ポータブルスキルとは、業界や企業に関わらずどんな仕事にも応用できる基礎スキルです。新入社員やリーダー候補の社員に向けて、ポータブルスキル研修を実施している企業も多いでしょう。
しかし、AIなどの技術革新のスピードが速く、新しいスキルをどんどん学ぶ必要のある現代において、学びの土台となるポータブルスキルは今やすべてのビジネスマンが学び直すべき重要スキルといえます。
それでは、具体的にどんなスキルを身に着けるべきなのか?長年クライアント企業の人材育成をご支援しているIndigo Blueより、具体的なスキルと研鑽方法をご紹介します。
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ポータブルスキルはビジネススキルの土台
学習や成長がどのように得られるかを示す有名なモデルとして、「70:20:10の法則」があります。
これは個人の学習に影響を与える要因を示したもので、70%が「仕事から得られる経験」、20%が「一緒に仕事をした人」であり、研修などのトレーニングが与える影響は10%程度とされています。
この法則からも分かる通り、私たちの成長にとってもっとも重要な要素は「経験」です。経験から得た学びであるからこそ、実践的で応用の効くスキルに昇華できます。そして、そのような経験資産(=経験から得た知識・スキル)を高めるためには、「ポータブルスキル」と「マインド」が重要です。両者をしっかり身につけて初めて、特定領域で発揮される「専門スキル」を習得していくことができます。
すべてのビジネスパーソンが磨き直すべきポータブルスキルとマインドについて、それぞれの詳細をご紹介します。
ポータブルスキルの3要素
ポータブルスキルとは、業界や企業に関わらずどんな仕事にも応用できる基礎スキルです。経験を学びに変える上で土台となるスキルといえます。一般的には「論理的思考力」や「コミュニケーション力」、「タイムマネジメント力」などをイメージする方が多いでしょう。
この記事では、Indigo Blueが多数のリーダー育成に携わった経験をもとに、「経験資産を増やしていくために重要なポータブルスキル」にフォーカスして3つご紹介します。
- 「聞く」力
- 「整える」力
- 「伝える」力
それぞれのスキルについて、詳細をご紹介します。
「聞く」力
「聞く」力とは、相手の意図を理解できるように聞く力です。単に多くの人の話を聞く、たくさんの話を聞くことではありません。相手が真に伝えたいことは何なのかを汲み取る力ともいえます。
相手の意図を理解するためには、以下のスキルを身に着ける必要があるでしょう
- 相手が心を開いて話しやすい「場づくり」ができること
- 適切な相槌で相手の発言を促すこと
- 表情や声の調子、身振りなどで相手に理解を示すこと(=ノンバーバルコミュニケーション)
- 正確に意図を把握できるような的確な質問を投げかけること
- 理解を促進するために、相手の言葉を言い換えて繰り返すこと(=パラフレーズ)
これら「聞く」力を身に着けることで、1つの経験からより多く、正確で深い学びを得られるようになります。
「整える」力
「整える」力とは、自分が取り込んだ情報を整理し、自らの考えをまとめる力です。「スループット」の力ともいいます。
経験から得られる情報は、必ずしも理路整然としたものばかりではありません。自分の経験はどのようなものだったのかを整理することで、情報がクリアになり、得られる学びの精度が上がります。
情報を正しく有用に整理するには、以下の方法が有効です。
- 物事の原因と結果を整理する
- ストーリーとして整理する
- 漏れなくダブりなく整理する
情報を整理することで、学びを抽象化・概念化することもできます。その結果、異なる状況においても、経験から得た学びを応用できるようになるでしょう。
「伝える」力
「伝える」力とは、「自分の意図を相手にわかってもらう力」です。一方的に大量の情報を与える話し手主体の「伝える」ではなく、相手が理解できる聞き手主体の「伝える」力が重要です。
具体的には、以下の力を身に着ける必要があります。
- 分かりやすい言葉を選んで話す・書く力
- 要点を絞って伝える力
- 相手にとって分かりやすいストーリーで話す力
- 少ない文量で十分に理解を促す伝え方
経験資産を言葉としてアウトプットすることで、自分の学びをより深めることにつながるでしょう。
マインドの3要素
次に、経験資産を築くもう1つの土台である「マインド」についてご紹介します。
マインドとは、言い換えれば「心の持ちよう」です。仕事に挑むうえで私たちが持ち合わせるべき姿勢や思考をいいます。マインドセットができていなければ、せっかくの経験が学びに変わることなくただ流れ去ってしまいます。
