「名古屋市、身寄りのない13人を火葬せず 最長3年、職員処分へ」(2月18日 中日新聞)
この報道、ご覧になりましたか? Yahooニュースで朝日新聞の報道が取り上げられていましたので、そっちをご覧になったかもしれません。
記事によると(区の職員が)新型コロナウイルス感染症対応に忙殺されていた。火葬の執行が区の職員まかせで状況をチェックする体制もなかった。死者への尊厳も欠如していた、と。担当の職員ら7人は懲戒処分(戒告)になったようです。
この報道に私はすごい違和感を覚えました。なんでお詫び、処分という構図の報道なのか、と。
墓地埋葬法では、相続人など埋葬または火葬を行う人がいない、あるいは判明しないときは、死亡地の市町村長が火葬を行うとしているとのことなので、その法令違反ということなのでしょう。
身寄りのない人が13人も火葬されずに保管されていたこと、中には葬儀業者の保冷施設に保管されていた事例もあったということですから、忙しくて忘れたということはないだろうと思います。そこに意思があったと思います。
身寄りがないとは言うものの時間をかけて探せば心当たりの人が出てくるかもしれない。東日本大震災で亡骸が見つからないが故に未だに家族や友人の死を受け入れられないという人の話を聞いたことがあります。それと同じことになってはいけない・・・。担当者たちがそう考えたとしても不思議ではありません。だから、違反を承知で保管していたのではないでしょうか。上に話してもわかってもらえないだろう、と現場が独断で進めたのではないかと。真実はわかりません。
似たようなことはいかなる組織の中でも起こりえます。上に話してもしょうがない、と現場が独自にルール違反をやってしまうのです。最悪なのは、上が理解しないだろうからとして、やるべきことやらない展開です。
ルールがあることで規範が守られ、組織の秩序が保たれます。ただし、ルールがいかなる場合においても絶対的に同じ判断かというと、それは疑問です。解釈の余地があるでしょう。情状酌量の余地だってあるでしょう。さらには時代が変わり、そもそも守ろうとしている規範そのものが合わなくなっている、ということもあるでしょう。
より良い結果をもたらすために考え抜き、結果として既存の仕組みを逸脱する判断をするわけです。その検討に価値があります。上が逸脱を問答無用でダメとしていると進歩がありません。上が理解しないだろうからとして、独自の判断で進めて罰せられるほど残念な展開はありません。
今までのやり方やルールを度外視してやるべきことはないか? この問いかけを上から発信する。それにより、現場と意思決定者たちが健全な議論を交わす。これが理想的な姿だと思います。
止めるべきことは何か? 新たに始めるべきことは何か? 一方で守るべきことは何か?
改革案を検討する際に私はこの3つの質問を投げかけます。これはリアルの場でも研修の場でも同じです。
現状を鵜呑みしてはいけない。必要ならルールの変更もありえる。これを上が明確に伝えることが進歩につながるのです。
おまけー1:この寒い中、半ズボンを制服にしている私立小学校が家の近くにあります。モモが乾燥して粉をふいているような子、アカギレしている子も散見されます。このルールも疑問。子供の基礎体温や通学環境などにより、その是非が違うのではないかと。
おまけー2:スーパーのセルフレジ導入は賛成です。が、なんとなく緊張しません?同じ商品を2度読み込ませていないか、漏れがないか? (監視および説明スタッフが通常レジ人員より多いのは今だけ?)
おまけー3:アラフィフ以上の学び直し、PHAZEリカレント5期(4月開講)のオンライン説明会を2月21日(月)の18時から行います。スキルの磨き直し、学びを通じた仲間づくりをしてみたい方におススメです。
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