953号「ヒトを消費してはいけない」(メールマガジン「人事の目」)

20代には仕事を覚えろ!
30代には会社を引っ張れ!
40代にはリーダーになれ!
50代・60代には早く辞めてくれ!

企業は働く人たちをこんな風に消費してきたのではないか、という問題意識があります。意図していたわけではないでしょうが、結果としてそうなってしまっているというのが実態だと思います。

組織の中には“不稼働”と思われている人たちがいます。街中には失業者もいます。“不稼働”や“失業”を望んでいた人などいるわけがありません。誰もが仕事を通じて社会に貢献したいと思っていたはずです。どこかで歯車が狂ってはじき出されてしまったのだと思います。一方で、あちこちで人手不足の声は上がっています。

おかしな状況です。人口減少時代、人口の3割が65歳以上となった今、ヒトを消費しない社会モデルが必要だと考えています。

美術家 長坂真護さんの取組みをお聞きして、この想いを強くしました・

“長坂真護。1984年生まれ。2009年、路上の絵描きとなり世界を放浪後、2017年に世界最大級の電子機器の墓場と呼ばれるガーナのスラム街・アグボクブロシーへ向かう。それ以降、スラムの人権と環境保全を改善するため廃棄物で作品を制作し、その売上から生まれた資金で、現地にアートギャラリー、リサイクル工場建設、オーガニック農業やEVの事業を展開。経済・文化・環境の3軸が好循環する新しい資本主義の仕組み「サステナブル・キャピタリズム」を提唱し、2030年までにガーナ人10,000名の雇用創出を目指す。スラム街をサステナブルタウンへ変貌させるため、日々精力的に活動を続けている。

2022年上野の森美術館にて自身初となる美術館個展を開催。第51回ベストドレッサー賞(学術・文化部門)受賞。ガーナに「MAGO MOTORS LTD」を設立し、現在ガーナ人32名の雇用を創出。(2023年4月時点)“(長坂さんのホームページより)

企業が商品を大量に製造・提供し、顧客がお金を出して購入・消費する。消費されたものはいずれ捨てられ、それが地球上のどこかで産業廃棄物の山となる。こんなことを続けていては地球そのものがおかしくなります。地球環境の保全と利用のバランスと自然との共存を目指して2015年9月に提唱されたSDGsの背景はこの問題意識です。

SDGsの意義、その必要性については誰もが同意するものの、善意だけだと限界があります。長坂さんはそこに「アート(文化)」と「経済」を絡めることで活動を持続可能にしています。

ヒトの問題についても同じようなことができないかと思いました。AIの台頭により、今後、AIに仕事を奪われる人が大量に出る可能性があります。この“不稼働人材”を出さないために「リスキリング」が提唱されているわけですが、SDGsと同じく、その意義と必要性だけでは進みにくいと思っています。ここに敢えて「経済」をかませて持続可能なモデルにできないか、と思っています。何か良い知恵がありましたら教えてください。

おまけー1:アラフォー以上の学び直しの場の「PHAZEリカレント」を3年前からやっているのも問題意識の源泉としては同じです。PHAZEリカレントは9期が来週修了します。10期の募集を始めます。学び続ける仲間を募集します。(「PHAZEリカレント」で検索を)


おまけー2:長坂さんの活動を紹介した映像です。
https://www.youtube.com/watch?v=KiMjGBzBes4

 

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