1005号「エッセンシャルワーカーの低賃金対策案」(メールマガジン「人事の目」)

Wedge7月号の「あなたの日常が危ない 現場搾取社会を変えよう」を読みました。社会インフラを支える仕事に従事する人の報酬が低すぎるという問題に正面から切り込んでいます。世の中の歪みの芯をつくいい特集でした。

コロナ蔓延期にエッセンシャルワーカーという言葉が一気に広まりました。エッセンシャルワーカーとは、社会生活を維持するために働く人たちのことです。医療、介護福祉、保育、ガス・水道・電気・通信、物流などの生活インフラを担う仕事がその代表格ですね。

当時は、コロナ感染リスクが高いにもかかわらず現場で働いてくれている人たちへの称賛、感謝の声が世界中で巻き起こりました。ただ感謝はしても低賃金のままです。そのキツさと低賃金から担い手が減少しています。キツいが稼げる、ならまだわかります。キツいし稼げないではその仕事に就く人がいなくなるのは当たり前です。

エッセンシャルワーカーの賃金を上げることができないのは、エッセンシャルワーカーが所属する企業がそのコストを抑えたいからです。コストを抑えたいのは価格競争力をもつためです。なぜならば、顧客が「良いものを安く買いたいから」です。(経済原則です。)

「良いものであれば高くてもいい。高くて当然。」と考える人も出てきています。社会問題解決のための費用がアドオンされているので少し高い、という価格設定の商品、サービスが散見されるようになりました。この考え方を普及させていく、つまり賃上げを価格転嫁していくというやり方もあります。実際、日本の商品、サービスの価格は国際基準と比較すると安すぎます。ただ、このやり方には限界があります。

“少し”ならまだしも、本格的に価格転嫁していくとそれに賛同して指名購入してくれるのは、それなりの経済力がある層に限られてしまいます。それが現実です。

エッセンシャルワーカーの仕事はナショナルミニマムを支える仕事だと私は思っています。ナショナルミニマムとは国がすべての国民に対して行なう最低限の生活保障のことです。エッセンシャルワーカーの仕事は社会保障の範疇です。エッセンシャルワーカーの処遇を改善する制度を国と地方公共団体が設計・導入するのが良いと思っています。

エッセンシャルワーカーの仕事を含む事業は今までどおり企業が行います。エッセンシャルワーカーの賃金もその企業の方針で支払います。一方、エッセンシャルワーカーの仕事を国が認定します。認定エッセンシャルワーカーについては、その就労実態の報告を受け、その労働時間に応じて半年に一度、国とそのエッセンシャルワーカーが働く都道府県、市町村から報奨金(支援金ではなく)を支払うようにしてはどうでしょうか。

財源の確保が必要ですが、そのために現在の国、都道府県、政令指定都市、基礎的自治体と多層構造になっている行政単位のくくり直しが有効だと思います。重複する行政、議員数を減らせれば(議員に係る報酬、経費を削減)、社会保障費の枠を広げられるのではないかと。

この制度、まずは教員から始めてはいかがでしょう。教員は免許制ですし、その就労実態も把握しやすいはずです。どこかの政党が本気で取り組んでくれることを期待します。


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