日経産業の木曜の紙面に「VB経営AtoZ」というコーナーがあります。数名の執筆陣の
一人として月1回のペースで寄稿しています。 “ベンチャー“に関することなら
なんでもよろしいという編集方針の下、好き放題書いています。もう4年になります。
先週の木曜日に掲載した「ベンチャー育成、本丸は学校」は各方面から数多くコメントを
いただきました。「人事の目」の読者の皆様にも是非読んでいただきたく、ご紹介します。
以下、原文です。
最近の新聞紙上では「起業手続き一元化、政府が検討」「起業促進へ税優遇拡大、
補助金で年収500万円保証」といった記事が目につく。 ベンチャー企業の育成拡大が
この手の政策が整備されることは好ましい。しかし、本丸にはまだ踏み込んでいない。
現在の施策はサラリーマンの独立支援の範囲。将来の日本経済をけん引するような”尖った”
ベンチャー育成には程遠い印象だ。
ベンチャーの源泉は人である。”新しい価値を世の中に提供したい”と思う人が社会に
どれだけ輩出されるか。ここが変わっていかないと世の中の様相は変わらない。
着手すべき本丸は「学校」だ。学校教育で「考える力」を養うべしと叫ばれて久しいが、
なかなか変わらない。その理由は明白。学校の現場に十分に投資していないからだ。
教員の処遇、教育環境を徹底的に整える。また、目指す姿にそぐわない教員には
別の道を勧める。教育の現場の質を劇的に上げないと状況は変わらない。
決められた枠の中で正答を求めることをいくらやっても、枠そのものをつくる力は育まれない。
若いうちに寝食を忘れて新しい価値創出に熱中する楽しさに触れること。
それがベンチャー魂を生むきっかけとなる。
今の「尖った」ベンチャー経営者たちはいわば突然変異的な登場だ。これでは量的な期待は
できない。身近に新たな価値創造に熱中する人がたくさんいれば、その刺激を受け、
その輪が広がる。そういう場を中学校や高校の教育の現場にいかに埋め込んでいくか。
ここがベンチャー育成拡大の根幹だと思う。
このことは教育の現場ではわかっている。個人として取り組んでいる教員もいる。しかし、
それを「仕組み化」して、拡大適用するためのヒト、モノ、カネがないのだ。
ここに政府は着目すべきだ。
忘れてはいけないのは同時に大学入学の仕組みを変えることだ。ここが変わらないと
中学高校の実質的なカリキュラムが変わらない。必要だとわかっていても、現実的には
ベンチャー育成的なことに時間を割けなくなってしまう。
日本の大学は「入口管理」だ。つまり、入学試験を突破しなければならない仕組みである。
この基準は「学力検査」主体であり、決められた枠の中での正答探しを競うものだ。
新たな価値創造は問われていない。「学力検査」が社会で求められる「力」に直結していない
ことは言われて久しい。しかしながら、「入口管理」が変わらないので変わらない。
大学を出口管理にして、さまざまな領域で社会で貢献できる実力を満たすものだけが
卒業できるようにする。これにより学力偏重の入口管理を止めることを提案したい。
大学には新たな価値創出マインドを刺激し、事業化するためのインプットをする科目をつくる。
ベンチャー企業へのインターン派遣を単位認定する。さらにこのインターン受け入れをする
ベンチャー企業に対して支援金を交付する。
これらのことが揃うと、大学生時代に起業する若者が増えるだろう。そうなってはじめて
現在の政府の支援施策が生きてくる。ベンチャー育成拡大をするなら、その「種」に
水と養分を与えることから始めるべきだ。 (了)
人材開発は「場づくり」にほかなりません。育てるのではなく、育つ「場」をつくる。
そのための組織開発、プログラムの企画と実施、これがIndigo Blueのミッションであり、
私のライフワークです。Organization Theater(体験型ケーススタディ)はその代表例です。
昨日、日経新聞朝刊の「新社長コーナー」に適時開示により、某社の”新社長”として私が
紹介されています。(正確には”社長”ではなく代表取締役CEOですが。)
早速、”あれ、Indigo Blueは?”的なお問い合わせをいただいています。ご心配をおかけして、
すみません。正式には株主総会で信任されてからの話ですが、これはIndigo Blueの
フェーズ2の狼煙です。
おまけ-1:音楽座ミュージカルの「泣かないで」の初日を観てきました。いつもながら終演後、
心に滋養が行き渡る感覚。たくさんの方にぜひ観ていただきたい作品です。
おまけー2:電車の中で”おなかの大きい女性”に席を譲って2度怒られた過去あり。
トラウマ化していまましたが、先週すっとやれました。 (^_-) この手のことは、”あっ”と思ったら
考えずに動かないとダメですね。
おまけー3:最近プライベート時に帽子をかぶっています。気に入っているのですが、
無意識のうちに”ジュリーかぶり”になっていると指摘を受けました。こういうところから
歳がばれます。