【企業向け】これから求められる人材とは?4つの人材モデルと組織の在り方

働き方の多様化に、高い人材流動性、リスキリングなど、企業の人材マネジメントに関する課題は尽きません。人的資本経営の重要性を問われるまでもなく、「人材こそ企業経営の要」と実感している経営者が多いことでしょう。

中でも重要な課題が、これからの時代に合わせた組織と人材のアップデートです。社会環境の変化が激しい今日、企業の在り方や人材に求める要件はこれまでにないほど抜本的に変わりつつあります

この記事では、組織開発・人材育成のトレーニングプログラムやコンサルティングサービスを提供するIndigo Blueより、これからの時代を生き抜く組織の在り方と、組織で求められる人材の特徴についてご紹介します。

社会の変化は待ったなし。今すぐ自社の在り方を見直すために、重要なポイントを確認しましょう。

これから企業が直面する組織課題

これから企業が直面する組織課題

これからの企業に必要となる人材を知るために、まずは企業が直面する組織的な課題から確認しましょう。

外部環境への迅速な適応進化が求められる今日、組織の在り方は従来の「求心力型」から「遠心力型」へと変容する必要に迫られています

求心力型の組織と遠心力型の組織

従来の求心力型の組織は、組織のトップが意思決定をし、現場が指示に従って行動するスタイルです。

同じ製品を早く大量に生産することが求められる産業の場合、統率力の高い求心力組織はより効率的に機能します。現場で経験を積んだ優秀なスタッフがリーダーとなり、これまでの知見をベースに意思決定することが合理的でした。

求心力型組織は、経験に基づく熟練の判断ができる一方、現場の自由度が制限される、スピード感のある決定・実行ができないといったデメリットがあります。これは、ビジネス環境の変化が激しい現在の企業にとって大きなマイナスです。

そこで、近年ではより顧客に近い現場社員が自ら意思決定し、ビジネスを加速させていく「遠心力型」の組織が注目されています

遠心力型の組織では、ビジネスの前線で活躍する社員が自ら PDCAサイクルを回します。より顧客接点に近い現場が意思決定をしていくことで、多様化する顧客ニーズにいち早く対応し、社員の創造性を生かした事業展開が可能になります

これまでとは全く異なる組織体系となるため、働く社員一人ひとりにも大きな意識改革や新しいスキルセットが求められます。

4つの人材モデル

4つの人材モデル

上意下達の組織から、現場主体の組織へ。この組織の在り方の変化により、企業が求める人材は「上司の指示から逸脱せず正確に作業をこなす人材」から、「自ら判断して行動できる人材」へと変わりつつあります。

具体的な人材像の変化を知るために、まずはビジネスの4つの人材モデルを確認しましょう。

  • 0から1を生み出す人材
  • 1をN倍にする人材
  • 1を1.1倍にする人材
  • 1を守る人材

0から1を生み出す人材

特徴ゼロイチでビジネスを創造する
活躍しやすい環境スタートアップ企業の創業期新規事業開発チーム非階層的な組織

1つ目の人材モデルは「0から1を生み出す人材」です。

時流を読み、自ら課題を発見したり、ビジネスのチャンスを創造したりできる人材です。特定の分野に秀でたスペシャリストや、複数の分野を掛け合わせて新しい領域を生み出す「スーパーゼネラリスト」などが該当します。

現状を読み解く力、構想力、判断力に優れ、自ら新しいアイディアを生み出すクリエイティビティも持ち合わせています。

一方で、決められた手順に沿って正確に作業をすることには不向きで、階層的で自由度の低い組織を嫌う傾向があります。

1をN倍にする人材

特徴ビジネスの種を大きくグロースさせる
活躍しやすい環境シード・アーリーステージの企業経営企画室事業開発チーム

ゼロイチで生み出されたアイディアをビジネスとしてグロースさせる段階では、「1をN倍にする人材」が活躍します。

市場分析や自社分析に優れ、マネタイズなどの手法も具体的に心得ています。現場をよく知るベテランだったり、複数の事業を俯瞰してきた経験があったりと、バックグラウンドはさまざま。

