999号「新たな制度を導入したいなら」(メールマガジン「人事の目」)

新しい制度を導入しようとしたら、導入先の問題意識、問題解決の方向性(基本方針)について、共通認識を醸成するところから始めましょう。これはどんなケースでも同じです。

新しい制度をなぜ必要としているのか。この点についての共通認識が出来上がっていない中で制度提案をしてはいけません。枝葉の話に終始し、本質と違うことで進まなくなります。当たり前です。新しいことを始めるのは誰もが不安です。その不安が枝葉の質問として表面化するのです。

まずは問題意識を言語化しましょう。その言語化された問題意識についてコンセンサスをとる。これが新制度導入の第一関門となります。

問題意識を同じくした後、次にやることは、問題解決の方向性(基本方針)の同意の醸成です。具体的なソリューション(制度)として何をするかはともかく、どういう考え方で問題を解決するか。この点について握るのです。これが第二関門。制度提案はその後になります。

例えば、プロフェッショナル型の人事制度を導入しようと考えたときに、最初にやるべきは共通の問題認識の醸成です。こんな感じです。

「VUCA(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)時代となり、従来と同じことをやっていては時代の要請に応えることができなくなる。今や自社が提供する価値をより高度に専門化することが求められている。」

仮にこれを制度の導入を図りたい人たちの問題意識とします。まずはこの文言について関係者の同意を得ます。同意を得た後に行うのは問題解決のための基本的な方向性について、共通認識を醸成することです。基本方針案として以下を提示します。

「自社の専門性を高めるのは人材である。このため全ての社員が何らかの領域でプロフェッショナルを目指す人事制度に変える必要がある。」

この考え方について合意を得た後に、満を持してその具体的な提案をします。問題意識を同じくし、基本的な考え方が合意されていると、提案内容に至らぬ点があったとしても、どうすれば実効性が高くなるかというポジティブな面からの議論となります。仮に提案が否定されることになったとしても、前向きに代案を検討する流れになります。

新しい制度が従来の制度を大きく変える内容であればあるほど、問題意識と基本方針の共通認識化のプロセスを丁寧にやります。議論した後の“揺り戻し”を想定して、時間をかけて2,3回議論するのが良いでしょう。この部分が熟していないうちに制度内容の議論に入ると、“先祖返り”の議論になったり、“堂々巡り”になったりします。

しかも、議論を重ねることで提案を受けた側も巻き込まれて気づかないうちに当事者意識を持つようになります。その制度の対象者たちが「提案されたからやる」というスタンスだと容易に新制度が使われなくなります。対象者たちをいかに巻き込むか、当事者意識を持つように仕掛けるか、ここも意識しておきましょう。

時間がないのはわかりますが、「問題意識」「基本方針」「制度提案」の3つを同時にやろうとするから進まないのです。または進んだように見えてたのに停まるのです。ご留意ください。(行政も同じです。)


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