「日本企業の利益率は国際的に見て極端に低い水準。」。
財務省がこの3月にまとめた「法人課税関係」資料の中の一文です。この資料によると、
全産業平均で日本は3.7%。一方で北米は12.7%、欧州が7.3%、アジアが6.2%だそうです。
この議論は昔からあります。いろいろ企業努力をしてきてはいるものの依然として差が
あります。この差が将来への投資の差につながると思うと忸怩たる思いです。ここを
なんとかしたいものです。
この差をもたらしているものとして「労働生産性の低さ」が指摘されます。
確かに「労働生産性の国際比較」(日本生産性本部2011年版)によれば、日本の労働生産性
(就業者1人当たり名目付加価値)は下記のようになっており、日本はOECD加盟34ヵ国中
第20位です。
<主要国の労働生産性(就業者1人当たり名目付加価値)
第1位 ルクセンブルク 122,782ドル
第2位 ノルウェー 110,428ドル
第3位 米国 102,903ドル
第4位 アイルランド 97,047ドル
第5位 ベルギー 91,131ドル
第6位 イタリア 83,444ドル
第16位 ドイツ 78,585ドル
第18位 英国 77,209ドル
第20位 日本 68,764ドル
第24位 韓国 59,488ドル
深堀してみると、製造業の時間あたり労働生産性では日本は第10位ですが、全産業となると
第19位です。非製造業(ホワイトカラー)の生産性が低いと言われるゆえんです。
ホワイトカラーの生産性を向上させるためには複合的な試みが必要です。ホワイトカラー
エグゼンプションを解禁して、一人ひとりが自分で自分の時間配分を計画できるようにすることも
その一策。(個人的に規制で物事が解決するとは思っていませんが)長時間労働に対する規制が
強化されるとは名目的には効くでしょう。時間外手当の割増率の引き上げも効くでしょう。
欧州のように、未消化の年次有給休暇を会計上債務とみなすのも一案です。
但し、これらはホワイトカラーの生産性向上のための「環境整備」です。直接的な施策では
ありません。直接的な施策を講ずるべきは、主体者たる企業であるべきです。
企業がやるべきことは明確です。「ホワイトカラーが最も時間を費やしていること」を
減らすのです。
それは「会議」です。
会議に費やす総時間は「回数」と「会議一回あたりの時間」の掛け算です。この両方を
減らしましょう。これをやらずして、売上を上げるための施策やコストカット施策に走りますと、
却って生産性が悪化します。
これまでいくつかの会社でやってきましたが、定例会議の時間を思い切って減らす。1日の設定を
半日にする。半日の設定を2時間にする。その上で、関係者全員を集めた1泊2日の集中討議を
4半期に一度行う。意思決定を求める資料の説明ロジックを定め、そのトレーニングをする。
これだけでかなり改善されます。(経験者語る。)
まだ、手をつけていない経営者の方へ。会議の生産性を上げましょう。
まずは「社内会議の数と時間と参加メンバー」。これを時給換算してみてください。
経営者であれば戦慄が走るはずです。この会議コストをどれだけ下げるか。目標値を持ちましょう。
次に「社内会議の設定日」を見てみてください。情報がスムーズに流れるように設計されて
いますか?経営会議の内容が部~課へ流れるようになっていますか?
会議室の設営もポイント。窓の有無、空気の還流、ホワイトボード、プロジェクター、
水やお菓子といったリフレッシュメントはありますか?
(会議室が乱雑な会社は整理整頓からです。)
根本は会議の運営の仕方です。ファシリテーターを配置していますか? 議事録が「共有資料」
として活用できるものになっていますか? 欠席者の会議の前後のフォローはしていますか?・・・
など、その会議の成果を最大限に引き上げるための働きかけをしていますか?
社内の会議力向上プロジェクトをやりましょう。それが戦略実現の基盤づくりになると同時に、
社員のフラストレーション改善策、“やらされ長時間労働”からの解放につながります。
おまけー1:会議の際のお菓子でおススメは「プチシュークリーム」「アーモンドチョコ」
「クール系のガム」「今川焼」「バナナ」です。
避けた方がいいのは「おせんべい」「雷おこし」。(音がする。ポロポロこぼれる。)
おまけー2:停滞しそうな会議の場合にはシュークリームの一つにわさびを入れておきましょう。
それはそれで盛り上がります。(事務局のリスクテークが問われますが。)
おまけー3:http://www.youtube.com/watch?v=sMNygAF4Huc
今日のテーマとは関係ありませんが、先週一番笑った動画です。