837号「社員が路頭に迷わないために」(メールマガジン「人事の目」より)

週刊ダイヤモンド4月10日号の宣伝にこんな記述がありました。

“コロナ禍が直撃した2020年、上場企業約100社が早期・希望退職者募集を打ち出しました。21年に入ってからもすでに約40社。コロナ禍の直撃を受けて赤字が膨らんだ企業だけが実施するのではありません。黒字企業も人員整理を断行し、誰しもが無関係でいられない。「1億総リストラ」時代がやって来ました。”

https://diamond.jp/articles/-/265795

リストラ時代。企業としての生き残りのために再建や事業の再構築を計画。その際に現状の雇用者数を前提とすると事業が成立しないので、やむを得ず人員削減に踏み切る。または、特定の事業そのものを止めてしまうために、その事業に従事している人達や新たな事業領域では明らかに活躍が難しい人たちに、社外に活躍の場を求めていただく。これらがリストラの背景ですね。大企業を中心に今後増えそうな気配を感じます。

企業の代表者として、私もやむを得ずこのリストラを推進したことがあります。また、コンサルタントとしてリストラを進める支援をしたこともあります。いずれも苦渋の選択、辛い記憶です。リストラを発表した各社の経営陣もそうだろうと思います。

とある経営者が「経営者の責任は社員を路頭に迷わせないこと」と発言していました。その通りだと思います。リストラするということは「路頭に迷わせる」行為そのものだという声が聞こえてきます。私は「YES &NO」だと思っています。

企業は「社会の公器」。社会に何らかの価値を提供している存在です。企業が消滅してしまうと、その企業が提供している価値も消えてしまいます。価値を享受している対象がある以上、その企業は消滅すべきではないと私は考えます。そこで「生き残り」策としてのリストラが採られるわけです。

リストラにより「社員が路頭に迷う」のは自社以外でも活躍できる実力をつけさせなかったからです。言わば、泳げない船員たちを抱えて大型船を運行しているようなものです。自社以外でも実力を発揮するための「ポータブルスキル」と「心のもちよう」を鍛えることなく、自社の仕事や作業をすることだけを習熟させていると、社外で“泳ぐ”力がつきません。

これまで企業内の育成プログラムは自社の戦略を実行するための実力養成に焦点があたっていたと思います。私自身、一般的なスキル習得や自己啓発については自助努力で行うべきと発言してきました。これは了見違いでした。

戦略実行のための育成プログラムはもちろん必要です。それだけではありません。社員の“社外でも通用する”実力向上のためのプログラムや機会を提供することも、企業の人材に対する社会的な責任ではないでしょうか。人材を使い捨てにしない。自社だけの物差しで考えない。まさに、成熟社会の企業はSDG’sの観点から人材を捉えるべきだと考えます。

とは言っても、この手のことは経営者の意識や企業体力により格差が生まれがちです。社団法人のPHAZEで始めた「アラフィフ以上の学び直し:PHAZEリカレント」のような企画(安価で仕事をしながら受講できる)が世の中にたくさん生まれてくることを期待したいですね。


おまけー1:PHAZEリカレント第一期は30名の満席にて4月14日にスタートしました。受付できませんでした方々、ごめんなさい。第二期は7月14日からです。お申込みはお早目に。

おまけー2:Indigo Blueが入っている神谷町メトロシティのB1エレベータの隣にトイレがあります。先日、血相を変えて走ってくる若者あり。エレベータの中で(あー、トイレだなー)と見ていたら、“どうぞー”と言ってエレベータの「開」ボタンを押すご婦人あり。(どうする、彼!)

おまけー3:緊急事態宣言が解けて、感染者が増加。今度は「まん延防止」。集団免疫状態になっていない以上、宣言や措置があろうがなかろうが実態は同じです。自分の身は自分で守る、周囲に迷惑をかけない、全員がこの節度を持った動きをすればいいだけのこと。それができない人たちがいるのが問題。飲食店の問題ではないと思います。



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