になって3週間。どうですか。悪いことばかりじゃないですよね?

新型コロナウイルス問題が終息しても、このテレワークという働き方は残るんじゃ
ないでしょうか。

“テレワークだと、カメラの前にずっといないといけないんでしょ。”と完全に誤解
していた人がいましたが、違います。(それは監視されるペットです。)要はオフィス
ではない場所で仕事をすること。それが家だと在宅勤務、サテライトオフィス、新幹線、
その他の場所だとリモートワークということになります。

今まではオフィスに出勤するのが当たり前でしたが、今回のことをきっかけに、それが
当たり前じゃなくなると見ています。これまで「オフィス」と「オフィス外」で
7:3だった割合が逆転する。そんなイメージです。

私はこの変化にポジティブです。これが実現すると「仕事と家庭の両立負担の軽減」
「労働時間の短縮」が一気に進むと思います。テレワークをうまくやれるようになる
と生産性が向上するからです。

ホワイトカラーの仕事は「交流」と「集中」で進むものです。この両方の濃度を
高めないとテレワーク環境ではしっかり仕事ができません。今のようにテレワークが
半強制されている環境は濃度を高める絶好の機会だと思います。

まず「交流」。この主たるものは、上司と部下との対話。チームメンバー、お客様との会議です。

当たり前ですが、テレワークになりますと聞きたい相手が常にそばにいるわけではありません。
部下との関係ですと、上司が最も使うフレーズランキング第一位の“ちょっといい?”
ができません。チャットで“ちょっといい?”と呼び出してZOOMで話すことはできます。
ただ、しょうもないことで、チャットの“ちょっといい?”を連発すると、
さすがに既読スルーになります。

誰かに仕事を頼むとき、誰かからの依頼を受けるときは、これまで以上にアウトプット
イメージや納期を確認しておく必要があります。濃度を高めるには良いですね。

チャットやメールは対面で質問するよりも気軽にいろいろ聞けます。ZOOMなどのビデオ会議の
場合、時間が短くなるはずです。リアルな会議だと1時間、2時間平気で続いてしまうものも、
ビデオ会議だと15分、30分で終わるでしょう。それが良いのです。

但し、ビデオ会議の場合、リアルの会議よりも議論の内容を意識して“可視化”した方が
いいですね。「論点」、「やるべきこと」、「参加者全員と個人のNext step」。
こうしたことをテレワークの中で誰かがパワポに文字として落としていき、その資料を
全員が確認しながら議論し、会議を終えます。これをやることで、会議の内容の
共有レベルの濃度が上がり、かつ、リアルの会議よりも短い時間で終えることができるはずです。

次に「集中」。これはテレワークの環境によりますが、それがカフェであっても、
一人で作業しているとオフィスの中でやっているよりも短い時間で多くの仕事が
できるはずです。オフィスだと、電話、上司からの呼び出し、仲間とのおしゃべりがあり、
なかなか長い時間集中して作業することができないものです。

人によって集中環境は異なります。音楽を聴いている方が集中できるという人、
集中している人たちの中にいると集中できる(図書館で勉強状態)という人、適度な
運動をしながらの方が集中できるという人がいます。テレワークなので、自分にとって
最もいいやり方をやれます。これがいいのです。

住宅事情から家だとなかなか厳しいという方は自宅近くの「コワーキングスペース」を
見つけて利用するのが良いでしょう。


テレワークが主となったときのリアルな交流機会は従来よりも貴重な場に感じられるはずです。
何といっても相手に対して優しい自分がいることに気づくはずです。


おまけ:The Third Way Forumの事務局長をやってくれている石坂聡さんの自叙伝の
「謎の禅僧 ダオシェンの教え」。とんでもない内容ですが、おもしろいです。

謎の禅僧 ダオシェンの教え

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