マネジメントスタイルとは?個を生かし成長する企業が知るべき4つのタイプと診断方法

リーダーには、いろいろなタイプが存在します。戦略を重視する人、チームの規律を重視する人、協調性やチームバランスを重視する人などさまざまです。

リーダーが自分のマネジメントスタイルを知るだけでなく、メンバー全員のスタイルを理解して生かすことが、企業の成長に欠かせません。この記事では、4つのマネジメントスタイルと診断方法、個のマネジメントスタイルを生かす具体的な方法をご紹介します。

マネジメントスタイルとは?

マネジメントスタイルとは

マネジメントスタイルとは、一般的にマネージャーがチームやメンバーを率いる際の手法やスタイルをいいます。リーダーの在り方として、マネジメントスタイルを学習される方も多いでしょう。

しかし、実際にはマネジメント職にないメンバーも、自分の仕事を「マネジメントするスタイル(特性・特徴)」をもっています。そして、メンバー全員のスタイルの相乗効果がチームのパフォーマンスを左右するため、組織開発の観点で考える場合には全員の行動特性を理解しておくことが重要といえます。

4種類のマネジメントスタイルと特徴

4種類のマネジメントスタイル

では、具体的にどのようなマネジメントスタイルがあるかを見てみましょう。

マネジメントスタイルを分類する方法は複数あります。この記事では当社が株式会社IIOSSとの連携でご提供している「マネジメント・ プロファイラー診断」(以下、MP診断)をベースに、4つマネジメントスタイルをご紹介します。

MP診断は、企業・組織の主に管理職以上の方々の実際の思考・行動のデータベースと、IIOSSのマネジメント・プロファイルの基本コンセプトの組み合わせからデザインされた診断です。各人のマネジメントスタイルを、大きく以下4つに分類します。

  1. Accomplisher:仕事人
  2. Regulator:管理者
  3. Creator:起業家
  4. Uniter:調整役

マネジメント・プロファイラー診断 4つのタイプ

4つのマネジメントスタイルを理解することで、自身の仕事への向き合い方、メンバーとのコミュニケーション、組織開発などに生かすことが可能です。

4つのスタイルの特徴を確認してみましょう。

Accomplisher:仕事人

MP診断 Accomplisher

適役

現実的な仕事人

行動の拠り所

経験・行動・結果

行動パターン

アクション

最大の関心事

何を(What)

Accomplisher(仕事人)は、自らアクションを起こして業務を前進させるマネジメントスタイルの持ち主です。

以下のような特徴があります。

  • 結果重視で行動的
  • ハードワークで仕事にドライブをかけ、短期的に問題解決を図る
  • 実用的・現実的で、臨機の才を持ち、タスクに当たる
  • 力の源泉は仕事に対する知識・経験で、それらをフルに活用する

Regulator:管理者

MP診断 Regulator

適役

実直なアドミニストレーター

行動の拠り所

分析・プロセス・コントロール

行動パターン

システマティック

最大の関心事

どのように(How)

Regulator(管理者)は、ルールや規範、客観的な根拠を重視するマネジメントスタイルの持ち主です。

以下のような特徴があります。

  • システム思考で計画的に行動する
  • 生産性の向上・改善には安定が必要と考え、プロセスを重視する
  • 細部にわたってデータを解析し、費用対効果などの手法を駆使する
  • 力の源泉はロジカルな考え方、ルールやポリシー、組織上の権限を多用する

Creator:起業家

MP診断 Creator

適役

ビジョナリーな戦略家

行動の拠り所

将来・機会

行動パターン

創造

最大の関心事

なぜ(Why)

Creator(起業家)は、あるべき姿をベースに戦略的に思考するマネジメントスタイルの持ち主です。

以下のような特徴があります。

  • 将来思考で先見の明があり、かつリスクテイカーでもある
  • 「長期的な目で見て市場のニーズはこうあるべき」など、戦略的な考え方をベースに方向性を定める
  • 創造性に富み、常に新しい機会を狙うが、導入や実行力にやや難点がある
  • 力の源泉は熱中と創造(クリエイティビティ―)

Uniter:調整役

MP診断 Uniter

適役

柔軟なファシリテーター

行動の拠り所

価値観・文化

行動パターン

調整

最大の関心事

誰が(Who)

Uniter(調整役)は、メンバー間の調和や人的ネットワークを重視するマネジメントスタイルの持ち主です。

以下のような特徴があります。

  • 人や組織に対して強い関心を持ち、「誰」がそのタスクにあたるべきかを常に考える
  • いろいろなスタイルの人で構成されるチームやプロジェクトの進行役に最適
  • 謙虚で敏感でチームがまとまるためには多少の妥協はいとわない
  • パワーの源泉は組織内部のネットワークと他の人を説得し、妥協を引き出す能力

