965号「埼玉県虐待防止条例騒動から」(メールマガジン「人事の目」)

10月10日、埼玉県議会の自民党県議団は、4日に提出していた、子どもだけでの留守番や通学などを放置による虐待と定める「虐待禁止条例」の改正案を取り下げることを表明しました。

SNS上で“頭おかしい条例”とまで書かれた、このトンデモ条例案が出されたときにはビックリしました。アメリカでは小学生をひとりで家に置いておくことは違法であり、虐待にあたります。趣旨としてはこれと同じですが、治安や社会インフラがアメリカと日本では違います。特にゴミ出しの際にも子どもを家にひとりで置いておくと虐待になるということや、虐待の通報義務があることなど、“異次元の少子化対策”というものの、異次元過ぎるだろ、よくもこんな提案をするなあ、これは紛糾するぞ、と思っていました。

想定どおり、全国的な大ブーイングを呼び、取り下げとなったわけです。埼玉県にお住まいの子育て中の方々は胸をなでおろしたことでしょう。埼玉県には住めないということで近隣の都県への大移動も想定されていたのではないでしょうか。

いろいろ考えさせられる事態でした。まず、こんなにとんでもない条例であっても議会の構成によっては可決してしまうということ。年々投票率が低下し、50%を下回る現状ですが、選挙は大事。自分たちの暮らしを守るためにもしっかりと選びましょう。ひとたび選任してしまうと、それがどんなにトンでもないメンツだったとしても、議会の解散請求のハードルは高いです。

一方で、この数日間、日本中の多くの子育て世代がこの条例案に関心を抱き、話したことと思います。条例とは何かについて調べたり、議会の解散請求について調べたりした人もいるでしょう。問題意識を喚起させ、考えるきっかけを作ったことについては評価できると思いました。

トンでもないことをぶち上げ、国民間の議論を呼び起こし、条例としては取り下げる。子育てについての関心を呼ぶための戦略であったとしたら最高です。埼玉県の自民党議員団を手玉にとったフィクサーがいたのかしらん、とも思いました。

先人たちの努力のおかげで日本は平和です。ウクライナやイスラエルでいま起きていることを考えると、とてもありがたいです。一方でそのために多くの国民が安穏とし過ぎています。自分の身の回りで起きていることに対して(文句はあったとしても)受け入れてしまう習性がついています。おかしいと思って声に出したり、それを変えるために自ら動かない。自己変革力の欠如。ここは問題です。

変化が速い時代には変化を受け入れるのではなく、自ら変革していく姿勢がないと“こんなはずじゃなかった”という事態になりかねません。これは会社、団体においてもそうです。当たり前にやっていることを見直す。その原点が問題意識です。文句や愚痴ではなく、行動につながる問題意識を持ちましょう。

16日(月)の12時から人事制度改訂についての無料セミナーをやります。ゼネラリストの管理職を育成、処遇する人事制度ではなく、年齢関係なく、専門性の高い人を育成・処遇する制度に変えるべきだと思っています。役職者レースに洩れた人材を消費するモデルは限界です。これからは、変化の潮目を読む専門性の育成、日本の人口動態から60歳を超えても普通に働く仕組みが必要です。まだ申し込めますので、お時間ある方はぜひ。
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おまけー1:自宅近くにイスラエル大使館があるのですが、数百名によるデモが行われ、すごいことになっていました。近くのセブンイレブンは異国状態でした。

おまけー2:熊本のオオトカゲが気になって、その検索ばかりしていたところ、検索エンジンが“最適化”され、爬虫類に関する広告が頻出するようになりました・・・

おまけー3:最近、意識的に卵を食べるようにしているのですが、日本人が年間に卵を食べる量は1人当たり鶏卵消費量 日本は337個で世界第二位だそうです。

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