Vol.686 内部通報制度を整備する前にやること

伊調馨選手周辺”へのパワハラ問題。いつもそうですが、この手のことは実態が

明らかになる前に過剰報道されがちです。その結果、事態が複雑化し、被害者が

増えます。明らかに報道被害です。数か月前の貴ノ岩関への暴行事件もそうでした。

引退を表明された小室哲哉さんの件もそう。問題の本質はどこへやら、

ワイドショーを中心に騒ぎ立てるだけ騒ぎ立てる風潮があります。森友問題もそう。

まともな感覚を持っている人たちのマスメディア離れが加速すると思います。

件の伊調選手周辺のパワハラ問題。これも突然の「告発」から始まりました。

ちなみに「内部告発」と「内部通報」は違います。「告発」は行政・司法機関,

消費者団体,マスコミなどの外部に対して情報を提供すること。明らかに対象相手に

対してダメージを与えることが意図されています。これに対して、会社の中で

よくあるのは「内部通報」。こちらは法令違反、規則違反、パワハラ、セクハラなど

不正行為や疑問などを組織内部の窓口に対して、匿名または実名で相談・通報

することで、事態の改善が意図されているものです。

ところが、内部通報であっても相手にダメージを与えることを意図して悪用され

ることがあります。困ったものです。

そもそも気に入らないとか、注意されたことに腹を立ててとかで、特定の人物を

陥れるための手段として使われることがあります。私が知る限りでも、通報された

が故にいろいろ調べられ、最終的に「問題なし」となったのですが、嫌気がさして

退職したり、噂が蔓延して居づらくなり退職に追い込まれたり、心を病んでしまった

ケースがあります。みなさんの周囲でも結構あるのではないでしょうか。

制度として確立してしまうと、ひとたび通報があると、それが適切な通報であろうと

なかろうと、それなりのアクションを講ずることになります。それが当事者周辺を

疲弊させます。2016年に消費者庁消費者制度課から、いわゆる「内部通報ガイド

ライン」が公表されて以降、おかしなことになってきていると感じています。

社内での不正行為の完全撲滅は難しいと思います。これは人間集団であるが故の

つきものだと思います。それを発見した人が安心して話せる人が周囲にいないために、

匿名などで通報せざるを得ないという状況。こっちの問題の方が本丸だと思います。

ここをなんとかするための努力をせずに内部通報の制度だけを整備しているから、

おかしなことになっているのです。

お互いに助け合う、信頼し合う組織風土を醸成する。これは当然に目指すべき姿です。

ただし、これは大変です。それこそいろいろな人がいますので。

戦略的に取り組むべきは課長などの組織の最小単位の管理職のピープルマネジメント力

の充実だと思います。チームとしての成果を問う以前に、リーダーがメンバー

一人ひとりと信頼関係を築くことを問うべきだと思います。

この信頼関係づくりにはリーダーの人間力が問われます。ただし、管理職になって

いきなり、人間力を発揮せよ、と言っても無理があります。適性もあると思います。

人の面倒を見ることが苦手な人にはむきません。

管理職に昇進させるときに、仕事ができること(成果をあげていること)や

個としての優秀さを問うだけではなく、メンバーとの関係性を構築できる「人間性」を

重視した方がいいと思います。それこを、入社したときから「チームのために汗を

流すことが好きかどうか、やりたいか」を問い、その気がある人を対象に時間をかけて

ピープルマネジメントのケーススタディに取り組んでもらうのです。

その後、他の要件の充足度合いを見て昇進させる、という流れが良いと思います。

じゃあ、そのケーススタディってどうしたらいいの?となると思います。

そこで現在2つほど準備しています。

一つは「あれ?もしかして、ブラック上司?」というタイトルの本を出します。

現在、最終原稿をチェックしていますので、もう少しで発売されます。

これは良かれと思っていろいろやっているが周囲からはブラック上司だと思われてしまう

行動例をたくさん紹介してみました。もう一つは難しいチーム運営をしているケースを

短編ドラマ化したものをつくっています。現在2話できました。

こちらはもう少しエピソードを増やしてから公開したいと思っています。

なんでも人間関係で解決しようとするのは間違いだと思いますが、

人間関係づくりは物事の基本ですよね。

おまけー1:誕生日にたくさんの方々からメッセージやプレゼント、お花をいただきました。

ありがとうございます。いくつになっても嬉しいものですね。

おまけー2:花粉症がひどい某外国人から、“レイジはどうやって克服しているのか?”

と聞かれ、“気合だ。大事な仕事の前には鼻水が止まる。そのイメージトレーニングだ。

考えるな。感じろ”とブルースリー的に話したとところ、えらく尊敬されました。(マズイ)

おまけー3:ある方に刺激を受けて、やれるだけやってみよーと楽しそうな仕事を

片っ端から受けだしたら、年内の日程がほとんで売れてしまいました。(チーン)

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