1029号「子供たちを巡る社会構造がやばい」(メールマガジン「人事の目」)

年末、自宅近くの公園に自分のことを「僕」という女の子がいました。おかっぱ頭で比較的薄着。近くに親の姿はなし。公園のそばを通るといつも見かけます。一人で遊んでいたり、公園を訪れる大人に話しかけています。聞くと8歳。毎日、ここで遊んでいると。ご家庭に事情はあると思うのですが、どうやら「放置子」のようでした。

文部科学省によると、2023年度の不登校児童生徒数は約34万6,482人で、前年度から約4万7,434人(15.9%)増加し、11年連続で過去最多を更新しているそうです。一方で、いわゆるフリースクール、オルタナティブスクール、インターナショナルスクールに通う子どもが増加しています。統計データはないようですが、私の周辺情報では中学生から海外に留学させる家庭も増えてきているように思います。

子どもたちを巡る社会構造が変わり、現存する仕組みに合わなくなっているのだと思います。それに気づき、かつ経済的に余裕がある家庭が「今の仕組み以外」を選択しているということだと思います。

やはり自宅近くにガラス張りの予備校があり、早朝から深夜まで勉強する高校生、浪人の姿を見かけます。私も浪人経験者ですので、あの雰囲気はわかります。ただ、勉強が「受験」だけのものという認識を植え付けてしまうのはよろしくないと思います。2018年の調査では、日本の大学生の週当たりの学習時間は約24時間で、OECD平均の約32時間を下回っています。勉強は単なる「学習」以上のものであり、人として成長し、より良い人生を築くための重要なプロセスですから。

さらに幼少期から受験勉強を続け、偏差値の高い大学に入学し就職したが年収1000万に届かず、一方で好き放題の学生時代を過ごした人の中に起業、自営などで裕福な暮らしをしている実態があると、受験勉強ですらインセンティブが働きにくい状況にあると思います。

日本の教育に対する一般政府支出(対GDP比)は2022年度現在3.24%で、世界で96位となっています。あまりの低さに愕然として、調べたところ、1993年にそれまで5%超だった教育関連支出を一気に3.4%に下げています。この背景はバブル経済の崩壊による税収減対策です。その後ずっと前年度並みという考え方で現在に至っているように見えます。

石破内閣の2025年度の政府予算案は総額115兆5,415億円で、2024年度の112兆717億円から約3兆4,698億円(約3.1%)増加しています。 一方で教育や文化に関連する広範な分野の費用となる文教関係費は2024年度の4兆624億円から2025年度の4兆1,218億円へと、約594億円(約1.5%)減少しています。

政治家たちは何をやっているのか。人口減少の日本で子どもたちへの投資が軽んじられていると言わざるをえません。

ただし、この少ない予算の中でも特筆すべきものもあります。文化庁による舞台芸術等総合支援事業(学校巡回公演)です。全国の小学校・中学校等においてトップレベルの文化芸術団体の公演を、費用を負担することなく無償で行えるものです

神奈川、岐阜、静岡、愛知の教員の皆さん、朗報です。私が推している音楽座ミュージカル「リトルプリンス」を御校の体育館で無料公演できます。

応募締切は1/24(金)です。詳しくはこちら
令和7年度舞台芸術等総合支援事業(学校巡回公演)
https://www.kodomogeijutsu.go.jp/r7/junkai.html

使えるものは使う。ただし、大原則は自分の身は自分で守る、
自分の子供の教育も自分で守る、ですね。

おまけ:年末に髭を生やしました。

「柴田さん、髭のばしてるんですか?」と誰かから言われたら剃ろうと思っていたのですが、誰も何も言わない。年始に入り、最初に「髭のばしてるんですか?」と言った人に、お年玉をあげようとお年玉袋を持ち歩いていたのですが、誰も言わない。

なぜ、誰も髭についてふれないのか???

「言ってはいけないと思っている」のか、「実は言うほど生えていない」のか?

ある人に聞いたところ。“「関心がない」ってことじゃないすか。”



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