個のマネジメントスタイルを知る

個のマネジメントスタイルを知る

MP診断で個のマネジメントスタイルを4種類に分類しますが、正しく活用するうえでおさえるべき重要なポイントがあります。

  1. 1人に対して1~2つのスタイルが表出しやすい
  2. マネジメントスタイルに良し悪しはない
  3. 平常時とストレス時で変化する場合がある

それぞれご紹介します。

1.1人に対して1~2つの要素が表出しやすい

マネジメントスタイルは、各要素の強さに応じて以下サンプルのよう1~2つ表出します。

【MP診断サンプル(抜粋)】

MP診断 サンプル抜粋

どんな人もそれぞれの要素を持ち合わせており、その傾向に合わせてAやCuなどの形でマネジメントスタイルを表します。

2.マネジメントスタイルに良し悪しはない

マネジメントスタイルに良し悪しはありません。あくまでも個人の行動特性を表しているにすぎず、すべての仕事に共通して有利になるスタイルがあるわけではないからです。

つまり、「A(仕事人)はリーダーに向いている」「管理者はRの素質がある人でないと務まらない」「Uはビジネスマンとして優れている」などと評価することはできません。

自分や他者のスタイルを理解し、活用することが重要です。

3.平常時とストレス時で変化する場合がある

マネジメントスタイルは、同じ人でも「平常時」と「ストレス時」で変化する場合があります。

平常時のスタイル

  • 本来持っている自分の行動特性を示す
  • 経年で変化しにくい

ストレス下のスタイル

  • 自分のスタイルと異なる行動要素を求められる場合に現れる
  • 高いストレス環境下で表出する

平常時はCa、ストレス時にはCuといったように、環境によってマネジメントスタイルが変化する場合があります。

「普段の業務では仕事人として一人でどんどん行動する(C)が、緊急事態では関係者のコンセンサスを重視する(U)行動をとる」といった違いがある人は、平常時・ストレス時で異なるスタイルになっている可能性があります。

自分の傾向を知っておくことで、陥りやすい失敗などに対応できるでしょう。

組織のマネジメントスタイルを知る

組織のマネジメントスタイルを知る

次に、メンバーのマネジメントスタイルを知り、活用するうえで抑えるべきポイントを3つご紹介します。

  1. チーム内でのバランスが重要
  2. 事業・業務内容に応じて必要な要素が変わる
  3. ビジネスライフサイクルに応じて必要な要素が変わる

それぞれご紹介します。

1.チーム内でのバランスが重要

チームのマネジメントスタイルを調べると同じようなタイプが集まった組織、多様性のある組織などの特徴を把握できます。チーム内のマネジメントスタイルのバランスにより、それぞれメリット・デメリットがあることを意識してください。

【同質性の高い組織

メリット

  • チーム組成の序盤から最初から一致団結しやすい
  • 人間関係によるストレスが少ない

デメリット

  • 全員で同じ失敗に陥るリスクがある
  • 斬新なアイディアが生まれにくい


スタイルの似た人材が集まったチームは、阿吽の呼吸で業務を前進させられる推進力があります。短期間かつあまり複雑でない課題・プロジェクトに対応するときに向いているといえます。

【多様性のある組織】

メリット

  • 多角的な視点から物事を検討・推進できる
  • 多様な才能・考え方をチームに還元できる

デメリット

  • (特に組成時には)意見がぶつかって対立しやすい
  • コンセンサスを図るのに時間と労力がかかる

 違うスタイルの人材が集まったチームでは、意見の対立が生まれやすいものの、多角的な視野をもって業務を推進できる力があります。長期的かつ複雑な課題・プロジェクトに対応する際に向いているといえます。

ビジネスの在り方が複雑化し、外部環境の変化が激しい今日においては、チームの多様性が企業の生き残りにとって重要です。そのため、これからの組織のリーダーには多様な人材をマネジメントするスキルが求められるといえるでしょう。

2.事業・業務内容に応じて必要な要素が変わる

事業内容やチームが担う業務によって、組織内で求められるマネジメントスタイルが変わる傾向にあります。

【事業・業務内容と適したマネジメントスタイルの例】

  • 人命にかかわる仕事
  • 正確性が重要な仕事

RやUが多く、活躍しやすい傾向

  • 新しい事業を企画する仕事
  • クリエイティブな仕事

AやCが多く、活躍しやすい傾向

上記は一例にすぎず、すべての業態に当てはまるわけではありません。ただ人材の採用や配置の際には、ビジネスの特性と活躍できる個人のスタイルを考慮するとよいでしょう。

3.ビジネスライフサイクルに応じて必要な要素が変わる

企業がどのステージにいるかによっても、必要な人材のマネジメントスタイルが変わる傾向にあります。

【ビジネスライフサイクルと適したマネジメントスタイルの例】

起業黎明期

AやCが多く、活躍しやすい傾向

成熟期

RやUが多く、活躍しやすい傾向

ビジネスで求められる動きや企業規模などによって、適したマネジメントスタイルが変わる可能性があります。自社の現状と照らし合わせ、採用活動などに生かすとよいでしょう。

