自宅の近くに、ある大手予備校の学習室があります。ガラス張りの室内には、休日でも黙々と机に向かう高校生や浪人生の姿。通りかかるたびに、心の中で「負けるな」とつぶやいています。
私自身が駿台予備校のアカデミー校に通っていたのは1980年。あれからもう45年が経ちました。今の受験勉強はどう変わったのでしょう。45年前と変わらず机に向かう姿からして、もしかすると、いまだに「記憶中心」の学びが続いているのかもしれません。
偏差値が高く「勉強ができる」人が、仕事ではいまひとつ伸びない。一方で、学歴は平凡でも、仕事では驚くほど成果を出す人がいる。こうした例は、枚挙にいとまがありません。もちろん、勉強も仕事もできる“万能型”もいますが、そう多くはありません。むしろ、「あんなに偏差値の高い大学を出たのに、なぜ?」と思うケースのほうが目につきます。彼ら自身も心のどこかで、「あの努力は何だったんだろう」と感じているのではないでしょうか。
私は仕事力を「インプット」「スループット」「アウトプット」の三段階に分けて考えています。
どこかに課題があると、成果が伸び悩む。つまり、“いまいち”の原因が見えてきます。

仕事ができる人は、まずインプットの精度が高い。情報量が多く、情報感度が鋭い。
「役に立つ」「今まさに必要」「他の人が知らない」情報をつかむ力――それが“識見”です。
さらにスループット、つまり情報処理の精度も高い。分析・整理がうまく、判断が早い。アウトプットも明快で、人を動かす力があります。
一方で、仕事ができない人はこの逆です。情報量が少なく、感度も鈍い。分析も遅く、整理が苦手。
プレゼンや文章は分かりにくく、相手の心に響かない。
「勉強はできるが仕事はいまいち」という人たちは、情報量こそ多いものの、感度が弱い。つまり“いらない知識”をたくさん持っているタイプです。分析はできても逡巡が多く、行動が遅い。しかも、説明が「自分が知っていること」の羅列になりがちで、論理的ではあっても共感を得られません。
反対に、偏差値は高くなくても仕事ができる人は、感度が高い。相手の話をよく聞き、直感的に活かす力を持っています。分析力は平均的でも、スピードがあり、勢いがあります。アウトプットは粗削りでも、エネルギーがある。だから結果が出るのです。
AIが仕事のあらゆる場面に入り込む時代、単なる情報量ではAIにかないません。これから鍛えるべきは「情報感度」です。情報感度を高めるとは、単にニュースやSNSを多く見ることではありません。変化をいち早く察知し、その意味を考え、自分の行動につなげる力を磨くことです。もし高校や大学の学びが、この“感度”を育てる方向に変われば、「机にしがみつく受験勉強」は、やがて過去のものになるかもしれません。
おまけ:豊かな感受性を育むことで感度が高まります。感受性を高める機会としてミュージカルを生で観ることをお薦めします!
私が大好きな音楽座ミュージカルからこんなご案内があります。
この度「リトルプリンス」東京公演にて18歳以下のお子様の無料招待が決定いたしました。これは文化庁 劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業に採択されたことで実現した試みです。
11/3(月・祝)12:00〜イープラスにて受付がスタートいたします。
先着順になっております。
下記イープラスサイトよりお申込みください
https://eplus.jp/littleprince_autumn2025/
※申込み開始と同時に子供無料招待についての選択肢が表示されるようになります
【東京公演】
IMM THEATER
11月14日(金)19:00(子供無料招待席・同伴者半額席あり)
11月15日(土)12:00(子供無料招待席のみ)
11月15日(土)17:00(子供無料招待席・同伴者半額席あり)
11月16日(日)13:00(子供無料招待席のみ)
【広島公演】
はつかいち文化ホール ウッドワンさくらぴあ 大ホール
11月29日(土)11:00(子供無料招待席・同伴者半額席あり)
11月29日(土)16:00(子供無料招待席・同伴者半額席あり)
詳細はこちらをご覧ください。
https://ongakuza-musical.com/2025/littleprince_bunka
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