当事者意識を育むための「遠心力型マネジメント」
コロナ感染増が半端ないですね。かなり深刻な状況になっていますね。専門家の意見や各種報道等を参考に、主体的に応策を考えましょう。自分の身は自分で守る、これが大原則ですので。
NHKのコロナ特設サイトに東京都の市町村別の感染者数が図示されています。これを見て直感しました。新宿、渋谷をターミナルステーションにしている郊外と神奈川県居住者に感染者が多い。つまり、通勤で感染拡大しているのではないかと。職域接種を終えた人が無症状で実は感染源になっていることもあるだろうと思いました。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/local-tokyo/
しばらくの間は電車に乗らない。どうしても電車を利用しないといけないときには混雑を避ける。これが現時点での、自分の身を自分で守るために、当事者として考えた私の対応策です。
当事者意識をもち、自分で考え行動する。これはコロナ対策だけの話ではありません。これからの時代、ありとあらゆる組織で個々人に求められる要素です。顧客価値を創造する現場で考え、実践し、必要に応じて自ら修正する。その組織が大切にしたい原理原則や価値基準は徹底的に守る。ただし、実践方法は各所で最適なやり方とする。これを私は遠心力型マネジメントと称しています。
いかにして遠心力型マネジメントを実現するか。鍵となるのはメンバーの当事者意識を持てるかどうか。これが遠心力型組織実現のための大命題です。
一方で多くの経営者からこんな声を聞きます。
“当事者意識が不足している。何か提言してもらっても、リクエストばかりで自分たちでやろうという意識が希薄だ。どうすれば、多くの社員に当事者意識をもって仕事に臨んでもらえるか?”
精神論だけですと限界があります。会社運営の仕組みの見直しが必要です。そもそも、これまでの会社運営のあり方が「遠心力」ではなく、「求心力」基準で設計されていますので。例えば、
- 上意下達(これ「じょういかたつ」と読みます。「じょういげだつ」ではありません)のコミュニケーション
- 多くのルール
- 中間管理職の決裁権限の小ささ
- 評価がブラックボックスであること
- 「命令」の存在
これらを遠心力型に変えなければなりません。
「求心力型マネジメント」からの脱却
問題なのはアラフィフ以上の多くは「求心力型マネジメント」の中で育ってきたことです。頭でわかっていても感覚的に遠心力の効かせ方がわかりません。例えば副業している社員に対して、“当たり”が強くなったり、副業そのものを認めなかったり、意見を抑え込んだり、経営判断の名のもとに理由も説明せずに強引に進めたり、こんなことをやっていると、遠心力を有する社員は離脱し、ゾンビ社員だけが残ることになります。
「求心力型」で育ってきた幹部の意識を変えるためのきっかけづくりから着手した方がよさそうです。もちろん、トップをはじめ経営陣がぶれずにリードすることは必要条件となります。
そもそも、これまでの日本の教育や組織のあり方が「当事者意識の醸成、保持」に良くない影響を及ぼしていましたね。フィンランドの教育システムのように自主性を重んじるスタイルになるとよいのですが。ここが変わらないと、問題意識をもつ親たちは自分の子供をインターナショナルスクールに通わせることになります。
おまけ
おまけ-1:「竜とそばかすの姫」。歌と映像が素晴らしい!(ストーリーは個人的にはかなり×ですが。)大画面で観ることをお薦めします。
おまけ-2:道端でセミの幼虫を発見。抜け殻ではなくセミ入りの幼虫。ベランダに虫かごを置き、そこに木をいれ孵化できるようにしたものの、残念ながら手遅れでした。その翌朝5時ころ、ベランダに2匹のミンミンゼミがきていました。
執筆
Indigo Blue 代表取締役会長
柴田 励司(Reiji Shibata)
上智大学卒業後、京王プラザホテル入社。在籍中に、在オランダ大使館出向。その後、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。2000年には、38歳で日本法人代表取締役社長に就任する。以降、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COOなどを歴任。2010年7月より株式会社Indigo Blueを本格稼働。
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