Vol.731 「不振店対策の要」(メールマガジン「人事の目」より) 

業績不振の部門、拠点、支店、店舗対策。どうしていますか?

不振店のリーダーを叱責することを不振店対策にしている企業がありますが、
叱責でなんとかなるものではありません。

「戦略」が悪いのか? 「実行力」が悪いのか? その両方か?

当たり前のことですが、原因を分析せずに対策を講じたところで結果は伴いません。

まずは戦略面。かつては、全国で統一戦略を展開するのが主でしたが、最近は、
地域または個別戦略を主とする企業が多いですね。国内でも個別にマーケット事情が
かなり違います。さすがにマクロの戦略中心だと効きにくいです。その不振店は個別の
マーケットをしっかり見つめているかどうか。ここがチェックポイントになります。

どんな戦略でも、目指すは「新規顧客の獲得」、または「既存顧客の購入頻度・
金額の増加」です。その際、その顧客(自社の価値を訴求したいコアの顧客のこと)は
誰なのか。その不振店はここを意識して戦略を立てているかどうか。
これもチェックポイントです。

ただし、私の経験からすると、業績不振の原因は戦略ではなく実行力にあることが多いです。

実行力と言えば、組織とヒトの問題です。実行力が伴わない支店や店舗には組織的な
課題が必ずあります。不振店には、そのお店を不振にする固有の組織行動があるはずです。
それを特定して、その“悪い”組織行動を撲滅する、これが不振店対策の要です。

不振店に所属する個々の社員の実力はというと、他店と比べてそんなに劣ることはない
はずです。店全体になると、他店と比べて大きく劣る、というケースがほとんど
ではないでしょうか。

不振店の主要メンバー全員が自店の“悪い行動”を自覚し、直そうと意識しない限り、
変わりません。リーダーを交代させたとしても、それだけではダメです。むしろ、
投入したリーダーを“潰す”ことになりかねません。

先日、某企業で不振店の主要メンバーにOT(Organization theater:体験型ケーススタディ)に
取り組んでもらいました。これが想定以上に効きました。OTは受講生に架空の企業の
幹部に扮していただき、そこで発生する様々な課題に対峙してもらうプログラムです。
いわば、ロールプレイをしながらケーススタディに取り組んでもらうものです。
当然ながら組織力が問われます。このOTに不振店メンバーで取り組んだところ、
“悪い行動”が衝撃的に露呈しました。

当然ながら、“悪い行動”によりOTの結果は散々なものになります。しかし、何よりも
価値があるのは、終了後の振り返りで、不振店の主要メンバーが自分たちの悪い行動に
気づいたことです。しかも、それが普段の仕事の場面でも出ている・・・と。

従来、OTは日常を持ち込まないように配慮してチーム分けをします。ただし、
不振店対策の場合には、むしろ日常をそのまま持ち込んでもらった方がいいですね。
課題が明らかになりますので。

将来有望な社員のアセスメントや現役の幹部層を対象に有事対応トレーニングとして
提供することが多かったOTですが、不振店対策でも力を発揮することがわかりました。

教育訓練費を広く浅く使うのは止めるべし。優秀人材に傾斜投下せよ、と言って
きましたが、これに加え、敢えて不振組織に投入した方がいいですね。それが全体の
パフォーマンスの底上げになります。販管費を絞り、叱責する、というやり方では
改善しません。むしろ、お金をかけて再建を試み、それでもダメならメンバー全員取り換え、
または他店との統廃合を考えた方が戦略的です。

おまけー1:風邪ぽくなったので近くの病院へ。
しかし、軽い症状で病院に行くのは気が引けますよね。“熱測ります。”と言われ、
平熱だと“申し訳ありません!”という気持ちになりませんか。

おまけー2:苺を持って逃げる人をレーザー銃で撃つゲームを“いちご狩り”だと思っている
外国人あり。なぜ、“狩り”か? これに即答できる日本人は少ないはず。

おまけー3:“レンタルなんもしない人”のTwitterのフォロワーが78,794人もいて驚きました。

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