980号「多様な働き方と成長機会の両立:その3」(メールマガジン「人事の目」)

まずは、前号のまとめから。

多様な働き方を認めることは、従業員に時間管理を任せることを意味します。一方で、各人の成果の質と量に基づき評価し、個々の能力差やアウトプットの差を処遇に反映させないと不満の温床となります。質的に問題のないアウトプットを一人で出せる人については「働き方は自由」でよいでしょう。評価もアウトプットの量により決定します。質に課題がある場合は「自由」にはしません。働く場所や時間については上司と相談の上、ということになるでしょう。

さて、多様な働き方を認め、自由に働く人の集団を機能させるための大前提があります。

チームとしての「5W1H」を各メンバーが認識していること。これに尽きます。

「Why:なぜ、この仕事をするのか」
「Who/What:誰が、何をするのか」
「How:具体的にはどのようにするのか」
「Where:それぞれどこで仕事をするのか」
「When:納期はいつか」

同じ場所で同じ時間帯に仕事をするわけではないので、この点がぶれてしまうとチームとしてのアウトプットの質が担保できなくなります。リーダーは一定の時間軸の中でチームとしてやるべきことを「5W1H」に整理し、メンバーと共有しなければなりません。この力がリーダーに従来以上に求められます。

「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」というドラマがあります。東京都を舞台に、最新の医療機器とオペ室を搭載した緊急車両(ERカー)で、重大事故・災害・事件の現場に駆けつけ、「死者を一人も出さない事」をミッションとして救命処置を施す救命救急のプロフェッショナルチームの話です。このチーフドクターの喜多見幸太(鈴木亮平)が救急現場でこの「5W1H」を的確に指示しています。ドラマも見ごたえありますが、このリーダーシップも参考になります。

アウトプットを想定して必要なことをイメージする力。多様な働き方を推進するのであれば、管理職のこの力を磨いておく必要があります。ちなみに事象を提示し、“次に何が起こるか?”を考えるトレーニングが有効です。

このドラマには「多様な働き方」と「成長機会」の両立のヒントもあります。それぞれの領域のプロフェッショナルの仕事ぶりを見て刺激を受け、自己研鑽する姿が描かれています。仕事を通じた切磋琢磨。この場づくりもリーダーの仕事となります。


会社として「多様な働き方」を推進する主たる理由の一つが「自由な働き方を望む優秀な人材が辞めないようにすること」だと思うのですが、自社の魅力を高めておかないと会社との関係性が希薄となり、結果として優秀な人が離れてしまうことにつながりかねません。

常に同じ場所で同じ時間帯に働く状態であれば、否が応でもそこが自分の帰属するコミュニティであるという認識が生まれます。自分が帰属するコミュニティと認識していると、不満はあってもそこから離れるという意思決定はしにくいものです。各人が自由に働くということになると、仕事だけのつながりとなり、自分が帰属するコミュニティという意識が希薄になりがちです。

会社側としては多様な働き方を推進すると同時に日常的に離れていても、メンバーたちの精神的なつながりを維持・醸成するための施策を講じておくことが必要です。SNSによる対話に加え、全員集合のオフサイトミーティング、研修、ランチ会、勉強会、社員旅行といったリアルの場づくりも忘れてはなりません。


おまけー1:「Tokyo MER」とはこれです。
https://www.netflix.com/jp/title/81714970

おまけー2:ご心配をおかけしましたアラフォー以上の朝活「PHAZEリカレント11期」ですが、奇跡的に集まり、予定どおり開講しました。12期はGW明けの開講です。

 

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