Vol.771「時間制限=働き方改革、ではない!」(メールマガジン「人事の目」より)

あちこちで「働き方改革の弊害」について聞きます。正確には「働き方改革をしないで、
労働時間制限だけをしていること」への不満です。

“時間を意識せずに、思い切り仕事をしたいのにできない”(若者)
“仕事漬けの経験が成長につながる時期がある。成長機会が減ってしまう”(幹部)

過労死や精神的なハラスメントによる自殺が増えてきたこと。これらの報道から
「長時間労働」に対する否定的な見方が明らかに強まりました。
「残業時間の規制=働き方改革」となってしまっているのは、この影響ですね。
違います。働き方の改革をすることで長時間労働が是正される。
この流れであって長時間労働を止めれば働き方改革が実現する、ではありません。

10人でやっている仕事を8人に減員したところ、なんとかできた。ならもう一声。
“7人で対応せよ”と。そうなると管理者も1プレイヤーとして動かざるを得なくなります。
“7名でできるじゃない。じゃもうひと頑張り”。これで6名に。
そうこうするうちに離脱者が発生。しかし補充はなし。
そうなると、かつて10名でやっていた仕事を(やり方を変えずに)5名でやることになります。
当然ながら、チーム全員が自分の仕事をこなすだけで手いっぱいになります。

この状態を「集団皿回し」と言います。数字上は合理化されたように見えますが、
実態は組織が現状維持で疲弊し、改善も新たなチャレンジもできない状態に陥ります。

「集団皿回し」状態にある組織に「残業規制」が入ると「管理職」の“地獄レベル”が
悪化します。その様子を見ているので、誰も管理職になりたいとは思わなくなります。
リーダーを志向する優秀な若者は転職。残された管理職は疲弊。新規事業が立ち上がる
わけがありません。行く末が見えています。

働き方改革に着手せずに労働時間だけ制限するのは「合理化による集団皿回し化」と
全く同じアプローチで、しかも、「集団皿回し」の組織にとどめを刺すようなものです。

労働時間が長くなるのは、そもそもの案件量が組織のキャパシティを超えているか、
仕事の仕方そのものに問題があるか、このどちらかの理由によります。案件量が多いのは
売上が上がる話ですから、これは歓迎すべきことです。問題は組織の仕事の仕方が
良くないために「業務量」が膨大になっている状態です。この改善には以下の処方箋が有効です。

‐社内の仕事の発注者から担当者の距離を短くする(中間管理職数を減らす/階層を減らす)
‐会議の効果性を高める(会議術のマスターを管理職の登用要件にする)
‐わかりやすいメール・メモを書く(なんどもやりとりをしないでいいように)スキルを高める
‐チャットをうまく活用する
‐全員がスケジュールを公開・共有する(確認しなくてもスケジュールを見れば
 何をしているのかわかる)
‐通勤時間、移動時間のロスを最小化するためのリモートワークを可能にする
‐困ったときに、誰に何を聞けばよいかがわかるようにする 等

特に最初の仕事の発注者から担当者までの階層が多い。起案者から最終承認者までの階層が多い。
これらは大企業の「働き方改革」の障害です。多くても3ですね。

こうした処方箋を展開していくと(多少慣れるまで時間を要しますが)数か月後には労働時間が
減るはずです。

雇用側が労働者を過酷に働かせる環境。この前時代的なやり方は撲滅すべきです。ただ、ここに
合わせて規制を重ねていくと、おかしなことになります。会社を牽引する人、次代を創る人たちは
誰も「労働者」だとは思っていません。自分がやりたいからやるのです。すべて自己責任だと
わかっています。そこに規制がかかるなら、“辞めて別の場所でやる”動きを誘発します。
このままだと、有為かつ有意な人たちを「業務委託契約」にせざるを得なくなります。
この状態を憂いています。


おまけー1:高校時代の後輩に遭遇。体育祭の打ち上げで飲み、校歌を歌い通報されたことを
思い出しました。(飲み屋の隣が生物の教師の自宅というリサーチ不足を責めたことも)

おまけー2:IndigoblueのT氏は個人でドローンを持っているそうです。何に使うのか?と
聞いたところ「屋根の状態を調べる」と言っていました。誰も信じておりません。


※本記事はメルマガ「人事の目」で配信されています。
メルマガ登録(無料)はこちら

関連記事一覧

PAGE TOP