959号「スーパーヒーローのトリセツ」(メールマガジン「人事の目」)

アイディアマンで実行力あり。会議での発言も的を射ている。誰もが頼りにする存在。ただし、あまりに仕事がデキるので誰も真似できない。まさに余人を以て代えがたい。そんなスーパーヒーローがどの会社にもいると思います。

上にしてみると、スーパーヒーローはありがたい存在ですが、実は要注意なのです。スーパーヒーローがその実力を高めれば高めるほど、その人がいなくなった後の組織はガタガタになります。スーパーヒーローありきの体制になってしまっているからです。

スーパーヒーローを管理職に抜擢したときにこんなことが起きがちです。

数名のチームのリーダーのときは大丈夫です。チームのパフォーマンスも秀逸でしょう。ただ、そのチームはスーパーヒーローとそのお手伝いという体制になっています。お手伝いの人たちのモチベーションは高くありません。完全に指示待ちになっています。ただし、チーム自体のパフォーマンスは良いので問題が表面化しません。

その秀逸さを評価されて、このスーパーヒーローがさらに大きなチームのリーダーになったころから問題が表面化します。

スーパーヒーローは意欲満々で次々に新しい施策を展開しようとします。上からすると、いずれも素晴らしい施策です。さすがだと評価します。ただ、これらはスーパーヒーローがいないとできないものばかりなのです。スーパーヒーローといえども身体は一つ。徐々にうまく進まなくなってきます。トラブルが発生すると、スーパーヒーローのリーダーが駆けつけ解決します。しかし、スーパーヒーローが動けないときには問題が拡大してしまいます。そうなってくると、スーパーヒーローも苛立ちを隠せず、ハラスメント的な言動をとってしまいます。

ここで、これまでスーパーヒーローをべた褒めだった上が手の平を返したように批判し始めると、スーパーヒーローは悪の道に落ちます。自分の仕事ぶりを人質に過剰な要求をしたり、傲慢な態度をとるようになります。さらには上を批判するような態度をとるようになり、退職に追い込まれてしまうことも・・・。

こんな展開にならないようにしたいものです。

スーパーヒーロー的な動きをしている人がいた場合には、早い時点で「あなたは優秀だ。ただし、今のままでは十分に評価できない。あなたの周辺の人があなたのように仕事ができるようになったときに最高の評価をしたい。」と明確に伝えましょう。(実際にそうなったときには超最高の評価をしましょう。)

こうしたスーパーヒーローは管理にその力を使ってもらうのではなく、プレイヤーとして存分に働いていてもらう方がいいです。もちろん、報酬などの処遇も相応のものにします。管理職でうまくやれる人というのは、自分の時間を喜んで他者のために使える人です。自分でやりたいことがたくさんあるような人は自分の時間を奪われることにストレスを感じます。スーパーヒーローはそこもうまく対応しますが、やりたいことをどんどんやってもらう方が組織的な貢献度は高くなるものです。スーパーヒーローの活用の仕方、要工夫です。


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