「タレントマネジメントのアップデートを」(メールマガジン「人事の目」1051号

会社を辞める若手や中堅社員が増えています。Indeedの2024年上半期データによると、自発的離職率は4.6%。2023年上半期の4.3%からさらに上昇し、2019年以前の4%未満水準を超える増加になっています。その傾向が特に顕著なのが、25歳から29歳(8.01%)と40歳から44歳(3.8%)です。

25歳から29歳で優秀な若手は、その優秀さから重宝され”便利屋“になりがちです。そうなると、特定領域から動かせない「便利屋」になり、結果として仕事の幅が狭くなっていきます。このことにハッと気づき、自らの成長が限定される危機感から、健全な野心がある人物ほど「退職」という選択肢を選びます。採用と育成に、相当の時間と経費をかけたはずですが、それが無駄になります。

40歳から44歳の優秀人材の流出はより深刻です。自社を取り巻く環境が激変しているにも関わらず会社の中枢部が停滞していることへの危機感や上が”詰まっている“ことへの焦燥感から「退職」を選びます。ここに歯止めをかけないと次世代を担う人材が枯渇していきます。

コロナ以降、社会環境や人々の意識がかなり変わりました。AIとの協働も当たり前になってきました。自社の「タレントマネジメント」を見直す時期に来ていると思います。それが優秀人材の離職を防ぐことにもつながります。

タレントマネジメントとは社員一人ひとりの能力・経験・適性を最大限に活かし、企業の目標を達成するための統合的・戦略的な人材マネジメント施策のことです。領域としては「採用」「活用・成長支援」「人材情報の把握」「代謝」の4領域ですが、その中で特に留意すべきエリアが12あると考えています。

タレントマネジメントの12要素

若手、中堅の離職に歯止めをかけるには、上記の12の領域すべてをアップデートする必要があります。

このうち、①の「自社にフィットし、かつ継続的に自社の成長に貢献できそうな人材の確保」ができていないと以下のような悪循環現象が生じます。

・ビジョンや価値観に違いが生じ、優先事項がバラバラになる
・適応できない人材のフォローや離職対応などで、管理職の負担が増える。
・既存の組織文化が崩れ、職場の雰囲気が悪化する。
・協働のしづらさから、チーム内に不信感やストレスがたまりやすくなる。
・中核人材の不足により、業務推進力が落ちる。
・現場の混乱が顧客対応に波及し、信頼を損なう。
・ミスマッチ人材の早期離職が続く
・カルチャーフィットしない人材の存在が、優秀人材のモチベーションを下げ、転職を誘発する。
・「離職率が高い会社」との評判からさらに良い人材が集まりにくくなる。

タレントマネジメントのアップデートにはそれなりの時間を要します。その間の優秀人材の離職を止める方法があります。

対象者の心に火を灯しましょう。効果的なのは他社人材との切磋琢磨の場への参加です。他社人材との遭遇により、自身の現在地点を自覚し、“ここでもうちょっと頑張ってみよう”、そういう気持ちのスイッチが入ります。

この1月に若手の優秀人材を対象とした2日間の異業種共創OT(体験型ケーススタディ)に参加いただく場として「登竜門」なる企画を実施し大好評でした。現在、同じく他社人材との切磋琢磨の場として、初級管理職向けの「昇竜門」と上級管理職向けの「飛竜門」企画を9月から11月にかけて実施予定です。若手対象の「登竜門」は12月を予定しています。

関心がある方はこのメルマガの返信で構いません。お知らせください。ご案内資料をお送りします。

但し、繰り返しになりますが、根本は「タレントマネジメントのアップデート」です。これをお忘れなく。

おまけ:生きていく上で心に火を灯すものはエンタメだと思っています。よい舞台は心を震わせます。

お薦めです。劇団「狼少年」 8/20-8/22「嘘つきたちのアモーレ」仙台公演
https://www.ohkamishow.com/usotsukitachi-no-amore-sendai
(東京公演を観ましたがとても良かったです。交通費かけても観に行く価値ありです。)

「音楽座 リトルプリンス」 10月から11月にかけて、名古屋、東京、広島で。
https://ongakuza-musical.com/
(昨日観てきました。満員の観客がスタンディングオベーションの嵐!)




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