構想と現実のバランス感覚を持ち、他者を巻き込む実行力も高いことから、企業から多くを求められやすい人材ともいえます。

1を1.1倍にする人材

特徴既存事業を確実に拡大させる
活躍しやすい環境安定期にある企業事業部営業チーム

確立された自社ビジネスを確実に展開していくのが、「1を1.1倍にする人材」です。

既存顧客の満足度を高めたり、新規顧客を開拓したりと、市場拡大を進めます。同時に業務の無駄を省き、作業効率を高めることも得意。製造現場でマニュアル通りに品質の高い製品を生み出しているのも、「1を1.1倍にする人材」です。

自ら新しいビジネスを創造することには不向きですが、ビジネスモデルの確立された企業において業績を支えている人材といえます。

1を守る人材

特徴ビジネスや企業価値を守る
活躍しやすい環境安定期にある大企業知的財産や法務の部門財務部門

企業の安定した存続を支えているのが、「1を守る人材」です。

組織の法令順守はもちろんのこと、企業の知的財産を守り、ビジネスで生み出した売上が確実に利益につながるよう管理します。企業の規程やフォーマット通りに作業を正確にこなすアシスタントなども、「1を守る人材」といえるでしょう。

規模の大きな組織において、「1を守る人材」の存在が企業の安定を支えているといえます。

これからの日本企業で求められる人材とは

組織と人材の変化

急速な社会変化への対応に迫られ、多くの日本企業が「遠心力型組織」への変革を迫られている。そのような背景を受けて、「0から1を生み出す人材」、「0をN倍にする人材」の必要性が今後さらに増していきます

従来の「求心力型組織」では、指示やマニュアルに忠実に従うこと(=1を守ること)、または既存のモデルの生産性を高めること(=1.1倍にすること)が重要でした。確立したビジネスモデルを正確に再現し、拡大させていくことで、収益が得られたからです。

しかし、今後は社会の変化に敏感に対応し続ける「遠心力型組織」が生き残る時代。顧客接点に近い現場で、社員一人ひとりが自ら問いを立て、仮説を作り、方向性を見つけて行動する力が必要です。個々が自律して活動できる組織であるために、1をN倍にする力、0から1を生み出す力が重要になっているといえます。

同時に、AIやロボティクスなどの技術革新により、マニュアル通りの作業はテクノロジーに代替される時代が近づいています。ルーティン作業を正確に再現していく仕事は、今後消滅していく可能性すらあるでしょう。

一部の人だけが持ち合わせていれば良かった「1をN倍にする力」、「0から1を生み出す力」は、働くすべての人に求められる力になりつつあるといえます。

人と組織をアップデートするために

人と組織をアップデートするために

今までにない急速な変化を見せる現代、企業には人と組織の抜本的なアップデートが求められています。それは人事だけの課題ではなく、全社の在り方に直結する経営課題ともいえるでしょう。

しかし多くの企業が実感している通り、旧態依然とした組織体制を改革すること、今までと違うスキルを身につけて行動変容していくことは、簡単ではありません。自社の課題は何か、そもそもどこを目指しているのか、改めて根本を見つめ直す必要があるでしょう。

Indigo Blueでは、企業が新たな成長戦略を描き進化していくための支援プログラムを提供しています。「こらからの時代に活躍できる人材を育てたい」、「組織として成長し続ける仕組みを構築したい」など、人材や組織に関するご相談は、下記よりお気軽にご連絡ください。

記事監修

瀧谷 知之(Indigo Blue 取締役)

トーマツ コンサルティング(現デロイト トーマツ コンサルティング)に入社し、通信ハイテク業界の戦略立案/変革支援に従事。 その後ジュピターTVを経て、ツタヤオンライン、TSUTAYA、カルチュア・コンビニエンス・クラブで経営企画/経営戦略室長として、ネット事業領域を中心に戦略立案や事業改善、新規事業企画、赤字事業の再建/撤退、M&A等を手掛ける。 2010年に株式会社コラビーを設立し代表取締役CEOに就任のほか、パス株式会社の代表取締役COOおよび各グループ会社の代取/取締役を経て現在に至る。今までに上場企業含め9社の代取/取締役を経験している。


関連記事

TOP
TOP