企業でのマネジメントスタイルの生かし方

MP診断の活用例次に、個人・組織における具体的なマネジメントスタイルの生かし方を4つご紹介します。

  1. 自分の勝ちパターン・負けパターンを知る
  2. メンバーに合ったコミュニケーションを図る
  3. 個の強みを生かした人材配置に生かす
  4. ビジネスライフサイクルや組織バランスを考慮した採用・人事戦略に生かす

マネジメントスタイルを活用すれば、個人とチームのアウトプットを最大化できます。具体的な活用法をおさえましょう。

1.自分の勝ちパターン・負けパターンを知る

自分のマネジメントスタイルを知ることで、以下のような特徴を理解できます。

  • 自分はどんな状況で力を発揮しやすいか?
  • どんな失敗をしやすいか?
  • どのマネジメントスタイルの人と、どんな対立を起こしやすいか?
  • ストレス下に置かれるとどんな行動をしやすいか?

自分の行動特性は、そのまま「自分の勝ちパターン」「負けパターン」といえます。ありがちな行動や思考を理解することで、状況に応じて戦略的に業務にあたることが可能です。

2.メンバーに合ったコミュニケーションを図る

特にリーダーにとって、部下のスタイルを知ることは大切です。それぞれのマネジメントスタイルから、以下のような傾向を把握できます。

  • どんな仕事の進め方が本人に合っているか?
  • どんな声掛けが有効か?逆にモチベーションを下げるか?
  • 相性の良いメンバーは誰か?
  • 衝突しやすいメンバーは誰か?

メンバー一人ひとりのスタイルに合った接し方や配慮をすることで、個々のパフォーマンスを最大化できるでしょう。

3.個の強みを生かした人材配置に生かす

個のマネジメントスタイルを知ることで、適材適所な人材配置に生かすことが可能です。

  • メンバーがどの部署で活躍しやすいか?活躍しにくいか?
  • どんなメンバーと協業することでパフォーマンスが高まるか?
  • この部署を盛り上げるために、どんな人を異動させてくるといいか?

チームで活躍できていないメンバーがいる場合、原因や改善策を考えるうえでも参考になるでしょう。

4.ビジネスライフサイクルや組織バランスを考慮した採用・人事戦略に生かす

マネジメントスタイルは、企業全体の人事戦略に生かすことも可能です。

  • 当社の事業内容から考える「求める人材像」に、どのタイプを採用すべきか?
  • 当社のビジネスステージにおいて、どのタイプの人を増やすべきか?
  • 今の組織にはどのタイプが多くて、どんな人を増やすべきか?

実際に当社がご支援するクライアント企業では、活躍している人材のマネジメントスタイルを把握し、配置や育成、採用戦略に活用されるケースもあります。現場の感覚や経験だけに頼らない、科学的なタレント・マネジメントといえます。

マネジメントスタイルの診断方法

マネジメントスタイルの診断方法

最後に、本記事でご紹介したマネジメント・プロファイラー診断の概要をご紹介します。

実施方法

オンライン診断

所要時間

30-45分

対応言語

日本語、英語

価格

10,000円/人

その他MP診断に関するお問い合わせは、弊社問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

マネジメントスタイルを知り企業経営に生かす

マネジメントスタイルを知り企業経営に生かす

個とチームのマネジメントスタイルを知ることは、企業のアウトプットを最大化する手助けとなります。

実際に当社では、クライアント企業様のプロジェクトアサインメンバーの検討や社員採用の要件定義、リーダー育成にMP診断をご提供してまいりました。組織開発や人材育成に、ぜひご活用ください。

記事監修

瀧谷 知之(Indigo Blue 取締役)

トーマツ コンサルティング(現デロイト トーマツ コンサルティング)に入社し、通信ハイテク業界の戦略立案/変革支援に従事。 その後ジュピターTVを経て、ツタヤオンライン、TSUTAYA、カルチュア・コンビニエンス・クラブで経営企画/経営戦略室長として、ネット事業領域を中心に戦略立案や事業改善、新規事業企画、赤字事業の再建/撤退、M&A等を手掛ける。 2010年に株式会社コラビーを設立し代表取締役CEOに就任のほか、パス株式会社の代表取締役COOおよび各グループ会社の代取/取締役を経て現在に至る。今までに上場企業含め9社の代取/取締役を経験している。


 

関連記事


TOP
TOP