935号「チームにプラスの作用をもたらすヒト」(メールマガジン「人事の目」)

チームにプラスの作用をもたらすヒトがいます。その人が関わっていると、なぜかチームのパフォーマンスが良くなります。その人がいなくなるとチームから“何か”が消えてしまい、結果としてパフォーマンスが落ちてしまいます。

目黒にお気に入りの焼き肉店があります。チェーン店ではなく、中国人店長ほか、ほぼ外国人スタッフで運営されています。月1回から2回は足を運びます。先日、いつもいる店長がいなかったのでスタッフ(たぶんベトナム人)に聞いたところ、“テンチョー、チュウゴク、カエッタ。イツモドル、シラナイ。”と。

肉の味が変わっていました。端的に言うと、美味しくなくなっていました。店長が仕込みをやっていたとは思えませんが、“何か”が作用して肉の味が落ちたのです。この店長、シャキッとしているわけではありません。ワイシャツのすそがズボンから出ていることもあります。どちらかというと適当系の感じもします。自分のことを鈴木と言いながら、名札は田中だったりします。ただ、この人がいなくなったことでお店全体にいきわたっていた”何か“が消えたのです。

この“何か”ですが、私は「安心感」と「活気」だと思います。

「安心感」は心理的安全性があることにより生まれるものです。心理的安全性を一言で言うと「異見が受け入れられる環境」です。主義主張が強く、かつ多様な欧米中では、偏見なく異見を受け入れる環境づくりがチームに良いパフォーマンスをもたらすのはわかります。グーグルの分析の通りです。主義主張がそこまで強くない日本人の集団の場合、異見の受容というよりも、“周囲の目を気にしないでいい(必要以上に自分を飾って見せないでいい)”雰囲気づくりが安心感をもたらし、それが良いパフォーマンスにつながるだろうと思います。

この状態をつくっているものはチーム内の「節度」です。節度を守っていれば何を言ってもいい、どのような振る舞いでもいい、となります。この「節度」はチームのみなが納得する内容でないといけません。強制された「節度」は安心感とは全く異なる雰囲気を生みます。この「節度」のバロメーターとなるヒト。それが安心感をもたらすヒトだと思うのです。

何らかの失敗があり、みなが大丈夫かな・・・と思っているときにその人がその失敗を笑い飛ばす。みなが安心して次のアクションに移れます。これはダメだろう・・・という事態になったときに、その人が真剣に怒る。みなが納得します。

活気はチームに良いパフォーマンスを生むリズムを創り出します。餅つきをイメージしてください。つき手と返し手がリズムよく声掛けして動くから短時間で良い餅が出来上がります。チーム全体に活気があると全体の仕事が良い餅つき状態になります。それがないと思わぬ事故や抜け漏れが起きます。

この活気を生んでいるものは「声掛け」です。チームのみなが自分のやるべきことに専念しているときに全体に「声掛け」をする存在がいるとチームの中に同じリズムが生まれます。その声掛けは時に激励、時に悩み相談、時に緊張緩和の笑いです。こういうことをする存在、それがチームとしての活気をもたらします。

この「安心感」と「活気」を生み出すのは役職者である必要はありません。ピラミッド型/求心力型の組織であればリーダーがやるべきことと思いますが、車座オープン型/遠心力型を指向するのであれば、リーダーというよりも、安心感と活気をもたらす専任者を置いた方が良いだろうと思っています。CR3O(Chief, relation, release, reenergization Officer)です。


おまけー1:安心感と活気を感じる会食を大阪の割烹で。ここの女将さんが超関西。お気に入りのPRADAのスニーカーを履いていったところ、いきなり「ええ、スニーカーやな。ふんだろか。」と。(スラムダンクではないはず・・・)

おまけー2:誰でも単発で参加できる学びの場「PHAZEアラカルト」をオンライン開催します。

開催日時2023年3月17日(金)18:00〜19:30
テーマは『Life Shiftと学び直し〜リベラルアーツの醍醐味〜』です。
講師はライフシフト大学の学長の藤田英樹さんです。

藤田さんとは数年来のお付き合いですが、見識あるお話をお聞かせいただいております。
ぜひ、ご参加ください。お申し込みは下記よりお願いいたします。

https://coubic.com/narukyoto/905654

 

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