自ら経験を得たり、経験から受け取る学びの質を高めるために、特に以下3つのマインドが大切です。
- 前に出る
- 自分軸
- 感謝
それぞれのマインドについて、詳しくご紹介します。
「前に出る」
誰かから経験が与えられるのを待つのではなく、自ら積極的に学びを獲得していく姿勢が必要です。
具体的には、以下のような姿勢を持つことが大切です。
- 思いついたらすぐ行動する
- 誰かに会いたい、話を聞きたいと思ったら躊躇せず連絡する
- やらない理由から行動を制限しない
- 自分の直感を信じて次々に取り組む
新入社員でも、「前に出る」姿勢のある人とない人とでは、同じ1年で得た経験の数や質に大きな差が生まれます。経験資産を自ら増やしに行く行動力が大切といえるでしょう。
「自分軸」
「自分軸」とは、自分ならどう考えるか?どう行動するか?と主体的に考える姿勢です。
自分軸がある人には、以下のような思考・行動が見られます。
- 会社の指示・マニュアルに無感情に従うのではなく、「自分はどうしたいか」という意思を持っている
- ”強烈な”当事者意識があり、トラブルを自分事化して対応できる
- 漫然と受け継がれた慣習に疑問を持ち、もっと良くなる方法がないかを考える
「自分軸」のある人は、会社から指示された研修であっても「この機会を自分がどう生かすか」という姿勢で参加できます。「仕事だから」と参加した受講生と比べ、学びに歴然とした差が生まれるのは明らかです。
「感謝」
「感謝」も、個人が成長していくうえで欠かせないマインドです。他者あっての自分の成果であることを知り、常に感謝の気持ちを持ち、伝えていくことが大切です。
優秀なプレイヤーほど、周囲の声を気にしない強さがあります。その心底には、「自分を評価できるのは自分だけ」「自分は他者より優れている」「自分の成果は自分の優秀さ・努力の成果」という想いがあります。
しかし、優秀なプレイヤーの活躍の陰で、多くの人が支えてくれていることを忘れてはいけません。このような周囲への意識は、優秀なプレイヤーがリーダーへと成長する第一歩。リーダーとしてより多くの経験を得ていくために、感謝は必須のマインドです。
実践的にポータブルスキルを身に着ける「Futuer Leader 共創塾」
最後に、リーダーを目指す人が実践的にポータブルスキルを身に着ける学びの場「Futuer Leader 共創塾」をご紹介します。
Futuer Leader 共創塾は、今後リーダーを目指す人、 これからリーダーになる人のための実践型ビジネススクールです。多様な企業・業界で活躍する若手社員たちが集まり、体験型プログラムを通じてリーダーとして活躍するために必要な力を共に学びます。
研修の大半がグループワークや実践型ケーススタディであるため、「リアルな経験」からポータブルスキルやマインドを学び、向上させることができます。
「知識はあるが実際に体が動かない」
「リーダーとして成長するために自分に足りない要素を知りたい」
そんな若手社員が、これまでの延長の成長からの”リープ(飛躍)”できる場となるでしょう。
【開催概要】
開催日 | 年5回程度、1回2日間 |
開催方法 | オンライン(zoom使用) |
対象者 | これからリーダーを目指す人 |
定員 | 20名 |
価格 | 140,800円/人 (税込) |
※お申込み・詳細は、コチラからご確認ください。
ポータブルスキルを磨き続ける努力が必要
特定の業務をこなすための専門スキルは、部署異動で活用できなくなったり、技術革新が浸透したりすることによって陳腐化していきます。そのため私たちは常に新しいスキルを学び続ける姿勢が必要といえますが、その土台になるのがポータブルスキルやマインドです。
若手社員はもちろんのこと、すべてのビジネスマンにとってポータブルスキルやマインドが大切だと心得て、その研鑽を続けていくことが大切といえるでしょう。
記事監修
瀧谷 知之(Indigo Blue 取締役)
トーマツ コンサルティング(現デロイト トーマツ コンサルティング)に入社し、通信ハイテク業界の戦略立案/変革支援に従事。 その後ジュピターTVを経て、ツタヤオンライン、TSUTAYA、カルチュア・コンビニエンス・クラブで経営企画/経営戦略室長として、ネット事業領域を中心に戦略立案や事業改善、新規事業企画、赤字事業の再建/撤退、M&A等を手掛ける。 2010年に株式会社コラビーを設立し代表取締役CEOに就任のほか、パス株式会社の代表取締役COOおよび各グループ会社の代取/取締役を経て現在に至る。今までに上場企業含め9社の代取/取締役を経験している。