Vol.735「”上”が危機感を覚える提言を」(メールマガジン「人事の目」より) 

“きみたちは聞き手よりも優位だ。なぜなら、聞き手よりも20年以上生きる可能性が
高いからだ。未来の話を未来に現役でない人が反対できるわけがない。臆することなく、
プレゼンしてほしい。”

近く提言を予定している若者たちに伝えたメッセージです。

若い世代が現職の経営陣や現時点での一流プレイヤーたちに向けて提言する機会があります。
このときに“上の方に聞いていただく”ような提言をしても仕方ありません。
“上”を感化するような内容にすべきです。

聞き手たる”上“の人たちは若い世代をなめてます。どうせ、経験不足、勉強不足、
視野が狭い内容だろうと。そういう提言が多いのも事実です。提言したものの、”上“から
論破されて、あっという間におしまい・・。これは”上の土俵“で話しているからです。
”上の土俵“でやっていては、経験不足を補うことは絶対にできません。”上“ではなく、
”自分の土俵“で提言すべきです。

こんなテーマで語ろうとする若者がいました。“デジタルネイティブ世代の・・・”。
これは強い。聞き手は全員昭和世代。“デジタルネイティブ”ではありません。
聞き手よりも明らかに優位です。

プレゼンしているときの態度も重要。緊張したら負けです。

緊張は“よく見られたい”という意識によるものです。気の置けない仲間の前では
緊張しませんよね。“上にご評価いただきたい”という意識が強ければ強いほど緊張します。
自分の提言は“上”のためになることなのですから、“教えてあげる”くらいの
気持ちでやりましょう。

“失敗したらどうしよう”、これも緊張を呼びます。そうならないためには稽古を
繰り返すこと。何度もやったことであれば緊張しません。プレゼン会場についても
下見をしてイメージトレーニングできるようにしておきましょう。全く知らない場所だと
何が起こるかわかりません。想定外のことが起きると緊張するものです。

これらの、自分を緊張させる要素を除去しておきましょう。(プレゼン以前の問題ですが。)

その上でのプレゼンです。どんなに良い提言でも伝わらないと始まりません。
聞いた人にどうして欲しいのかが明確に伝わる構成にしましょう。
最初の1分でキーメッセージを言うこと。聞き手を観ながら、緩急つけて話すこと。
スライドを使う場合にはメッセージ中心のシンプルなデザインとすること。

最初のキーメッセージがハッとするものであったときに、聞き手は危機感をもってその提言に
耳を傾けます。どうやら時代が変わりつつある、自分の経験や専門性では、その提言を
実現させることが難しい・・・。そう感じたときに、”上“は危機感を覚えます。

その危機感は刃となります。問題はその刃がどちらを向くかです。話し手か”上“自身か。

話し手がチャーミングでない場合、刃は話し手に向きます。危険分子ととられ、
“潰されます”。“上”が自分が潰されるかもしれないと怖れるからです。
話し手がチャーミングであったなら、違う展開になります。その才能を開花させたのは
自分という立ち位置に自分を持って行きたいと考えます。提言実現のスポンサー獲得です。

今月も何回か若い世代の提言を聞く機会があります。
危機感を覚えるような提案を楽しみにしています。

おまけー1:3月5日に57歳になりました。まだまだです。

おまけー2:某所で“抹茶アイスとわらび餅”をオーダー。ふと前をみると
カンニングの竹山さんに似た男性が同じものをオーダーしていました。
抹茶アイスを食べて、その男性が一言。

「わさびだ。」

おまけー3:3月12日(火)のNHKおはよう日本の「おはbiz」で久しぶりに
“サラリーマンの掟”をやります。テーマは「正しいダメ出し」。
朝6時35分頃だと思います。ぜひ、ご覧ください。

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