1017号「キャリア自律の鍵」(メールマガジン「人事の目」)

今日のテーマは「キャリア自律」です。

私自身のことを振り返ってみます。31,32歳ころにホテルの人事制度改訂にかなり深く関わり、それがひと段落したときに、40代で「General management(事業責任者)」の仕事に就きたいと思いました。提案する側ではなく、主体者として実行する側に行きたいと思ったのです。

ただし同時在籍していた会社でGeneral managementの役割に就くには相当の年数を要することが濃厚でした。40代どころか、50代後半になってしまう、しかも、GMは親会社からの出向者のポジションでしたので、まあ、ここでは無理だな、と思いました。

一方でマネジメントの知識、経験があるかというと皆無。そこで中小企業診断士の資格を取得しました。当時の私にはMBAという選択者は経済的にありませんでした。コンサル会社に入り、そこで10年ほど修業して、晴れてどこかの事業会社の責任者になる、という絵を描きました。

実際には33歳でコンサル会社に入社し、修行の後に事業会社の責任者へ転身を希望していたのですが、そのコンサル会社の社長になりました。細部は違いますが、おおむね、自分が描いていた絵のとおりの流れになったと思います。

ただし、この「絵」を常に意識して仕事をしていたか、というと、そんなことは全くなかったです。目の前の仕事に没頭していたというのが実態です。

その後、コンサル会社の社長を7年やったところで、新たな絵を描きました。雇われ経営者として3か所10年、課題のある会社の経営を担い、その後、自由人として好きなことをやる、という絵でした。おかげさまで、おおむねこの絵の通りの仕事人生を歩んできています。

2つ目の「絵」も常に意識していたわけではありません。1つ目の絵のときと全く同じでした。

こうなりたい、こうしたいという大まかな絵を描く。その上で目の前の仕事に全力で向かう。
なんといっても“おおまかな絵を描く”、しかも”自発的に“。これがキャリア自律の鍵になると思います。

企業・団体に勤める多くの人が自分の人事を会社任せにしています。自分で何かを考えたところで、会社の事情が優先するから考えても仕方がないと思うのは当然です。それはある意味で致し方ありません。ただ、自分の人生です。自分の働き場所を特定の会社に限定せずに、やりたいこと、やりたいことにつながる仕事を考えた方が良いと思います。もちろん、今所属している会社でそれを実現するのが、本人にとっても会社にとってもベストシナリオですが。

会社の人事ができることは、“おおまかな絵”を内発的に描くことにつながる機会を提供することです。それが、社員の“キャリア自律”を支援することになります。

そのためのツールに「キャリアマップ」というものがあります。これは、社内の特定領域で優れた成果を上げている人に、どのような資質があり、どのような経験を積み、結果としてどのような実力・能力を身に着けたのか、について整理したものです。従来のコンピテンシーモデルとは異なり、経験を重視したものです。

このキャリアマップを参考にロールモデルたちの経験談を聞く場を設ける。これが効果的だと思います。

この「キャリア自律を促す人事制度」についてお話しするランチタイム・オンラインセミナーを12月2日(月)の12時から13時にやります。関心のある方は以下よりお申込みください。
https://forms.office.com/r/VQF53EYsw6

おまけー1:オフィスがある神谷町のエレベータ。月曜の朝、8時半。
ぱっと乗り込んだところ、電話中の女性が1名。
「LINEみた?・・・わたしは課長とお別れすることにしたんです!」
と言ったときに扉が閉まり、電波が遮断。

そして沈黙。(このシチュエーションでエレベータ内に2人は辛い)

おまけー2:道を歩いていたら、すれ違いざまに「ばかっ!」で怒鳴られ、怒鳴れた方の半身がぞわっとしました・・・。なんだなんだ?、と見たら初老の女性の後ろ姿が。呪術廻戦の狗巻の母親かもしれません。(ちなみに何も悪いことはしておりません。)



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