954号「経験資産を増やす?取り崩す?」(メールマガジン「人事の目」)

経験に勝る学びなし。

本当にそう思います。詰め込み勉強したものは忘れます。そこに感情のゆらぎがないからです。

感情のゆらぎを伴った学びは忘れません。私が言いたいことをより正確に表現しますと、感情のゆらぎを伴った経験に勝る学びはない、となります。Organization Theater®(通称OT)はビジネス上の修羅場を疑似体験してもらう2日間のプログラムですが、ここで得た学びは忘れません。先週の木曜・金曜と某社選抜人材向けにOTをやりました。参加者の中に数年前に別ケースを体験していた人が3名いたのですが、その体験を鮮明に覚えていました。

多くの人が「経験」に基づいて仕事をしています。経験の蓄積、つまり“経験資産”がその人の仕事の上の“勘”を働かせます。目の前に対処すべき事柄が出てきたときに、何をすべきか考えるまでもなくわかる。勘がなせる業です。

この“経験資産”をどう活用するか。増やし続けていけるか、または取り崩していくのか。中高年がビジネスパーソンとしての最終フェーズを楽しく過ごせるかどうかは、ここにかかっていると思います。

どんな仕事にも具体的な作業があります。この作業面だけを経験資産として蓄積していくやり方はお薦めできません。確かにその作業については熟達します。勘も働き、誰よりも早く間違いなくできるようになるでしょう。ただ、その経験資産はその限定的な作業についてのみ有効。他の仕事では使えません。配置転換やその作業のやり方が変わったときに対応に苦慮することになります。

業務の一部を電子化して組織全体の生産性を高めようとするときに、自分のやり方を変えようとしない人達がいます。どこの組織にもそういうベテランがいます。この人たちは、まさに「作業の経験資産」で食っているので、それが使えなくなることが怖いのです。そこは理解しますが、強制排除される前に自分でなんとかしましょう。

経験資産の蓄積の仕方を変えましょう。目的を意識して仕事をしていれば作業そのものは全く違うことでも、その経験を応用することができます。ゼネラリストで優秀なヒトはこのやり方をしています。まずはここからです。

ただし、今後はこれだけでは足りません。

環境の変化が速く、仕事においては経験したことがないことにチャレンジしないといけない状況になることを考えると、目的を意識した経験資産であっても、それを取り崩していくことになってしまいます。経験資産を刺激して増やすことを意識した方が良いと思います。

経験資産に刺激を与えることを3つ挙げます。

① ポータブルスキルを意識して鍛える(磨き直し)する
② 全く門外漢の領域の専門家の話を聞く、または書籍を読む
③ 自分の過去の経験や人的ネットワークが利かない環境でタスクを担う

いずれも自分の経験資産を刺激します。それが楽しく仕事をしていくエンジンとなります。

ちなみにPHAZEリカレントは中高年を対象に①と②を意識したプログラムにしています。(10期を9月27日に開講します。説明会のお申込みはこちらから。 https://phaze.jp/recurrent/isession/ )自己投資も自己責任です。

③ については副業が最も効果的です。ただ、ポータブルスキルが弱いヒト、自社の作業の経験資産でやっている人は副業先に迷惑をかける可能性が高いです。まずはこの点の改善から着手することをお薦めします。

もし、経験も積ませてもらえない、副業もダメ、という前時代な会社・団体に務めているのなら、他に活路を見出した方がいいと思います。使われ倒されて終わります。(消費されて終わりです。)自分を大事にしましょう。










おまけー1:ひさしぶりに大型の書店で時間を潰しました。いいですね。まさに刺激の宝庫。ネットだと、知っている本かお薦めの類似の本しか買いません。気がつかないうちに視野狭窄になっています。

おまけー2:個人事務所兼スタジオの窓を開けていたら、コガネムシが次々に入ってきました・・・(何を伝えたいのか?いまだに何も来ていないぞー)

おまけー3:ミッションインポッシブルの最新版の予告を見て、同年齢のトムクルーズに大いに刺激を受ける。(こりゃ第一作からもう一回見ないと!)


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