「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」
(「希望の国のエクソダス 村上龍 2004年」
強烈な一文です。今でも、この一文を目にしたときの衝撃が残っています。
ちょうどこの本を読んだ頃、コネチカットでGlobal HRD summit
(グローバルの人材開発責任者会議)がありました。そのときの議論を思い出しました。
“その会社の一員であることを誇りに思う。だから、その会社のブランドを守る。”
こういうマインドセット(心持ち)を持つ社員を増やすことが、人材開発責任者のミッションである。
そういうマインドセットの社員が20%以上いる会社は強いです。
25%以上だと最強集団になれます。
但し、これは成長・安定期にある企業だからこその話。自社の業態が成熟化していたり、
衰退期にあったりすると話が違います。
成熟、衰退期にある企業では、これまでやってきた成功方程式が利きません。
瞬間的に利いたように見えても続きません。
そのうち誇りやブランドを守るどころではなくなります。
そういう状況を打開するために必要なコト。それが「希望」です。
「希望」は体感できるものでなければなりません。ビジョンだけでは力不足です。
ビジョンがないと始まりませんが、それだけだと体感できません。
ビジョンは「可視化」してナンボです。
そうなると図体が大きければ大きいほど、関係者が多ければ多いほど
「可視化」のハードルが上がります。
国レベルの話が進まないのはこのせいです。
今の日本で必要なことは四の五の言わずに「希望」を可視化することです。
これは国という大きな単位で進めるよりも、地域単位の方がはるかに現実的です。
だから「地域分権」(道州制)を実現させることを数年前から主張しているのです。
それよりも現実的なのが「企業単位」で実行することです。更に現実的なのは、
より小さな組織で実現することです。もし、あなたが部長、課長であれば、
その単位でビジョンを可視化してしまいましょう。
まずはそこからです。その気があるヒトがやれるところからやる、
この現場の行動が可視化されると波紋が起こり全体に影響を与えるはずです。
それにしても小売業が厳しいですね。「希望」が必要な業態の代表格だと思います。
なにしろ10年前からずっと減少基調です。不況とか格差の問題が叫ばれがちですが、
この主たる原因はヒトが減っていることだと思います。
となると、今後もこの基調は変わりません。新たな顧客価値を創るか、
既存の商品やサービスを置き換えるようなものを提案していかないと、先がありません。
この”新たな顧客価値”や”提案”を可視化する。それが「希望」づくりになります。
具体的には、店舗そのものであったり、商品そのものであったりします。
手に触れるもの、目に見えるもの、これをつくるのです。
戦略を語っても、具体的なカタチが見えないとなかなか「希望」にまで発展させられません。
一方で誰でも新しいことへのチャレンジは不安です。上手くいくかどうか誰もわかりません。
しかし、やらないと何も進みません。
その是非についての議論は必要ですが、議論すればするほど、
心配事が積み重なってきます。”うまくいかない”理由が次から次へと出て来ます。
そりゃそうです。今ないものなのですから。見えていない人たちで議論すると”悪気なく”
否定モードになりがちです。
また、こだわり過ぎて、テーブルをひっくり返す議論を何度もやりますと「議論に疲弊」します。
疲弊した状態で「希望」づくりを進めるのは難儀です。
だから、ある段階まで議論したら、四の五の言わずに「可視化させてしまう」。
それがお客様にとって新しい魅力となり、社員にとっての「希望」になるかどうか。
それだけですから。
ダメだったら次をやる。次もダメだったら、その次をやる。
これこそ、「希望」を創るリーダーの仕事ですね。
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おまけー1:意欲レベルが落ちているとき、私はショーやミュージカルを観に行きます。
舞台を見るとそのエネルギーが伝染して「元気!」になります。
ということで私が最もおススメするステージのご紹介です。
(これまでも何度かご紹介してきましたが)
音楽座ミュージカル「ホーム」東京は12月5日から19日、大阪は1月15日と16日です。
http://www.ongakuza-musical.com/
ぜひ!
おまけー2:4か月に一度の割合で8年来通っているクリニックへ行ってきました。
各種の数値は改善。しかし、”でぶ”が悪化。うーむ。
親戚のおじさんの体型に近づいてきた感が・・・
おまけー3:まともな写真がなかったので、某有名写真館へ。
「はい、おじさんの手を見てー。こっちこっち」。この時期に行くと七五三モードだ・・・