846号「能力密度を高めるために」(メールマガジン「人事の目」より)

NETFLIXによる「能力密度」向上

「能力密度を高める」。ネットフリックスの共同創業者リード・ヘイスティングス著の『NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX』の中で解説されています。

ネットフリックスが劇的な成長と遂げたのは、社員の「能力密度」を高めたことにある、つまり、“優秀な人間だけの集団にしたこと”によるというメッセージです。

(以下、一部の引用です。)
・凡庸なメンバーに手がかかり、管理職は最高のメンバーに時間をかけられなくなる
・他のメンバーが凡庸な人に仕事の方法を合わせるため、効率が下がる
・最高の環境を求める社員が転職を考えるようになる
・社内に凡庸でも構わないというメッセージが伝わり、状況はさらに悪化する


「NO RULES」の中では、さらに興味深いことが紹介されています。ニューサウスウェールズ大学のウィル・フェルブス教授の研究の紹介です。

・他のチームメンバーが抜群の才能と知性に恵まれていても、たった一人が問題行動をするだけでチーム全体のパフォーマンスが低下する
・問題行動をとるメンバーの特徴が他のメンバーにも現れる

大学生4名に課題を与えた演習に「怠け者」「嫌なやつ」を演ずる役者を仕込んでおいたところ、これらの現象が相当程度の割合で起きたとしています。問題行動は伝染するとしています。(ちなみに、ここでいう問題行動は服務規律違反とは違います。「後ろ向き発言」「否定」「行動の遅さ」などのことです。)

能力密度を高めることが組織のパフォーマンスを上げる。その通りだと思います。私自身の組織の長としての経験からも、Organization Theater(体験型ケーススタディ)からも、「凡庸な人に仕事の方法を合わせるため、効率が下がる」という現象を目にしてきました。その逆も然り。OTで優秀な人だけのチームで2日間にわたり激しい課題に取り組み、“こんな心地よい働き方があるのか”と言っている人たちを多く見てきました。


リストラせずに「能力密度を高める」ために

組織力
この本を読むと、自分の会社、チームをネットフリックスのように“優秀な人材だけの集団になるといいのに”と思うでしょう。ネットフリックスの場合、業績不振からリストラをせざる得なくなったために、この劇薬的な施策を一気に進めることができました。そうではない企業では同じやり方ではできません。

優秀な人材から見て、困ること/何とかして欲しいと思っていること。これらの行動をとっている人達がいたら、行動を変えてもらう、必要なスキルを充足させる、変わらない場合には要職から外す(影響力を小さくする)、まずはこれらに着手しましょう。
困った行動の見直し。具体的には以下の行動をとってもらうようにします。
・わからないことがあったときにはネットから情報を得て学んでいる(誰かの時間を奪わない)
・チャット、メールへのレスポンスが早い(24時間以内)(誰かを待たせない)
・アウトプットを自らつくる(誰かの手を煩わせない)
・ネガティブ発言をしない(誰かの気持ちを萎えさせない)

若くて優秀な人材がこの“誰か”になりがちです。優秀な素材への悪影響、意欲の低下、離脱を招くことになります。まずはここからですね。

おまけ

おまけー1:札幌市で起きたクマ騒動。横浜の逃走ヘビ、岐阜池田町のオオトカゲ。中国の象の集団の北上。動物がらみのニュースが多くなっていますね。次はタヌキの集団が都内に現れる、ではないかと。

おまけー2:美容室でシャンプーされながらしゃべりまくる男性あり。その原動力に興味あり。

おまけー3:大谷翔平選手の活躍に心躍ります。本当に素晴らしい。


執筆

Indigo Blue 代表取締役会長
柴田 励司(Reiji Shibata)
上智大学卒業後、京王プラザホテル入社。在籍中に、在オランダ大使館出向。その後、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。2000年には、38歳で日本法人代表取締役社長に就任する。以降、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COOなどを歴任。2010年7月より株式会社Indigo Blueを本格稼働。

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