955号「職場カースト」(メールマガジン「人事の目」)

「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」という日テレのドラマが面白いです。

卒業式当日に生徒の誰かに高校教師・九条里奈(松岡茉優)が4階から突き落とされます。その瞬間、この教師は1年前にタイムスリップ。自分が突き落とされた真相を突き止めるため「3年D組」の生徒と本気で向き合っていく…というストーリーです。知人がこの番組のプロデューサーということもあり、見始めました。毎回ドキドキし、心が痛いです。放送時間になかなか見ることができないので、見逃し配信で隙間時間や移動中に見ています。

組織開発に関わる人にはぜひ見てほしいドラマです。

高校のクラスは担任、メンバーが固定。退学する以外に逃げられない環境です。しかも毎日通学しないといけない。その固定的な環境の中にスクールカーストという目に見えない階層が生まれ、いじめをする生徒、いじめを受ける生徒、いじめを受けたくないためにいじめに加担する生徒、風見鶏的に動く生徒がいます。

ドラマの中で、担任教師が“君たちは納得がいかない毎日を・・誰かのせいにしていないか” と、いじめを受けている生徒に発し、その改善のために“なんでもやる”と宣言し、その通り行動していきます。その常軌を逸脱するほどの行動力にいじめを受けていた生徒たちも徐々に行動を起こし始めます。

これと同じようなことが起きている組織があるのではないでしょうか。職場カーストです。職場の空気を支配する人に逆えない。罵倒されたり、無視されたり、仕事上で足を引っ張られたりすることが予想されるので、納得がいかないことでも飲み込まざるを得ない。

職場カーストの頂点に立つのが上司である場合、これはパワハラですから、会社としての対処も比較的わかりやすいです。問題は役職者以外の人がカーストの頂点に立つ場合です。現場のメンバーは固定、管理職が2,3年で交代するような組織だとそうなりがちです。しかも、現場の仕事の暗黙知がそのカースト上位者に集中していたり、営業であればその人の実績が会社を支えているような場合だと、会社としてカーストの支配者を外すこともままならない。こんな状況になると職場カーストが放置されがちです。

これが常態化すると力がある人から退職していきます。この手の相談を個人的に受けたときには、私も“全力で逃げる(退職)”ことをお薦めしています。

会社側から相談を受けた場合にはドラマに出てくる担任教師のような“なんでもあり”のアプローチをします。職場カーストを看過していると確実に組織が朽ち果てます。どんなことをしても対処すべきと考えるからです。

経営者向けの職場カーストを改善するための処方箋です。
まず大前提として、
・経営者が職場カースト問題解消を完全コミットする
・組織内のパワーに侵されない第三者を活用する(プロ経営者の招聘、コンサルタントの投入など)

次に、この第三者による対話の場を設けます。一対一の個別の対話と集会型で行っていきます。組織内の心象、心境を推し量っていきます。この際、表面的な問題の議論に終始しないようにします。なんでもそうですが、そうなっていることには原因があります。その本質的な原因を突き止めます。

このプロセスを通じて、職場カーストを外科的に壊す(ハードランディング)のか、内科的に解消(ソフトランディング)させるのか、その対処法を決めます。組織再生開始となります。成功の鍵は経営者のコミットと力のある第三者の活用です。

この手の問題に悩む方々へ、「最高の教師」は“被害者”と組織開発担当者に勇気を与えてくれるドラマです。ぜひ、ご覧ください。


おまけー1:最高の教師のオフィシャルサイトです。
https://www.ntv.co.jp/saikyo/

おまけー2:7月30日、相馬馬追を現地で見学。あまりの猛暑に途中退散しました。自分の汗を拭いたタオルを絞れる経験は初めて。

 

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