900号「慣れと現状に甘んずるは紙一重」(メールマガジン「人事の目」より)

人事の目も900号になりました。途中お休みの期間もありましたが、2003年7月以来19年書いています。よく続きますねー、と言われます。我ながらそう思いますが、そんなに負担ではないのです。毎週メルマガを書くという行為がルーティン化していますので。つまり、書く事に“慣れて”いるのです。 

“慣れ”は環境適応力のなせる業です。それがあるから生きていけるとも言えます。「住めば都」ということわざもありますよね。一方で“慣れてしまう”ことは危険です。現状に甘んじていることに気がつかなくなってしまいます。これは怖いことです。船が沈んでいるにもかかわらず、その対策もせず、逃げることもせず、船上で時間を過ごしているようなものです。首まで水につかってから慌ててなんとかしようとしても、どうにもなりません。手遅れです。

その状態が長く続くと、変えることが億劫になり、それがさらに進行すると変えることを考えもしなくなります。変えることを考えてもいない人たちに変化を訴えても響きません。むしろ、迷惑だとさえ思われてしまいます。もうすぐ参院選挙がありますよね。選挙のたびに多くの候補者たちが改革を訴えています。ただ、世の中は動きません。投票率の低さがすべてを表しています。

会社の中でも同じことが言えます。トップが笛吹けど踊らず。現状に甘んじている集団は動きません。こ賢い連中がトップに話を合わせていろいろ意見を言いますが、行動につながりません。この状態が続くと、トップとトップの意思を本当に理解している人達が消耗します。そのうち、トップも“今のままでいい”という闇につつまれて思考を停止します。

この状態を変えるにはどうしたらよいのか。私は幹部のキャスティングを変えることが最も有効だと思っています。社長からすると執行役員、執行役員からしたら部長、課長。組織に影響力があるポジションの顔ぶれを”現状に甘んじていない“”問題意識があり行動力がある“メンバーに変えるのです。

全員代えろとは言いません、執行役員については人数を絞ってその半分を。部長・課長については総数のクリティカルマス(16%)でいいと思います。まずはそこからです。あとはその問題意識に火をつける議論の場を設定します。

“降ろした”元幹部については、新体制を支援してくれるように話し、やってくれる人についてはポジションではなく人として重用します。残念ながら不満分子になってしまう人については組織の外に出ていただきます。その際に多少のお金がかかるのは致し方ありません。組織全体を変えるための必要コストだと割り切ります。

今の仕事そのもの、仕事の仕方に慣れていませんか。結構やばいです。これらの見直しは待ったなしです。
例えば、社員のリスキリングを対岸の火事と思っていると手遅れになります。車の登場により、馬車引きは失業しました。RFIDの登場により、駅の改札の切符切りという仕事がなくなりました。DXの推進、AIの進化により、これと同じことが広範囲で起こることは自明です。この流れに乗れないと事業者として選ばれなくなります。現状に甘んじることなく、未来を見通して人財育成のあり方、配置を変える。喫緊の課題です。


おまけー1:ここ2年ほど悩まされていた五十肩が治った!と喜んでいたら、「それ、60歳になったからでしょ。」という、現状(目の前で喜んでいる人)に甘んじないコメントを言う人あり。

おまけー2:現状に甘んずることなく朝活に参加したアラフィフたちの集まり(PHAZEリカレントのオフ会)の模様です。Youtube特別編です。

https://youtu.be/ZvGQZyKlRTw

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