884号「めっちゃ頑張っている人に報いるために」(メールマガジン「人事の目」より)


「**くん、**中、合格したの?良かったわねー。お父さん、これから頑張らないとね。」

こんな会話を耳にしました。推察するに、子供が中学受験に成功。これから学費がかかるからお父さん頑張って、と知人が言っている。そんなシチュエーションだと思います。よくある、まあ儀礼的なやりとりです。

これ会社員のお父さん的にはキツイ言葉です。“頑張って”と言われても、会社の中で頑張ることで急に給料が上がるわけではありません。昔は「頑張る=残業をがんがんやる」ということだったと思いますが、今やそういう時代ではありません。管理職であればそれもできません。副業OKの会社であれば副業をがんがんやることで収入を上げるということは可能でしょう。ただし、そんなに副業をがんがんやっていると、おそらく本業に影響が出ます。そんなにがんがんはやれない、というのが現実でしょう。

さて、そうなると“頑張って”と言われても・・・というのが本音でしょう。

普通に考えると他の出費を切り詰めて・・・という展開だと思います。頑張るのはお父さんだけでなく、家族全員となります。分別がある子供であれば、自分の学費のために申し訳ない、と罪悪感を覚えるかもしれません。

この展開をなんとかしたいですよね。元凶は「頑張っても上がらない給与」だと思います。

そもそも報酬は、どのような役割責任(またはジョブ)の仕事をしているか、またはどのような格付かということで基本報酬が決まり、場合によって手当が加算されるという仕組みだと思います。人によって実際に手掛けている仕事量は差があります。同じ基本報酬だから、仕事量が全員同じということはあり得ません。ところが、この差異は基本報酬には反映されず、翌年の昇給で数%反映、または賞与で多少考慮されるという感じだと思います。

もっとも賞与なるものは、月給の後払い的性格ではなく、近年はより業績連動色が強くなっています。会社全体の業績が芳しくないと賞与が支払われないということになります。そうなると、全体として業績が厳しい中でも“めっちゃ頑張っている”人は報われません。

“会社というのはそういうものだよ”で済んだのは、昭和の新橋界隈の飲み屋での話。令和では、そういうものではない形にしないと“めっちゃ頑張れる”お父さんが転職します。

私の提案はこうです。現在の月例基準内賃金+残業支払い分の総額の10%を加算分の原資として確保。同時に全員の報酬を10%程度ベースダウンさせます。その上で、社内に有償プロジェクトを募ります。有償プロジェクトは、社内の課題を解決するもの、将来の売上づくりに貢献するもの、コスト削減が期待できるもの、会社の成長に貢献する内容であればなんでもよしとします。

毎月、経営陣主催のプロジェクト認定会議を行い、認定したプロジェクトを会社として値付け、認定時に半額支払います。支払われた金額の分配は各プロジェクトの任意とします。その後、プロジェクト完了時に成果判定を行い、残額について0%から200%まで支払うようにします。

この仕組みは“頑張りたい”社員たちがこぞって会社を成長させるために自律的に動きます。もちろん、カネのためにやればいい、にしないためにスタート時に認定されたものだけが有償対象となります。

今の給与制度だと本当に若い人たちが報われません。何か今までとは違う試みが必要です。
ちなみにこのテーマで書いたコラムです。“めっちゃ頑張れる”人に報いたい。強い問題意識を持っています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC07C6Y0X00C22A2000000/


おまけー1:60歳になり何も変わらないと思っていましたが、違いました。会員登録などで年齢を書かせる欄がなんと多いことか! 60という数字を書くことに、どうにも心理的な抵抗があります。この際だと思い、88歳と書いたところ、お店の人に嘲笑されました。(くそ)

おまけー2:名古屋で超安全タクシーに乗りました。
「***へ高速でお願いします」と私。
「いや、高速は乗りません。危ないんで。」 「は?」
「道間違えたら、取り返しつかないんで」

おまけー3:超安全タクシーの続き
「つきました。」
「え、ここ倉庫ですけど」
「ナビはここなんで」
「いや、ちがうでしょ。ちょっと本社に電話して行き方聞いてください。」
(本社に渋々電話するもつながらない)
「本社でないんで。どうします?」「!」

 

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